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DMCラボ・セレクション ~次を考える一冊~No.71

仕事の生産性を上げるべく『最高の睡眠』をとってみた。

2017/09/29

「なんか最近疲れがとれないんだよなあ」

「仕事中の昼間に眠たくなっちゃうんだよなあ」

「年のせいか…」

なんて人いますよね? なんて人いますよね、なんて言いましたが、僕です。たまにデスクに突っ伏して寝てます、すみません。少し前に「睡眠負債」という言葉もバズっていましたが、今回のコラムでは、睡眠の質を上げることで日中のパフォーマンスの質を上げる、をテーマにかかれた『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)を取り上げてみたいと思います。著者は睡眠研究の総本山ともいわれるスタンフォード大学教授の、西野精治さん。表紙に「スタンフォード」と大きく書かれていたので、翻訳本かと思いきや日本人! うれしい驚きとともに読み始めました。最高の睡眠

睡眠は、長さじゃない。

たっぷり寝たのに意外と疲れがとれないってことあるよなあと思っていたのですが、どうやら睡眠は長さじゃないようなのです。レム睡眠(脳は起きていて体が眠っている状態)とノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)が交互にやってくる周期から、よく90分単位で寝ると良いという話も聞きますが、筆者はきっぱりと異を唱えています。

スリープサイクルにはかなり個人差があるため、実際の1周期はおよそ90〜120分と幅がある。そこで、「睡眠時間は120分の倍数が良い」としている研究者もいる。したがって、起きるタイミングも個人の睡眠周期によって異なるのだ。(p101)

ただ単に長さを大切にして、寝ればいいわけではない。では、日中のパフォーマンスの質を上げられる睡眠とはどんなものなのでしょう?

「最初の90分」が大事。

全体の睡眠時間の中でも、寝始めから最初の90分間がもっとも深い眠りで、その質をいかに上げられるかが重要だと本書では論じています。

睡眠メンテナンスで意識したいのが、「最初のノンレム睡眠」をいかに深くするかということ。ここで深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きもよくなり、翌日のパフォーマンスも上がる。(p55)

逆にいえば、どんなに長く寝ても、この90分間の眠りの質が悪いと、翌日のパフォーマンスが下がってしまうということですね。明解に、最初の90分を良くしよう、と言い切ったところに強さを感じます。

「深部体温」と「皮膚温度」の差が縮まると眠くなる
『スタンフォード式 最高の睡眠』P.115より

就寝90分前に入浴せよ。

では、その最初の90分の質をどう上げるのか? 筆者が最も強く勧めているのが、就寝90分前の入浴。その前提となるのが、皮膚体温と深部体温(体の内部の体温)の関係です。

入眠前の子どもの手足は温かくなり、皮膚温度を「上げて」いる。何が起きているのかといえば、いったん皮膚温度を「上げ」、手足にたくさんある毛細血管から熱放散することで、効率的に深部体温を「下げて」いるのだ。なぜ深部体温を下げているのかといえば、それこそ眠りへの入り口だからである。つまり、眠っているときは深部体温は下がり、皮膚温度は逆に上がっている。(p125)

この皮膚温度を上げて深部体温を下げ、二つの体温の差を縮めることが、良質な入眠への鍵となっているのです。そのうえで、入浴の意味合いをこう説きます。すこし難しいですが、とても納得感があります。

入浴に関する私たちの実験データでは、40℃のお風呂に15分入ったあとで測定すると、深部体温もおよそ0.5℃上がっていた。普段の深部体温が37℃なら、入浴後は37.5℃になる。この「深部体温が一時的に上がる」というのが非常に重要で、深部体温は上がった分だけ大きく下がろうとする性質がある。なので、入浴で深部体温を意図的にあげれば入眠時に必要な「深部体温の下降」がより大きくなり、熟眠につながる。0.5℃上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は90分。入浴前よりさらに下がっていくのはそれからだ。つまり、寝る90分前に入浴をすませておけば、その後さらに深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まり、スムーズに入眠できるということだ。(p131-132)

入浴して皮膚体温を上げつつ、熱放散で深部体温を下げる。二つの体温の差が縮まる推移とシンクロするようにベッドに入れば「最高の睡眠」が待っている、ということですね。

やってみた。

といわけでやってみました90分前入浴。結論、調子いいです。目が冴えています。正直、今はまだプラセボ効果もあるかもしれません。ですが、寝不足だなあとか、なんかだるいなあというアバウトな倦怠感から、「よし最初の90分、ぐっすり眠るぞ!」という焦点を絞ったマインドセットへの切り替えは、とても気持ちのいいものがあります。仕事の生産性がどこまで上げられるのか、もう少し続けてみたいなと思っています。本書では、この方法以外にもいろいろな睡眠法が紹介されているので、ご興味のある方はぜひお手にとってみてくださいね。

電通モダンコミュニケーションラボ

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