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It's PR, but not as we know it: 外国人が驚く日本のPR事情No.1

「COMM-UNIC-ATING」日本のコミュニケーション事情を海外に伝える

2018/03/08

表紙は、「COMM-UNIC-ATING」とシラブル(音節)を無視して改行し、日本の書籍のように縦書きでタイトルをレイアウトしている。日本では欧米のコミュニケーションのルールや慣習が通じないという同書の内容をデザインで表現している。

日本のコミュニケーション事情の説明に苦慮

日本は世界第3位の経済大国である。2020年のオリンピック・パラリンピックに向けインバウンド需要も拡大し続けている。経済的にはグローバルな市場であるにもかかわらず、そのコミュニケーション事情は、欧米だけでなく、シンガポールや香港といった他のアジア諸国ともかなり異なる。

外資系企業の場合、日本に進出してからの歴史の長さにもよるが、本国のPR担当者が、本国と同じやり方や考え方をそのまま日本でも展開しようとすることがある。また、「香港やシンガポールでやっているのだから日本でも同じやり方で」と言われることもある。

日本法人の広報担当者は、同じやり方や考え方では日本では通用しないと説明しなくてはならないことが少なくない。その事情を説明するのもエネルギーを要する。

そういった広報担当者の方々のために『Communicating: A Guide to PR in Japan』は発行された。

以下、本書に書かれたいくつかのポイントから五つを抜粋して紹介する。

ポイント1:ニュースメディアの特性について知る

メインストリームのマスメディアについては、どこの国も似たり寄ったりだと思う方もいるかもしれない。しかし、新聞ひとつとっても日本と海外は多くの異なる側面を持っている。

上の図を見ていただきたい。2016年に発表された2015年の世界の有料日刊紙の発行部数ランキングであるが、発行部数世界1位の新聞は日本の「読売新聞」で、2位は「朝日新聞」。6位に「毎日新聞」、10位には「日本経済新聞」も入っている。上位10位以内に日本の新聞が4紙も入っているのである。オンラインメディアやソーシャルメディアの影響力も強くなっているが、まだまだ日本の新聞は海外と比べるとその影響力が大きい。

例えば2017年に国連経済社会局が発行した「World Population Prospects: The 2017 Revision」によると、2015年の中国の人口は約13億9700万人、インドの人口は13億900万人で、日本の10倍以上であるが、中国最大の「Cankao Xiaoxi(参考消息)」は読売新聞の3分の1。

発行部数が減ってきているとはいえ、いかに読売新聞の日本国内での影響力が強いかお分かりいただけるかと思う(しかしこれはあくまでも日本国内での影響力であって、国際的な影響力という意味ではない)。

また、日本の全国紙5紙の合計発行部数は、新聞協会に登録されている日刊紙117紙の全発行部数の約6割を占める。海外から来日したトップマネジメントに中央紙が取材した場合、その新聞の影響力の強さなどを説明しなくてはならないときの指標も本書では提供している。

第2回では、「直訳ではなく、日本のスタイルで書く~日本流の伝え方」と題し、日本におけるメディアリレーションズを説明する上でのポイントに触れたい。