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飯舘村のVR映像がドイツの映像フェスで金賞獲得!

2018/04/25

    福島県の飯舘村が制作したVR360度映像「までいの心めぐりて」(英題:Madei; Sincere way of Life is Coming Back)がこのほど、ドイツ「ワールドメディアフェスティバル」において、Web TV:360°Virtual Reality部門で金賞を獲得した。

    「までい」とはこの地方の方言で、両手で包み込むように温かく人を迎える気持ちを表す。「までいの心めぐりて」は2017年春、福島第一原子力発電所の事故による全村避難から一部を除いて避難指示解除となったことを機に、復興に立ち上がる姿を共有し、コミュニケーションを深めるために企画された。飯舘村の資産ともいえる美しい自然や豊かな歴史、避難指示が解除され村に帰った人々や市長の喜びの声、唯一の帰還困難地域となっている長泥行政区の様子などをそれぞれ約5分の映像の3部作でまとめたもので、撮影にはドローンなどの最新技術も活用。村の公式フェイスブックやユーチューブでの公開だけでなく、村内の小学校の体験授業などでも使用されている。

    受賞の報を受け、飯舘村の菅野典雄村長は「昨年の帰村は時期尚早というご指摘もありましたが、1年経って村に動きが出てきて、徐々に光が見えてきました。復興という言葉には『元に戻す』という意味がありますが、村は元には戻りません。新しい村をつくるためには、私たち村人だけの力だけで無理で、日本、そして世界の方々の知恵と援助がないと実現しません。皆さまの声援を頂くためにも、その時、その時の飯舘村をお伝えしてまいりたい」とさらなる情報発信に向け意欲を表明。制作に当たった電通第4CRプランニング局の八木田真史氏は「帰村が始まっても、さまざまな不安から飯舘村にすぐには戻れない子どもたちに、まるで村に行ったような体験をしてほしかった。教育現場で、VR動画が夢をかなえたのです」と、同映像が果たした役割や価値をあらためて語った。

    ワールドメディアフェスティバル(www.worldmediafestival.org/)は、企業映像や教育番組を対象とした映像コミュニケーションメディアの国際コンペティション。ドイツ・ハンブルクで2000年から開催されており、芸術面や技術面でのクオリティーとともに、視聴者層に効果的にメッセージを伝えている発信を顕彰している。今回は37カ国・地域から約800作品のエントリーがあった。「までいの心めぐりて」は金賞受賞により、5月16日の表彰式で発表される部門大賞やグランプリにもノミネートされている。

    ■までいの心めぐりて(日本語版)

    Vol. 1 https://www.youtube.com/watch?v=_Fp4TlesiNA

    飯舘村の資産ともいえる美しい自然や豊かな歴史が次々に映し出される。

    Vol. 2 https://www.youtube.com/watch?v=l0f7wZHU82Q

    避難指示が解除され村に帰った人々や市長の喜びの声を紹介。画像は「復興桜まつり」の様子。

    Vol. 3 https://www.youtube.com/watch?v=swoXjsbyvtg

    「長泥地区」は未だ避難解除になっていない地区。撮影は許可を得て、時間制限で行われた。

    ■2017年6月8日、隣町の川俣町にある飯舘村 草野・飯樋・臼石小学校合同仮校舎で行われたVR体験授業

    「すごい!」「星がきれい!」VRグラスを持った子どもたちが椅子から立ち上がり、ぐるぐると見回し、思わずそこに写っているものに触ろうとして手を伸ばす。