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デジタルときどきグローバルNo.17

グローバルデジタル×ローカルカルチャーの旅へ。

2013/12/26

学生の頃、いわゆる卒業旅行というやつで、ヨーロッパ各地を旅したことがあります。列車を乗り継ぎ、いろんな国をひたすらまわる弾丸ルート。やたらと移動してアクティブなのに、時間が無限に流れるかのようにヒマな、若い時にしかできないゆるい旅。20年たっても小さな売店や駅舎など、細かいシーンまでくっきり思い出せる、いつかまたやってみたい遠い夢。

…って、まさかこの歳になって、似たような旅をするはめになるとは思いませんでした。11月の出張です。まずはロンドンからスタートして、電車でパリに(美しいクリスマスの飾りつけが始まっていたけど、たった20時間の滞在)。その後ドイツ・ウィースバーデン(フランクフルト近郊の小さくてきれいな街だけど…なにもない)、マドリッド(街はさすがの風格、プラド美術館すごい)、ミラノ(ええと、石畳とドゥオーモかな…)、そして最後はモスクワへ(特徴は…寒い)。どこもだいたい2泊ずつ。1日まるまるプレゼン&打ち合わせ、翌日移動の弾丸パターン。学生のときの旅と違うのは、時間に追われていたこと。ご覧のとおりカッコのなかの感想もだんだんテキトーに短くなるくらいにキツイ、移動だらけの14泊16日…。大人ですから、体力と効率はお金で買います。ローカルの電車やバスではなく、クルマで移動する。ホテルも足で探さず、大手チェーンに。どの国でも同じやり方。そのせいか、昔に比べて、なんか味気ないんですよね、旅が。

なんでそんな旅をしたかといいますと、各地にある弊社のグループ会社拠点を訪問して、いろんなコラボレーションを始めるためです。僕の場合は、デジタルや新領域のクリエーティブを一緒にやる仲間を探しに行く、というミッション。旅の醍醐味は無かったけど、各地でのミーティングは充実していました。以前ここでもお話ししたことがあるかと思いますが、デジタルのクリエーティブは、日本の面白いが、世界の面白いになれる。ソーシャルメディアやスマートフォンなど、世界同時にデジタルメディアが生まれて育っていることもあり、国境に関係なく、みんなが「面白い」と思うものが似ています。だから、日本のクリエーティビティも輸出しやすい。僕らが日本の外で活躍できるチャンスが、ある。

いろんな人に会ってみて、いろんなコラボが始まりそうな予感がしています。どの国でも、様々なブランドがいま、漠然としたあこがれの対象になるのではな く、社会的な存在意義を明確にしてユーザーの近くに長くいられる方法を探しています。デジタルや新領域のクリエーティブが、表現だけでなく体験を通して、 ブランドとユーザーをお互いに深く理解させ同じ目線でつなげることができる。僕らの持っている経験や手法が、いろんな国でも活かせる予感がします。

今回の旅で、いっしょに欧州を回ったすてきな先輩のみなさん。ミラノの夜ごはん前の記念撮影。 僕が撮ったんで自分が写ってないのが寂しいっす。
今回の旅で、いっしょに欧州を回ったすてきな先輩のみなさん。ミラノの夜ごはん前の記念撮影。 僕が撮ったんで自分が写ってないのが寂しいっす。
 

しかし、いろんな国でも共通に面白いデジタルというのは、気をつけないと、今回の大人の旅のような、味気ないものになってしまうかもしれません。いまのデジタルは、技術が目立っていて、最大公約数的に、誰でも楽しくて、便利で、効率がいいもの。国を問わず同じように提供できるもの。でも、20年たってもくっきり思い出せるような、カルチャーにべったりしたもの、キモチに深く刺さるものも、つくっていかないといけないと思うのです。そういう意味で、単なる日本のデジタルテクノロジーの輸出ではなく、現地のスタッフと一緒につくる「コラボ」の手法に、期待したいと思っています。そんなに簡単じゃないと思うけど、いわば、グローバルデジタル×ローカルカルチャーというのを、これからがんばってみたいと思います。

そして、突然ですが、この佐々木のコラム、今回でひとまず最終回です。いままでお読みいただき、ありがとうございました。これを書くことで、僕も誰かとつながれる気がして、楽しかったです。またデジタルやらグローバルやらのネタを集めて、ぜひどこかで、みなさまと再会できたらと思っています。

それでは、しばしの間、シーユー、オヴォワー、チュース、アディオス、チャオ、ダスヴィダーニヤ。またねっ!

題して、「ロンドンの貴重な晴れ間、いつも通りの時差ぼけ」。 最終回には、こういう変な写真もいいかなあと。
題して、「ロンドンの貴重な晴れ間、いつも通りの時差ぼけ」。 最終回には、こういう変な写真もいいかなあと。