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親子で見ているのはどんな番組? ファミリー視聴が大切なわけ

  • 廣田 奈穂子

2018/08/24

親子で見ているのはどんな番組?
ファミリー視聴が大切なわけ

家の中でテレビを見る時間は1日どれくらいだと思いますか。2017年の関東地区では1世帯当たり8時間2分でした。「こんなに長いの??」と驚かれる方も多いかもしれません。個人1人当たりでは4時間18分ですが、家の中で見る人が入れ替わるために、世帯の視聴時間は約8時間となっているのです。

ビデオリサーチの「ACR/ex」調査では、半数以上の人が「テレビは家族団らんに欠かせないもの」としています。そこで今回は、テレビのファミリー視聴の重要性について確認していきます。

親子に人気の番組ナンバーワンはバラエティー!

皆さんがよく目にする番組視聴率は世帯視聴率で、1人で見ても複数人で見ても、世帯としては1とカウントされます。そのため同じ世帯視聴率でも、「1人で見ている」より「ファミリーで見ている」方が多くの人が見ていることになります。

ファミリーといえば、小さな子どもとパパ・ママの姿を想像する人も多いでしょう。そこで、今回は小学生以下の子どもとその親の視聴(以下、親子視聴)に注目してみました。

まず、どのような時間帯に親子視聴が多いのか、家族が一番家にいる日曜日を確認すると、どの時間帯も「親子視聴」が「子どもの1人視聴」を上回っています(図表1)。親子視聴は「午前帯」と「夕方から夜にかけて」に集中しており、特に18時~21時が顕著で、休日の夜にテレビを見ながら家族でくつろぐ様子がうかがえます。

では、どのような番組が親子でよく見られているのでしょうか(図表2)。夕方から夜にかけての番組でみてみると、親子視聴の割合は少ないもののその中でも、相対的に多いのはアニメです。アニメは子ども向けに作られているものが多いですが、「子どもが1人で見る」より「親子で見る」割合が多いことが分かります。

また、土日朝のアニメ番組も親子で視聴しており、子どものテレビ視聴に合わせて、親も一緒に過ごしている様子がうかがえます。また18~21時台のバラエティーも親子視聴が多いジャンルです。バラエティーは、親子で見ながら会話も弾むのかもしれません。一方、ドラマやニュースは、小さな子どもには難しい内容だったり、子ども向けでないものもあるためか、相対的に親子視聴は少ないジャンルです。

次に、どのような番組が親子で見られているかを、小学生以下の子どもを対象とした調査「Kids/ex」からみてみましょう(図表3)。2017年の調査では、子どもが親と一緒に見る番組では、バラエティーやアニメが上位となっています。1位、2位の「世界の果てまでイッテQ!」「ザ!鉄腕!DASH!!」は、タレントが海外や日本国内のさまざまな情報を紹介したり、いろいろな課題にチャレンジする番組で、小さな子どもから大人まで幅広い年代で楽しめるバラエティーです。

このような国内外の情報や課題に取り組む内容のバラエティーが選ばれているのは、親が子どもと一緒にテレビを見るとき、ただ会話が弾むだけでなく、知的好奇心や情操を養うことを期待している表れでもあるでしょう。

アニメでは、「サザエさん」「ドラえもん」などの長年にわたり人気の番組が上位となっています。これらのアニメは親世代も子どもの頃に見ていた人が多いでしょうから、親しみを持って楽しまれていると考えられます。

ファミリー視聴が、親子それぞれの好きな番組を広げるキッカケに

この背景を確認するため、同じく「Kids/ex」から子どものいる親たちの意識データをみてみました(図表4)。約4割の親は「子どものテレビを見る時間を決めて」おり、「子どもの見る番組内容を気にしない」親は2割程しかいません。このことから、親たちは子どものテレビ視聴に関与している様子がうかがえます。

また、6割近くが「子どもの好きな番組を一緒に楽しみたい」「子どもが親の好きな番組を気に入る」としており、親も子どもも一緒にテレビを見て楽しんでいるようです。こういった“共視聴”の楽しさが、冒頭に紹介した「テレビは家族団らんに欠かせない」イメージにもつながっているのではないでしょうか。

アニメはおそらく子どもが見たい番組を親が一緒に、バラエティーは親が見せたい、あるいは親子で見たい番組を一緒に見ているのでしょう。自分だけでは選ばない番組でも、それを楽しむ人と一緒に見ることによって、その番組を好きになり、いずれは自分で選ぶようになるかもしれません。このように大人と子ども、異なる年層に好きな番組を広げてくれる親子視聴は、テレビにとって大切な見られ方といえそうです。

好感度が高いのは「家族で見られる」番組

続いて、番組カルテから番組の「好感度」と「家族で見られる」という番組イメージの関係についてみてみましょう(図表5)。「家族で見られる」イメージの上位10番組の好感度をみると、ドラマでは平均値と大きな差はなく、「家族で見られる」タイプか否かは番組の好感度にあまり影響がなさそうです。

しかし、バラエティーは「家族で見られる」番組の方が平均よりも好感度が高くなっています。家族で視聴することで会話が生まれ、家族団らんの印象が醸成され、番組の好感度につながっていると考えられます。

さらに、視聴率データから視聴継続率(次回も継続して見ている世帯の割合)を確認すると、バラエティーは1人視聴(パーソナル視聴)より、ファミリー視聴の方が視聴継続率が高いのです(図表6)。一方、ドラマは、パーソナル・ファミリーいずれも継続視聴が多く、1人で見るか家族と見るかは大きく影響しないようです。ドラマの場合は、連続ドラマが多く、もともと継続視聴が多いジャンルですが、視聴スタイルというよりドラマの設定や展開が影響していると思われます。

さまざまな番組があり、その見方もいろいろですが、視聴者にとってファミリー視聴は、家族団らんにつながる要素が強いということが分かりました。一方、番組にとっては、ファンを獲得しやすく、繰り返し視聴もされやすいため、番組のロイヤルティーを高める効果があるといえそうです。ファミリー視聴は番組の受け手・送り手の両者にとって良いことづくめではないでしょうか。

今回、ファミリー視聴に関するデータを紹介しましたが、改めてテレビならではの特性が見えてきました。家族で見ることでより魅力を増すバラエティー、好きなストーリーの世界に入り込み個人で思い思いに楽しむドラマ、といった異なるタイプの番組をそろえ、あらゆる人の娯楽時間に寄り添うことができるのがテレビでしょう。また、親子視聴できる番組があることで、異なる世代をつなぎ、共有する場をつくり出すことができるのもテレビの特性といえるでしょう。

「ACR/ex」でも、家族団らんが増えたと感じる人は、「今の生活レベルに満足」「自分に自信がある」などの意識が比較的高いことが分かっています。家族団らんの時間が、個人の充足感を高め、アクティブな生活を送る原動力となっていると推測されます。その大切な時間を生み出すことができるのが、テレビの価値のひとつではないでしょうか。

今後とも、親子や家族で見られ、楽しい団らんの時間をつくり出していく、そのような番組がテレビから誕生し続けてほしいと思います。


Kids/ex調査概要
調査地域:東京50km圏
調査対象者:満3〜12歳の男女個人(ただし、中学生は除く)
※調査の回答入力は父母または父母代行者
目標サンプル数:約600人
調査期間:2017年10月
調査方法:電子調査票による調査
番組カルテ調査概要
調査地域:東京30km圏
調査対象者:13〜69歳の男女個人
目標サンプル数:約800人
調査期間:2017年11月
調査方法:訪問による調査票留置法