カミングアウト・デーに、
LGBTを考える「work with Pride 2018」開催
2018/10/15
企業などのLGBTに関するダイバーシティー・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体work with Pride(wwP)は、世界的なカミングアウト・デーの10月11日、カンファレンス「work with Pride 2018」を、千代田区の東京ミッドタウン日比谷で開催した。
同団体は、日本企業でLGBTの人たちが自分らしく働ける職場づくりを進める情報を提供し、各企業が積極的に取り組むきっかけになることを目的に、2012年から年1回、協力企業の場を借りて、人事・人権・ダイバーシティー担当者を対象にカンファレンスを実施している。
また、2016年から、日本初のLGBTに関する企業などの取り組みの評価指標「PRIDE指標」を設定。
同指標は、行動宣言(差別禁止規定など)、当事者コミュニティ、啓発活動(研修など)、人事制度・プログラム(福利厚生など)、社会貢献・渉外活動の5分野で応募企業を評価するもので、当日はパネルディスカッションとともに、指標の結果発表、表彰式が行われた。
冒頭、東京都の小池百合子知事のメッセージが披露された。
小池知事は、10月の都議会で「人権条例」が可決されたことに触れ「今後、条例に基づき、多様な性の理解を推進する」と表明。
「多様性が尊重され、温かく優しさにあふれる都市の実現に向けて、このイベントの成功を祈念する」と結んだ。
東京大名誉教授のロバート・キャンベル氏はビデオメッセージで、セクシャル・マイノリティーゆえのコミュニケーション能力の高さなどのアドバンテージに言及し「企業が労働環境を整えることは、有能な人材の確保にもつながる。このカンファレンスでは、素晴らしいテーマがフォーカスされているので、LGBTについて大いに学び、交流してほしいと」話した。
経済評論家の勝間和代さんは、自身のカミングアウト時の反響の大きさを例に、LGBTや他のマイノリティーに対する社会の未成熟さを説明。「さまざまなマイノリティーに配慮できる企業は、女性問題の歴史が証明しているように強くなる。マジョリティーを装う必要のない職場づくりに力を合わせましょう」と呼び掛けた。
■パネルディスカッション
企業経営者によるディスカッションには、東京2020大会のパートナー3社の役員が登壇し、東京2020組織委の吉村美貴子氏をモデレーターに、「東京2020大会に向けて、日本社会ができること、企業にできること」のテーマで、LGBTへの取り組みや難しさ、企業のグローバル化による人材の多様化などについて意見を交わした。
2020年は障がい者も含めたマイノリティーを取り巻く状況を大きく変えるチャンスであるが、それがゴールではなくスタートでなくてはならないとの共通認識を得た。
LGBT当事者によるディスカッションには、企業、大学に勤務する4人が、ソニーの望月賢一氏をモデレーターに「様々なギャップを越えて、安心できる職場を次世代に。」をテーマに語り合った。
カミング・アウトしたきっかけや思い、上司・同僚の反応など、当事者ならではの経験が明かされ、企業に必要なことは「マネジメント層の理解と、啓発活動の推進」と意見の一致を見た。
イベントのサブセッションでは、「組織内の風土づくり」「全国・地方への取り組み展開」「同性パートナーシップ制度」についても、企業関係者によるディスカッションが行われた。
■「PRIDE指標」結果発表・表彰式
2018年の同指標には、昨年の約1.4倍となる153企業・団体から応募があり、評価項目の得点により、ゴールド130、シルバー18、ブロンズ5の受賞が決まった。
また、その中から特に顕著な活動を行った10社をベストプラクティスとして選出し表彰した。
詳細は、wwP公式サイト(http://workwithpride.jp/)まで。