「ジェンダーイコール社会の実現」に向け、カンファレンス初開催
2018/12/10
外務省(国際女性会議 WAW! 開催)と東映エージェンシー(CANNES LIONS 日本代表)は12月6日、ジェンダーイコール(男女共同参画)社会の実現に向けて、メディア・広告が果たす役割について集中的に考える日本初のカンファレンス「ジェンダーとコミュニケーション会議 ジェンダーイコールを『伝える』『創る』『変える』」を東京・港区の電通ホールで共催した。
カンファレンスでは、世界的な広告賞の「CANNES LIONS」2017で4部門の最高賞を獲得した「Fearless Girl」(恐れを知らぬ少女)の仕掛け人で、米・ニューヨークの広告会社マッキャン社長のデヴィカ・ブルチャンダーニ氏による基調講演の他、ジェンダーイコールをテーマにした3セッションを実施。約300人の聴衆を前に、メディアや広告のあり方などを議論・模索した。
「Fearless Girl」詳細:
http://www.mccannwg.co.jp/work/fearless-girl
冒頭、外務省の松田友紀子女性参画推進室長は、同省が2014年から実施している「国際女性会議WAW!」について触れ、昨年11月の会議で「メディアと女性」というパネルを設けたことを紹介。そこでメディアが作り上げる無意識な偏見や、女性の視点を取り入れる重要さを訴える指摘があったと話し、「私もメディアの役割について注目しているので、カンファレンスが楽しみ。今日は皆さんと共に、新たな気付きを発見できたらうれしい」とあいさつした。
■ 基調講演
ブルチャンダーニ氏は、「ビジネス界」「ハリウッド」「広告業界」で、女性たちに起きた差別について、「世界の上場企業2万2000社の60%が女性役員を配置していなかった」「出演料の高いハリウッド女優のトップたちでさえ、男性の出演料1ドルに対して24.8セントしか支払われていない」などの事例を紹介。また、広告が“女性はこうであるべき”との理想像を押し付けていた歴史をたどり「それは代弁されたもので、女性の本当の声ではない」と訴えた。
また、さまざまな偏見や差別問題が、徐々に改善されつつある中「私たち自身が積極的に関わるべきで、皆で行動すればより良い世の中になるはず」「何も恐れない存在になってください」と呼び掛け、「男性と戦っても成功しない。決して女性のほうが秀でていると言いたいのではなく、平等だと言っているのです」と強調した。
ブルチャンダーニ氏は、自身がプロジェクトに関わり、昨年3月にニューヨークの金融街に設置され、世界的に話題となった「Fearless Girl」(腰に手を当て、前を見据える少女の像)について「クリエーターを探すのが大変で、ポーズについても試行錯誤した」など制作秘話も披露した。
■ メディア・広告関係者・識者らによるセッション
基調講演後、ジェンダーイコールを「伝える」「創る」「変える」の三つのセッションが行われた。
● セッション1「伝える」
メディア・報道機関の視点で、ジェンダーイコール社会での情報の伝え方や意識するべきことについて話し合われた。
登壇者:月刊『VERY』編集長の今尾朝子氏/日本経済新聞社女性面編集長の佐々木玲子氏/ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏/NHK「あさイチ」デスクの坪井健人氏/モデレーター・治部れんげ氏(ジャーナリスト)
● セッション2「創る」
ジェンダーレスを訴求する広告を手がけたディレクターらが登壇し、事例を紹介。メーカーの営業利益と社会提言は共存できるのかの議論になったが、「社内外での盛り上がりが、いい結果(売り上げ)につながる」と意見が一致した。
登壇者:ADKアカウントプランニング本部本部長の内垣宏子氏/電通 執行役員の大内智重子氏/P&Gジャパン広報渉外本部の田上智子氏/クリエイティブディレクターの原野守弘氏/モデレーター・治部れんげ氏
● セッション3「変える」
企業のトップや幹部が考えるダイバーシティーの実現のための意識改革について意見交換がされ、女性が管理職に就く環境づくりの重要さを説いた。
登壇者:博報堂 リーママプロジェクトファウンダーの田中和子氏/外務省の松田氏/RIZAPグループ代表取締役・カルビー シニアチェアマンの松本晃氏/モデレーター・グーグル合同会社 執行役員の仲條亮子氏
カンファレンスの最後に、外務省の松田氏は「来年3月に行われる国際女性会議で、今日の気付きを生かしたい」と結んだ。
公式サイト:
https://www.canneslionsjapan.com/gender-communication2018/