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2019年のプランニングで大事なこと

勇者に学ぶ「戦略0.0」No.2

2019/01/28

2019年のプランニングで大事なこと

「去年との差分」に溺れる前に

「2019年のプランニングで大事なこと」

こんなタイトルを見ると、次のような内容を期待されるのではないでしょうか。

「変化の激しい2019年、心がけるべきポイントは?」
「今年のプランニングで重要になるキーワードとは?」…etc.

年末年始のニュースメディアは、各社独自の視点を持って、こうした期待に応えています。例えば以下のようなタイトルでしょうか。

■「AIがもたらす働き方革新について、本当の話をしよう」
■「コミュニティビジネスが、マーケティングを変える!」
■「激変!! 5Gがもたらす動画の新世界」…etc.

このような内容を期待していた方には申し訳ありませんが、本記事はそういった内容ではありません。

とはいえ、筆者はこれらの記事を否定しません。むしろ最新情報のシャワーを浴び続けることは、業種問わずあらゆる「戦略づくりに関わる人」の基本作法だと考えます。

しかし、これらの記事を読む際には、ひとつ気を付けなければならないことがあります。それは、これらの記事は、「(今とそれ以前の)差分」に過剰注目しがちだ、ということです。

「ついに2019年!」とか「平成最後!」と言われると、人は自然と「今」と「それ以前」との比較をしてしまいます。この時、脳内で行われているのは「間違い探しゲーム」のような情報処理。大げさに言えば、「どこか違う部分はないかな~」と探し出すことを無意識に強制されてしまうのです。

「2019年のアイデアづくり」といった記事自体に問題はありませんが、2019年を生き抜く私たち一人一人にとってこの思考傾向は危険です。「差分」ばかりを見ていても、明日の自分の仕事を向上させるヒントは少ないからです。

事実、冷静に観察してみると、大抵の「変わるもの」の水面下には、「変わらないもの」が眠っています。そんな「不変のエッセンス=変わらないもの」を、戦略づくりの観点からまとめたものが、本書で紹介する6つのステージです。

書影
書籍、好評発売中! 詳細はこちら

どんな問題も悩みも、6つに分解できる

有名すぎる哲学者デカルトが、悩める全てのビジネスパーソンに、スゴく具体的な解決策を提示してくれています。

デカルト
ルネ・デカルト René Descartes(1596年‐1650年)

“困難は分解せよ”

300年以上前の言葉ではありますが、これぞ珠玉の「変わらないこと」。

企業経営だろうが、新規事業だろうが、マーケティングだろうが、営業促進だろうが、広告制作だろうが、親子喧嘩だろうが、大抵の問題は、以下の6つの「問いかけ」(=Q)に分解できます。

図版1
戦略づくりを構成する6エッセンス

この6つのQに答えていくことで、どんな問題でも「ゲームマップ=戦略の設計図」が完成する、というわけです。

例えば、江戸時代のあるウナギ屋さんは、「季節モノではなく、滋養モノとして売る!」という基本方針を掲げ、「土用の丑の日」というコピーを打ち出しました。その結果、ウナギの旬は秋冬であるにもかかわらず、今も夏にウナギを食べる習慣は続いています(諸説あり)。

このウナギ屋さんのアクションの裏側には、強固な6つのエッセンスが隠れているのです。本書では、以下のようなマップで表しています。

うなぎ屋メモ
江戸時代アイデアマンによる戦略づくり

6つのQのうち、どれかひとつでもボンヤリした状態のまま、いくら頭を動かし続けても、残念ながら問題解決はスムーズにいきません。いくらアイデアを並べても、どこかモヤモヤする、なんだかスッキリしない…。そんな時は明確になっていない部分があるのかもしれません。

ちなみに、先ほどの6つのQを裏返すと、そのまま戦略ナシの6パターンとなります。

図版
1つでも不明確だと、戦略はグラつく

今ご自身が向き合っている仕事やプロジェクトが「上手くいかない」と感じる場合には、漠然と悩むのではなく、ぜひ6つに分解して、不明確な部分がないかチェックしてみてください。

その課題における「バリアモンスター」を探せ!

本書では6つのQを、ゲーム感覚でクリアしていく「ステージ」という形式で、紹介しています。

目次
本書目次より

ここではお試し版として、
ステージⅣ「診断せよ!バリアモンスター【真の原因を探る】」
の一部をご紹介します。

ここで登場するキャラは、真っ黒な壁に手足の生えた魔物「バリアモンスター」。

バリアモンスター
ステージⅣの登場キャラ

ステージⅠ~Ⅲを経ると、理想のゴール(こうなったらHAPPY!という状態)が明らかになってきます。

しかし、いくら進むべき道がクリアになってきても、実際に、現実世界を変えるのは難しい。それは一体なぜなのか? それは、この魔物が、理想へと一直線に進む道を“通せんぼ”しているからなのです。

その問題におけるバリアモンスターを探索し、明らかにする作業がステージⅣのミッションです。

イメージしやすいように、読者の皆さまの「今週の仕事」に照らして、具体的に考えてみてください。

バリア(課題)の正体をハッキリとつかめないまま、アイデア(解決策)ばかりを検討していた時間・会議はなかったでしょうか?バリアの想定もなしに、ただひたすらにブレストをし続ける会議は、一見盛り上がっているように見えて、収穫が少ない「不作の時間」に陥りがちです。

逆に、バリアモンスターをはっきりと把握することができれば、邪魔で仕方なかった高い壁は、アイデアを飛躍させる魅力的なジャンプ台へと変化します。会議のディスカッションの質も、飛躍的に高まるはずです。

そこで次に「どのようにバリアを特定するのか?」の方法論が大事になります。
本書では、考える補助線として、「バリアモンスター図鑑」なるツールを紹介しています。

バリアモンスター図鑑
書籍の第3章で解説する「バリアモンスター図鑑」

2つの軸から、世の中にあふれるバリアモンスターを4分類したものです。

①(物理的・外的)不必要バリア
自分やその商品自身は変化していないものの、魅力的なライバルの出現や、代替手段(別のやり方やアイテム)の出現で、自分やその商品の存在価値が下がり、ターゲットに「不必要」と思われてしまう状況が発生することがある。

②(物理的・内的)弱点バリア
所持金の不足、加齢による身体的な衰えなど、いわゆる「弱点」とみなされる要素。しかし、一見弱点に見えることが、実は強力な武器になることがある。そこで「その弱点はバリアか?」「逆に強みに転換できないか?」と、慎重に見定めることが必要となる。

③(心理的・外的)当たり前バリア
社会や集団の中で受け入れられている「常識」や「ルール」。これらがきちんと機能しているからこそ、われわれは安心して「当たり前」の日々を過ごすことができる。しかし、新しい道を切り開くゲームに挑む場合、このありがたい「常識」や「ルール」が、逆に道を阻む「当たり前バリア」に変貌する。ビジネスでは特に、業界や会社の「古い慣習」や「前例」「決まりごと」といったものが行く手を阻むことが多い。

④(心理的・内的)バイアスバリア
自分が過去につくった「死んだ戦略」や、自分自身が以前から持ち合わせている偏見意識(バイアス)が、新しい戦略づくりの邪魔をしている状態。「成功体験」や「信念」といった過去の経験がベースとなってつくり出される見えない壁は、「バイアスバリア」と呼ばれる。以前は強力な味方だった場合もあり、一見してそれが邪魔者であると気づきにくいのが難点である。
 

P120,121「バリアモンスター図鑑」4象限の解説より一部抜粋


例えば、この記事の冒頭で、「新年と言われると、人は自然と『差分』に注目しがちになる」という話をしました。

この状態は、「仕事の成果を最大化したい!」と願い、さまざまなニュースを読むビジネスパーソンにとって、ある種の「バイアスバリア」であると言えます。

脳の構造という「心理的」かつ「内的」な条件が足かせとなって、過剰に「変わること」ばかりを気にしてしまい、冷静な判断ができなくなっている状態。その結果、本当は大事な「変わらないこと」への注目は削がれ、理想的なゴール(仕事の成果を最大化したい!)から遠のいてしまう。

しかし、「バイアスバリア」という魔物の存在をきちんと把握できれば、いたずらに踊らされることはなくなり、「仕事の成果を最大化したい!」という願望を満たすために、自分にとって本当に大事な情報をチョイスできるようになります。

以上、ステージⅣの概要でした。

平成が終わり、更なる変化の波が予想される2019年。そんな年の初仕事として、あなたが今取り組んでいるプロジェクトにとっての「バリアモンスター」は何なのか? ぜひ考えてみてください。

しかし、これだけでは、ゲームは終わりません。この魔物を退治するための「武器」と「方針(作戦)」がなければ、無事ハッピーエンドを迎えることはできません。

そこで用意されているのが、ステージⅤであり、その先のステージⅥなのです。
(つづく)