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聴覚障がいの子どもたちに向けた
音楽教育デバイス「Palm Beat」を開発

2019/02/25

    電通のデジタル・クリエーティブ・センターとピラミッドフィルムクアドラは2月25日、聴覚障がいの子どもたちが、光と振動で音楽のリズムやテンポなどが学べる教育デバイス「Palm Beat(パームビート)」を共同開発したと発表した。

    これまでの音楽教育では、それぞれ聞こえ方の異なる生徒に対して、個別にテンポやリズムを教えることで対応。複数の生徒に一斉に伝えることは困難と考えられていた。
    パームビートは、デバイスの振動で手の触覚を刺激し、先生の教えを同時に伝えることができる。
    パームビートには「指揮棒型」と「卵型」のデバイスがあり、先生が指揮棒を振ると、赤外通信で生徒たちが持つ卵型デバイスが光りながら振動する仕組みになっている。

     開発に当たっては、筑波大附属聴覚特別支援学校小学部の音楽担当・山本カヨ子教諭の協力の下、特別授業や音楽発表会を繰り返しながら開発を進めた。
    昨年の12月、千葉県市川市の同小学部講堂で、パームビートを使って練習した歌を保護者に披露する発表会を開催。生徒たちは上手にリズムをとりながら、見事に「とんぼのめがね」を歌い上げた。
    さらに、パームビートを使わず、手拍子もなく、先生の指揮だけで歌うことにも挑戦し合唱を成功させ、音楽や歌うことの楽しさを再発見したようだった。
    授業や発表会の様子は動画(https://youtu.be/9zT__MaeyMs)で視聴できる。

     山本教諭は「聴覚障がいの子どもにとって、音楽の三要素(メロディー、ハーモニー、リズム)の中では、リズムが最も習得できる可能性が高い。手拍子での練習では、正確にできる生徒は少なかったが、パームビートを使うとすぐに予想を超える効果が見られた。かわいいデザインのデバイスに親しみを持ちながら練習してくれた。生徒たちが自信を持てたのが大きな成果だと思う」とコメントした。

    開発担当者は「子どもたちがパームビートで学びを実感し、笑顔になってくれたのがとてもうれしかった。パームビートはまだプロトタイプだが、今後は製品をブラッシュアップしながら、同じ悩みを抱える聴覚障がい者の音楽教育にも役立ててもらい、よりよい社会づくりに貢献したい」と話した。

    公式サイト:http://palmbeat.jp/