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第6回 日経「星新一賞」表彰式
応募は計2489作品

2019/03/05

    第6回 日経「星新一賞」(主催=日本経済新聞社 協賛=JBCCホールディングス、東京エレクトロン、アマダホールディングス、日本精工、旭化成ホームズ、スリーボンド)の表彰式が3月2日、東京・港区の国立新美術館で行われた。

    生涯1000以上もの作品を生み出し、“ショートショートの神様”と呼ばれるSF作家・星新一氏。その名を冠した「星新一賞」は、理系な発想によって描かれた短編小説を公募する文学賞で、2013年に創設された。応募部門は年齢制限がない「一般部門」、在学中かつ25歳以下限定の「学生部門」、中学生以下の「ジュニア部門」の3部門がある。

    式の冒頭、星氏の次女で星ライブラリ代表の星マリナ氏は「星新一賞では優秀賞を含めると、5人の方が複数回受賞されている。さらに受賞後、創元SF短編賞やハヤカワ・SFコンテストの大賞を受賞された方も。これからはぜひ、日本SF大賞を狙っていただきたい」と呼び掛け、「人類の未来も、地球の未来も、私たちの想像力でいくらでも良くなる。これからもSFを読んで書いて、そして未来について考えてほしい」とあいさつした。

    左:岩井氏 センター:梅津氏 右:藤田氏
     

     今回は一般部門1564・学生部門160・ジュニア部門765と合計2489作品の応募があり、その中から各部門のグランプリと準グランプリ、優秀賞が決定した。一般部門のグランプリは梅津高重氏の「SING×レインボー」、学生部門のグランプリは藤田健太郎氏の「創訳する少女」、ジュニア部門のグランプリは岩井太佑氏の「クローン」が授賞した。
    一般部門グランプリの賞金は100万円。
    人工知能(AI)やクローンを題材にした作品の応募が多く、学生・ジュニア両部門のグランプリ作品もクローンに関する作品だった。AIによって創作された作品の応募も5編(第5回は7編)あったが、1 次審査を通過した作品はなかった。

    梅津氏の「SING×レインボー」(シンクロレインボー)は、文明崩壊の瀬戸際にある近未来が舞台。容量が限られたインターネットを使ったゲームだけが通信手段として残された世界で、人類がどのようにして文明を再構築していくかを描いている。審査員の1人で、カリフォルニア工科大教授の大栗博司氏は「前提をズラすセンス、驚きをもたらす発想、納得できる物語を展開する論理力によってグイグイと読ませる。理系思考を活かした作品としてグランプリに相応しい」と評した。

    梅津氏は日経主催の「全国統一プログラミング王決定戦」にも参加し、その表彰式と懇親会で、先々週も東京にいたという。「上位500人の懇親会出席者の中、私は499位で会場にいるプログラマーの中で最弱の状況。今回はグランプリに選ばれ、素晴らしい体験をさせてもらった」とユーモラスに喜びを語った。

     ■ 第6回 日経「星新一賞」受賞者一覧(敬称略)

    【一般部門】

    グランプリ(星新一賞) 梅津高重「SING×レインボー」

    優秀賞(JBCCホールディングス賞) 安野貴博「コンティニュアス・インテグレーション」

    優秀賞(東京エレクトロン賞)竹内正人 「KANIKAMA」

    優秀賞(アマダホールディングス) 揚羽はな「Meteobacteria」

    優秀賞(日本精工賞) 神谷敦史「アルティメットパッション」

    優秀賞(旭化成ホームズ賞) マウチ「不安」

    優秀賞(スリーボンド賞) 代哲安「ピピの物語」

    【学生部門】

    グランプリ(星新一賞) 藤田健太郎「創訳する少女」

    準グランプリ 大貫瑠香「ゼロ体温とオリーブオイル」

    優秀賞 関崎歩「良心の種」

    【ジュニア部門】

    グランプリ(星新一賞)岩井太佑「クローン」

    準グランプリ 岡本優美「ゆりちゃんの友達」

    優秀賞 奏太朗「決められた未来」

    優秀賞 山沢智知「商店街に挟まった日」

    優秀賞 岡田萌花「素晴らしきAI社会」

    公式サイト:http://hoshiaward.nikkei.co.jp/