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#採用活動は企業ブランディングのチャンス!No.2

就活生に影響を与える意外な情報源とは?

2019/04/02

第1回では、人材不足や情報環境の変化に伴い就活生が企業にとってますます重要なステークホルダーになっていること、そして採用活動が企業全体のブランディングにも影響を与えることをお伝えしました。

第2回は、電通PR内の研究組織である企業広報戦略研究所が実施した内々定・内定獲得者1000人のアンケート調査から就活生の情報源を読み解き、情報接触の視点から企業ブランディングにもつながる採用活動のポイントを解説します。

最終的に入社を決めた、就活生に最も影響を与えるメディアとは

企業は就活生とコミュニケーションを取るために、どのような経路で情報を届けるべきでしょうか。新卒採用情報に特化したメディアを除いた調査結果から見てみましょう。

就活生が入社予定の企業に魅力を感じたきっかけは、1位「社員・店員など」(52.0%)、2位「企業が直接発信する情報」(43.8%)、3位「インターネット上での口コミや評判」(39.5%)、4位「身近な人との会話」(27.5%)、5位「番組や記事」(14.2%)となりました。

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また、最も企業の魅力を感じたメディア(新卒採用情報に特化した総合就職ナビサイトを除く)を聞いたところ、1位は「口コミサイト」(197人)となり、約5人に1人が選びました。就活生による書き込みで採用活動の実態が明らかになる新卒向け口コミサイトだけではなく、転職者向けの口コミサイトも多く挙げられていました。転職者向け口コミサイトでは、現役社員や元社員による企業の実情を知ることができるため、新卒の採用活動でも非常に重要な存在になってきています。

この結果は、企業のリアルな姿を就活生は把握していることを意味しており、実際に企業が保有していない魅力(FACT)をイメージだけで訴求すると、反対に企業のブランドイメージを壊しかねないことを示唆しています。

企業を“選ぶ”立場の就活生に影響を与えるのは〇〇〇〇

次に、内々定・内定を5件以上獲得し、企業を“選ぶ”立場にいた学生たちに絞って情報源を分析しました。

これらの企業を選ぶ立場にいる学生たちが重視する傾向にあったのは、企業から発信される情報源では「リクルーター面談」「OB・OG訪問」、企業以外の情報源では「口コミサイト」でした。

これらは、すべて「社員」にたどり着きます。

メディアの取材を受ける人や企業のウェブサイトで紹介されている人、売り場などでサービスを提供する人、採用活動の担当者、面接官、OB・OG訪問で接した人、リクルーターなど、社員と就活生との接点は多様です。

ほかにも、ある就活生が接した社員との体験は、口コミサイトやSNSによって不特定多数の就活生に届けられ、これも間接的な社員との接触といえます。また、身近な先輩・同級生などの体験は、リアルな口コミとなります。

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このため、社員が企業のブランド体現者となるよう、インターナルブランディング®(※1)を実施した上で就活生に接してもらう必要があります。そうすることで、就活生はその企業に好感を抱き、ひいては未来の重要なビジネスパートナーにもなり得る存在になっていきます(就活生が企業の重要なステークホルダーである理由は第1回参照)。

なお、インターナルブランディング®は、社員への企業理念やビジョンの浸透が不可欠になります。そのため、理念やビジョンを改めて振り返る社員ワークショップが重要となるのですが、それを戦略的採用活動の1ステップとして実施することで、着手のきっかけにできるという側面もあります。

※1 社員が企業の理念やビジョンに対する理解を深め、企業のブランド体現者として、それに則した行動をし、内からの企業ブランド構築によって強い企業ブランドを創る活動のこと。(電通パブリックリレーションズの登録商標)

就活生の活動ステージや属性によって感じる企業の魅力は異なる

次に、就活生たちが企業のどこに魅力を感じるのかについて解説します。内々定・内定を5件以上獲得し、企業を“選ぶ”立場にいた学生たちが「エントリー前に感じた魅力」と「入社を決める際に重視した魅力」は以下の通りです。

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5件以上獲得した就活生がエントリー前において企業に求める魅力は、「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」「就業的魅力」の4カテゴリーが就活生全体のランキング(第1回参照)と同様にバランスよくランクインしています。5件以上獲得した就活生も多角的に企業の魅力を評価していることが分かります。

一方、同じく5件以上獲得した就活生が入社を決める際に重視する魅力のトップ10では、「就業的魅力」が6項目ランクインしています。

つまり、5件以上獲得するような就活生に入社してもらうためには、「就業的魅力」を打ち出すのはもちろん、エントリー前の時点で日々の企業活動における「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」も効果的に打ち出さなければ、そもそもエントリーしてもらえない可能性があります。就活期間だけではなく、日々の企業活動そのものが見られているのです。

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ちなみに、近年企業からの採用ニーズの高い理系の大学院生が最も重視しているのは、「高い技術力・ノウハウに基づく商品・サービスを提供している」でした。革新的で高い技術力・研究開発力に裏打ちされた商品・サービス、それを支える企業経営など、入社後に自身が望む研究開発ができるのかを問う項目が挙げられています。

このように、企業は就活生の活動ステージや属性を理解し、それぞれの志向に応じた魅力(FACT)を伝える必要があります。そうすることで、欲しい人材を採用できるのはもちろん、採用活動を通じた企業ブランディングも可能になっていきます。

最終回となる第3回では、「採用版・企業魅力度ブランディングモデル」の開発に協力いただいた採用コンサルタント・アナリストの谷出正直氏に最新の就活生・企業のトレンドを紹介してもらうとともに、それらを踏まえ、採用活動における企業ブランディングのポイントを解説します。