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就活生はインフルエンサー? 採用活動に全社を挙げて取り組むべき理由

#採用活動は企業ブランディングのチャンス!No.1

2019/03/12

就活生はインフルエンサー? 採用活動に全社を挙げて取り組むべき理由

昨今、就活は学生優位の超売り手市場となり、企業が学生を選ぶ時代から、学生に“選ばれる時代”に突入しました。それに伴い、企業の採用活動に注目が集まっています。

電通PR内の研究組織である企業広報戦略研究所では、人(就活生)が集まる採用活動の場は企業ブランディングの大きなチャンスであり、採用を超え、企業全体が一丸となって取り組むべき広報活動の場と捉えることが重要であると考えています。

そして、採用活動の場に集まる就活生に効果的にコミュニケーションすべく、就活生から見た企業の魅力度を測る指標「採用版・魅力度ブランディングモデル」を有識者と共に開発しました。

この連載では、同モデルを基にした就活生への調査結果、そこから分析した採用活動を企業ブランディングにつなげるためのポイントを3回にわたって紹介していきます。

企業は“選ばれる”時代に突入! 
「採用」は全社連携が重要テーマに

 

少子化が続く社会環境で「採用」は企業の重要経営課題の一つに挙げられるようになりました。上場企業の広報担当責任者を対象にした当研究所の調査でも、採用は重要なテーマとして伸長しています。

2018年は「広報活動で重視するテーマ」として、「リクルーティング」が前回の2016年調査よりも16.5ポイント上昇し30.9%、「重視するステークホルダー」として「就活生・学生」が18.4ポイント上昇し66.8%となりました。

グラフ
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採用はもはや採用担当者だけではなく、広報を含む全社的な部門間連携が必要なテーマとなっています。

就活生は企業にとって中長期にわたる重要なステークホルダー

そもそも企業は翌年入社予定の就活生を対象に採用活動を行いますが、その就活生は企業にとって、「現在」と「未来」という二つの軸で重要なステークホルダーとなることを念頭に置く必要があります。

「現在」における就活生はスマホを持ち、インターネットやソーシャルメディアで積極的に情報を収集したり、発信したりしています。企業の採用活動だけでなく、時には採用に関連しない企業活動に関する情報が、インターネットを介してあっという間に拡散されていきます。さらに、発信・拡散された情報はインターネット上の掲示板、ニュースなどさまざまな形でアーカイブされ、企業のレピュテーション(評判)に影響を与えます。その点で、自社に最終的に入社する一部の就活生にフォーカスするだけではなく、就活生全般が重要なステークホルダーであるという前提が不可欠となります。

そして「未来」。先が見えない経済環境を突破するために、優秀な学生が自社社員となれば重要なステークホルダーとなることはもちろんですが、入社しなかったとしても、将来的な顧客、取引先、株主などになり得ます。社外の優秀な人材と接点を持つことは、オープンイノベーションが求められる時代ではなおさら重要視されます。

就活を通じて企業を評価する就活生が9割。好きになると今後も応援する

当研究所の調査によると、就活を通じて企業を好きになった経験があるか、嫌いになった経験があるか、と聞いたところ、11.7%が「印象が変わった経験はない」と回答しています。つまり、約9割の就活生が就活を通じて企業を評価していることが分かりました。

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さらに、好きになった経験がある就活生に対して、その企業を今後も応援したいと思うかと聞くと、98.1%とほぼすべての就活生が「今後も応援したいと思う」と回答しました。

加えて、好きになった企業、嫌いになった企業に対して行動を起こしたかを聞いたところ、好きになった企業に対しては4人に3人が、嫌いになった企業に対しては2人に1人が何かしらの行動を起こしていました。

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企業と就活生は、報道、広告、商品・サービス、店員、ECサイトなど生活の中でも様々な接点がありますが、就職活動では、採用イベント、OB・OG訪問、採用担当者、インターンシップなどさらに接点が豊富に加わります。

そして、学生にとって就職活動は、能動的に特定企業の情報を収集する貴重な機会でもあります。これらは企業ブランディングにおいて重要です。その機会を最大限に生かすためには、企業は何らかの形で、一度自社に興味を持ってもらう必要があります。

就活生が注目する3要素とは

就活生にとっての企業の魅力度を測る指針として、当研究所では、2016年に独自開発した「魅力度ブランディングモデル」を基に、採用コンサルタント・アナリストの谷出正直氏と共同で「採用版・魅力度ブランディングモデル」を開発しました。

同モデルは主に就活生に影響を与える三つの要素で構成されています。

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1.就活生から見た企業の魅力「採用版・企業魅力度」

一つ目の要素は「採用版・企業魅力度」です。

企業を評価する三つの魅力「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」に、自分自身がその会社で働くことを想定した「就業的魅力」を加えた4カテゴリー・全48項目(各カテゴリー12項目)で構成されており、就活生が特定企業の何に興味を持ち、どこに注目するのかを整理したものです。

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・人的魅力:企業を構成する「個人」や事業活動を通じて周囲に感じさせる「法人」としての魅力

・財務的魅力:優れた経営システムや財務パフォーマンスと、それらを支える仕組みや取り組みに関する魅力

・商品的魅力:商品・サービスを通じて伝わる魅力

・就業的魅力:企業文化や職場環境など、実際にその企業で働く上で感じる魅力

特に「就業的魅力」は、自分が働く上でのベースになる部分であり、採用を広報に生かす際の要となる訴求項目です。

2.就活生は「採用活動」自体も評価する

二つ目は、採用活動自体です。例えば、魅力的な採用担当者はその企業そのものの評価につながります。また、明確で疑義のない選考プロセスの実施も差別化のポイントにつながります。

3.就活生が反応する「社会トレンド」

三つ目が、働き方改革、技術革新、女性活躍など社会が注目するトレンドです。

学生は就活により初めて働くことが身近になり、社会トレンドを自分事として捉えるようになります。就活生が関心のある社会トレンドに対して企業が共感できる対応をしているかは、評価を左右する大きなポイントです。

以上の三つの要素の掛け合わせで、就活生は企業を判断するため、一貫性を持った採用活動や企業活動が不可欠になります。

三つは足し算ではなく掛け算であることがポイントです。一般的に大企業や有名企業は企業魅力度が高く有利ですが、それ以外の要素を活用することによって、中小ベンチャー企業が大手企業を上回ることもあり得ます。

就活生は多角的に企業の魅力を評価

この「採用版・魅力度ブランディングモデル」に沿った就活生1000人への調査では、「就業的魅力」が比較的大きな割合を占めたものの、「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」も就活生は見ていることが分かりました。

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また、この傾向は、4カテゴリー・全48項目のうち、就活生に選ばれたトップ10のランキングでも同様でした。

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デジタルネイティブの就活生は、自分の就職活動における体験だけなく、SNSや口コミサイトなどでも判断しています。さらに、「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」は、日々の企業活動の積み重ねによって形成されます。

採用活動と企業ブランディングが密接に関わるのはこのためです。

もし、採用活動期間だけにフォーカスしたり、実体を伴わず都合のいい部分のみを訴求したり、話題性のある採用広報だけに注力したりすれば、昨今の就活生の評価軸とミスマッチが生じ、逆に企業ブランドを傷つける可能性も高まります。

次回以降では、このような背景を理解した上で、では、採用活動を通じてどのように企業ブランディングをしていくべきかについて述べていきます。