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世界のスタートアップが、東京にやってきた

スポーツにイノベーションを!SPORTS TECH TOKYONo.3

2019/06/25

世界のスタートアップが、東京にやってきた

STT

電通CDCの薬師寺です。

4月。SPORTS TECH TOKYOに参加する世界のスタートアップを東京にお呼びし、一斉にビジネス支援を行う取り組みをしました。(参考記事:SPORTS TECH TOKYOキックオフ!世界のスポーツテック企業が東京に集結 )

SPORTS TECH TOKYO自体についても、まだご存じない方が多いかと思いますので、この記事では今回実施した取り組み「キックオフ・カンファレンス」と共に紹介します。

<目次>
SPORTS TECH TOKYO キックオフ!
スタートアップは出会いを探しにやってくる
出会いの下地をつくる「ラウンドテーブル・ディスカッション」
持ち物と探し物を見せ合う「ピッチ」&「リバースピッチ」
1on1の「マッチング・ミーティング」を大量設定 
秩序と混沌の間にマッチングの妙

 


SPORTS TECH TOKYO キックオフ!

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SPORTS TECH TOKYOは、電通とスクラムベンチャーズによるアクセラレーション・プログラムです。

アクセラレーション・プログラムとは、優れた技術・プロダクト・ビジネスアイデアを持つスタートアップを募り、さまざまな支援を行うことで事業成長を加速(アクセラレート)させていく取り組みです。

ここ数年、国内でもオープンイノベーションを目指す企業が多く実施するようになりました。中でもSPORTS TECH TOKYOはその名の通り、スポーツテック(スポーツ×テクノロジー)領域をテーマにしている点が特徴です。

昨年10月に立ち上げ、同時にスタートアップの募集を始めたところ、最終採択する10〜20社の枠に対し、世界33カ国から約300社の応募がありました。このうち1次選考を通過したスタートアップを東京にお呼びして、SPORTS TECH TOKYOに参画する他のさまざまなステークホルダーと顔合わせを行いつつ、同時にビジネス支援も行ったのが今回のキックオフ・カンファレンスです。

スタートアップは19カ国から104社、その他の企業、スポーツチーム・リーグ、ベンチャーキャピタル、メディアを合わせると約500人が参加しました。

スタートアップは出会いを探しにやってくる

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今回、スタートアップがはるばる日本までやってきて、このキックオフ・カンファレンスに参加するのは、もちろんSPORTS TECH TOKYOへのコミットもあるのですが、最大の目的はビジネスパートナー探しです。

ビジネスパートナーとは出資会社、事業連携の相手会社、共同研究の相手会社、プロダクトの販売先会社などスタートアップによってそれぞれですが、日本でのビジネスを拡大していく上で組みたい相手ということです。

一般に社員の数が限られるスタートアップにとって、独力でビジネスパートナーを探すことは容易ではありません。そのため、このキックオフ・カンファレンスのように、さまざまなプレーヤー、ステークホルダーと一気に出会えるイベントが価値を持ってきます。しかも今回は参加人数も約500人と多いため、期待も高まります。

ただ一方で、人数が多いことは出会いが希薄になりやすいということでもあります。“集めるだけ集め、あとは皆さん方でよしなにどうぞ”では、うまくいきません。

限られた時間の中で(今回は3日間)、いかにして出会いの量と質を担保するかが、主催する側に問われてきます。

出会いの下地をつくる「ラウンドテーブル・ディスカッション」

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最初に行ったのがラウンドテーブル・ディスカッションです。

これは会場に「ウェアラブル技術」や「トレーニング改善テクノロジー」など、スポーツテックのカテゴリーに対応した8個の島(上図参照)をつくり、インタラクティブなディスカッションを行うものです。それぞれの島にはファシリテーターを2人ずつ配置して、ディスカッションをリードしてもらいます。

ラウンドテーブル・ディスカッションの表向きの目的は、それぞれのトピックスについての議論なのですが、実はもう一つ、「最初にほどよい大きさの顔見知りコミュニティ-をつくる」という狙いがあります。

イベント開始時点では、参加者同士の面識はほぼありません。そこから1人ずつネットワークを広げていくより、はじめに20〜30人くらいの程よい大きさの顔見知りをつくってしまう方が、その後のネットワークの拡張が格段に速くなります。後々効いてくる出会いの下地を、一番はじめにつくっておくということです。

このラウンドテーブル・ディスカッションは日本ではなじみがなく、企画段階では狙い通りインタラクティブな状況が生まれるかなど懸念がありましたが、ふたを開けてみれば冒頭から非常に活発なやりとりが生まれていて、終了予定時刻を過ぎランチタイムになってもそのまま議論を続けている島もあるほどでした。

視察に来ていたスポーツ庁の皆さんも「非常に面白い方法。われわれのイベントでも試してみたい」と話していました。

持ち物と探し物を見せ合う「ピッチ」&「リバースピッチ」

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ネットワークを広げるための下地ができたところで、次に行ったのが全スタートアップ参加のピッチ・セッションです。各スタートアップが、自社の技術やプロダクトなど“自分の持ち物”と、今後の展開やそのために必要なものなど “自分の探し物”を発表していく場です。

今回のキックオフ・ミーティングでは1社当たりの持ち時間を2分半とし、スポーツテックのカテゴリー別に3部屋に分け、同時並行で実施しました(それでも全て終わるまでに約3時間かかりました)。

なお、こうしたビジネスマッチングを狙うイベントでは、“自分の持ち物と探し物を発表する”ピッチはスタートアップ側だけでなく、ビジネスパートナー(候補)側も行った方が絶対によいです。一般に「リバースピッチ」と呼ばれたりしますが、そうすることによってスタートアップ側も「この相手とこういう連携があるかも」と考えられるようになります。いまだ形のない連携を模索するときに、探すための頭数は多い方が確実に有利です。

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今回、ビジネスパートナー側からは、SPORTS TECH TOKYOのプログラムパートナーである伊藤忠商事、日本マイクロソフト、CBC、またスポーツチーム・リーグから日本サッカー協会、Bリーグ、パシフィックリーグマーケティング、北海道ボールパーク、東京ヴェルディ、スポーツビジネスプレーヤーからdeltatre、DAZNに発表いただきました。もちろんプログラムを主催する電通も、ピッチを行いました。

1on1の「マッチング・ミーティング」を大量設定

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イベント最終日にはクライマックスでもある「マッチング・ミーティング」を実施しました。これはスタートアップ側とビジネスパートナー側を引き合わせて、1社対1社で個別具体の商談に臨むプログラムで、昔ながらのお見合いでいえば、“あとは若いお二人だけで…”のアレです。

参加したスタートアップは103社。一方のビジネスパートナー側は、SPORTS TECH TOKYOプログラムパートナーの企業、スポーツチーム・リーグ、そしてスタートアップとの幅広い連携が考えられる大手メディアなど50社。この50社にそれぞれテーブルを割り当て、そこへ事前に決めておいたスタートアップが順番に入れ替わり立ち替わりやってくる仕組みです。

ここまでの2日間で下地はできているので、あとはもう数の勝負。1スロット20分のミーティングを14セット繰り返すスピードデーティング形式で、1日で合計568回のマッチング・ミーティングを実現させました。

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ちなみに、どのスタートアップとどのビジネスパートナーをマッチングさせるかは、運営事務局のわれわれが決めました。双方の希望を元にするのですが、103社×50社を同時に重複なく組み合わせるため、すべてが希望通りにはなりません。かといって空席にしておくのももったいないので、事前に希望した相手以外でも、われわれから見て相性が良さそうなスタートアップをマッチングしたところ、意外なことが起きました。

事前に希望していた相手とだけお話しされた会社より、組み合わせの都合で希望以外の相手とも2~3割程度お話しされた会社の方が、終わった後の満足度が高くなったのです。希望した相手の割合が多ければ多いほど、満足度も高くなるように思えるのですが、実際はそうはなりませんでした。

これはおそらく、希望通りのマッチングで得られるのは予想の範囲内の満足であり、それ以上の満足は往々にして思ってもみないところから得られるものである、ということだと思います。特に今回のような、まだ見ぬ相手と未来のビジネスを模索していこうという状況では顕著なのかもしれません。

イベントを主催するわれわれには、本人には見えない“少し先にある、思ってもみないマッチング”を見つけ出す勘所と、“(希望とは違うかもしれないけど)だまされたと思って、少しだけ言うことを聞いてもらう”信頼関係が求められることになります。

秩序と混沌の間にマッチングの妙

3日間でおよそ500人近くが参加した壮大な“お見合い大会”は、人数に加え、それぞれのプレーヤーがそれぞれの立場と目的(思惑?)の下に動いていたため、会場は終始混沌としていました。ただ、今回やってみて分かったのは、その混沌からでしか生まれない出会いと化学反応があって、それこそが価値を持つのではないかということです。

最後にご紹介した、「思ってもみない出会いをつくる」という話も、さまざまなプレーヤーとその思惑が入り混じった、ごちゃごちゃした状況があってこそできたことです。

もちろん、単に混沌としているだけではイベントはめちゃくちゃになってしまうので、秩序だった枠組みは必要です。ただ、その枠組みの内側には、ごちゃごちゃする余地をあえて残しておく。どうやら秩序と混沌の間に、予想外・想定外を味方につけるスイートスポットがあり、それをうまく設計することこそがマッチングの妙のようです。

さて、今回は「キックオフ・カンファレンス」の様子をご紹介しましたが、SPORTS TECH TOKYOのプログラムはこれからが本番です。8月20日にサンフランシスコのオラクルパーク(メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地球場)で開催する成果発表イベント「デモデイ」に向け、ぐんぐん加速していきます!

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