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G20大阪サミットに日本の技術・アイデアが集結!

2019/07/10

    日本主催としては史上最大規模の国際会議、G20大阪サミットが2019年6月28、29の両日に開催された。会場のインテックス大阪(大阪市住之江区)に各国の報道陣が多数集結する中、本会議に先立つ27日から国際メディアセンターがオープンし、政府広報展示スペース他では多くの参加者の目を引く展示を実施。世界に向けて日本の技術・アイデアを発信した。

    参加各国・国際機関の旗がたなびく会場前

    今サミットの主要テーマ「世界経済」「貿易・投資」「イノベーション」「環境・エネルギー」「雇用」「女性のエンパワーメント」「開発」「保健」に沿ったアイデアの数々や、日本と大阪・関西の魅力を発信するスペース、“天下の台所”大阪ならではの食材を中心に使用したダイニング、食べ歩きが楽しめるライブキッチンが報道陣の注目を集めた。

    広報展示スペースの入り口
    水素をエネルギー源として走るトヨタの燃料電池自動車「MIRAI」カットモデル

    ①政府広報展示スペース

    関係省庁や民間企業の協力の下、人にとっても地球にとっても豊かな新しい時代を創造するための革新的な技術やアイデアが集結した。

    特徴的だったのが、持続可能な成長のために地球規模の環境問題を解決するイノベーション。多くの展示に、SDGs(持続可能な開発目標)への積極的な取り組みの姿勢が見られた。「社会(SOCIETY×INNOVATION)」「健康(HEALTH×INNOVATION)」「海洋プラスチックごみ(MARINE PLASTIC LITTER×INNOVATION)」「エネルギー(ENERGY×INNOVATION)」「開発協力(DEVELOPMENT COOPERATION×INNOVATION)」という切り口から、山積する地球規模の問題を解決するための日本の革新的な技術とアイデアを紹介した。
    それぞれ、展示の中心となったものは以下の通り。

    社会…IoT、AI(人工知能)、ビッグデータ、宇宙技術と組み合わせたロボット技術

    SEQSENSEのセキュリティロボット「SQ-2」。巡回警備を行うことで、人手不足解消や省力化につながる
    三菱重工業の航空機模型
    アストロスケールの宇宙ごみ除去技術実証衛星「ELSA-d(エルサディー)」。宇宙機の安全航行の確保にもつながる技術だ

    健康…病気の予防、早期発見と最適な治療など、健康長寿のための革新的な技術

    CYBERDYNEの「ロボットスーツHAL」。装着者の「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出し、意思に従った動作を実現
    ミツフジのhamon。伝導性繊維を使用し、精緻な生体情報データを取得。アプリ・クラウドとの連携で情報の蓄積・解析も可能
    パナソニックの歩行トレーニングロボット。AIが一人一人のハンドルを押す力を解析し、安全で効果的な歩行トレーニングを可能に

    海洋プラスチックごみ…プラスチック資源循環のさまざまな段階における日本の技術や取り組み

    セブン&アイ・ホールディングスの小型ペットボトル減容回収機。飲み残しやフタの付いたペットボトルは受け付けないため、純度の高いプラスチックが回収可能
    いであの「YOUZAN」。海底面での環境調査に特化し、海底におけるプラスチック集積場所把握には最適なホバリング型AUV
    カネカの「カネカ生分解性ポリマーPHBH」。プラスチックと同様に使用可能。土中、海水中では微生物が水や二酸化炭素に分解。動物が誤って飲み込むリスクを軽減

    エネルギー…温室効果ガス削減の長期的目標達成のために、日本が推し進めるエネルギー関連技術

    スズキの燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル」(左)、日立オートモティブシステムズメジャメントの水素ディスペンサー(右)
    三菱日立パワーシステムズのガスタービン。発電での水素活用促進につながる技術
    川崎重工業の大型液化水素運搬船。従来輸送困難だった「水素」の安全輸送を可能にし、水素社会の実現につなげる

    開発協力…途上国支援における日本のグッドプラクティス

    さまざまな地域で日本のノウハウが活用されている
    カンボジア・プノンペンでの前期中等教育施設拡張計画を紹介

    また、東京2020大会、ラグビーワールドカップの概要や東日本大震災被災地の現在の姿、日本の観光資源、伝統文化などもPRした。

    東京オリンピックの聖火リレートーチ
    東京パラリンピックの聖火リレートーチ
    開催が間近に迫るラグビーワールドカップもポスターで紹介 

    ②大阪・関西魅力発信スペース

    G20大阪サミット関西推進協力協議会は、舞台の大阪と関西が持つ「伝統工芸」「産業技術」「食」「歴史文化」「観光」や、2025大阪・関西万博などの多彩な魅力を、過去から未来にかけてのさまざまな展示を通してアピールした。

    大阪にゆかりの深いキャラクターや造形物のミニチュア
    ラムネや冷や麦、すし、枝豆など日本独自の食文化を提供
    伝統文化の舞妓さんも登場。外国人報道陣を中心に人気を集めた

    また、2025年の大阪・関西万博とそれ以降に向けて、「Saving Lives(救う)」「Empowering Lives(力を与える)」「Connecting Lives(つなぐ)」の三つの“Lives”に焦点を当てた取り組みが示された。いずれも、SDGsの目標に深く関連している。

    大阪・関西万博を「通過点」とし、その後もSDGsの課題に取り組む姿勢を示したパネル

    ③ダイニング/ライブキッチン

    ダイニングでは、大阪をはじめとする関西エリアの新鮮な食材をふんだんに使った食事が提供された。国内外から多数訪れる来場者の好みや宗教上の制約に配慮し、安心して楽しめる食事をビュッフェ形式で用意した。
    ライブキッチンは、「食いだおれの街」大阪を象徴する料理を、目の前で調理を見ながら楽しめる趣向。東日本大震災被災地の特産品も提供した。たこ焼き、串焼き、ソフトクリーム、ウニやホヤなどの食べ歩きに、多くの来場者が心を躍らせていた。

    この他、報道陣のため6号館3階にワーキングスペースが設けられ、G20を特集した各新聞を配布。所々に日本を感じさせる装飾が施され、報道陣がくつろぐ姿も見られた。

    3階入り口のインフォメーション
    ワーキングスペースの風景
    所々に和を感じさせる演出も