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「東京2020 復興のモニュメント」プロジェクト始動と、仮設住宅の再生アルミでレガシーを

2019/07/22

    東京2020組織委と大会ゴールドパートナーのLIXILは7月17日、「東京2020 復興のモニュメント」プロジェクト発表会を東京・港区で行った。
    同プロジェクトは東日本大震災の被災地と世界を結ぶシンボルとして、被災3県で役目を終えた仮設住宅の窓などの再生アルミ2トンを利用し、各県に一つずつ計3個のモニュメントを制作するもので、東京都や東京藝大、被災地が提携・協力する。
    モニュメントには、被災地の生徒により震災時に世界から届けられた支援への感謝や、大会に出場する選手への応援メッセージなどが施され、大会関連施設に設置。大会後は、応援への感謝として選手らのサインを施し、大会レガシーとして被災地に寄贈される。

    ©Tokyo 2020

    組織委の武藤敏郎事務総長は、「東京大会では、使命の一つに『被災地の復興』を掲げている。これをどう実現するか検討した結果、“復興のモニュメント”で被災地を激励することとした。具体的なアイデアを模索する中、被災地で使用された仮設住宅のアルミサッシなどをリサイクルするという提案があった。東京大会が終わった後も末永く復興オリンピックのレガシーとして残し、復興の励みにしてほしい」と挨拶した。

    LIXILの東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部長・佐竹葉子氏は、震災直後に全国の社員が被災家屋の修繕活動を行った他、仮設住宅に窓やドアなどアルミ建材を提供し復興を後押ししたことを振り返りながら、「あれから8年、仮設住宅に入居されていた方は退去に当たり、新たな一歩を踏み出す喜びと同時に、厳しい避難生活を共に過ごした愛着から、仮設住宅との別れを惜しむ方も少なくないと聞く。たくさんの思いが詰まったアルミサッシを形として残し、未来へつなぎたい」と語った。

    トークセッションにはLIXIL公式アンバサダーを務めるプロテニスプレーヤーの錦織圭選手と、お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさん、富澤たけしさんが駆け付けた。

    震災当日、被災地に滞在していた伊達さんと富澤さんは、「解体された仮設住宅がどうなるのかと思っていたらモニュメントになると聞き、素晴らしい試みだと感じる。心からうれしい」「仮設住宅はつらい生活の象徴だと思われるが、こうして形を変えて世界やアスリートと結びつくことで、見た人がポジティブな気持ちになれる」とコメント。錦織選手は「仮設住宅がどうなるか疑問だった。こうしてアスリートを応援してくれるモニュメントとして生まれ変わるのはいいアイデアだ」と共感を示した。

    会場で行われた再生アルミ納入式に参加した錦織選手は、「この活動をきっかけに、被災地への思いがさらに強くなった。東京大会はメダルが取れるように頑張り、さまざまな形で被災地への関わりを増やしていきたい」と話した。


    プロジェクトでは、8月に被災3件でワークショップを開催し、東京藝大の学生によるデザイン案を基にモニュメントのイメージを決定。9月からは、東京藝大でモニュメントの製作を開始。2020年7月に大会関連施設に設置された後、同年12月に被災地に運ばれ、大会のレガシーとして展示される予定だ。