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ゴールデン・スポーツイヤーズNo.1

スポーツ界に到来した奇跡の3年で
第二の開国へ!

2019/09/17

国際的なスポーツイベントが日本で続々と開かれる「ゴールデン・スポーツイヤーズ」(GSYs)。その3年間は、スポーツの枠を超え、さまざまな領域の進化をもたらすと予想されています。早稲田大スポーツ科学学術院教授の間野義之氏が、イベントがもたらす波及効果を解説します。

 

データで見る、ゴールデンスポーツイヤーズの詳細
 

ラグビーワールドカップ2019
期間 ▶ 9月20日~11月2日
日数 ▶ 44日
出場国・地域と参加競技者数 ▶20カ国・地域(48試合)、1000人
競技開催地 ▶ 全国12都市
来場者数▶ 220万人
経済効果▶ 4372億円
大会キーワード ▶
● 世界第3位のスポーツイベント
● 大会期間が長く全国開催のため、海外ファンの日本周遊が見込める
● 欧米・豪の富裕層が多い
 
 
東京オリンピック・パラリンピック
期間 ▶ 7月24日~8月9日(オリンピック)/ 8月25日~9月6日(パラリンピック)
日数 ▶ 計30日
出場国・地域と参加競技者数 ▶ 204カ国・地域、1万5000人
競技開催地 ▶東京を中心とした関東・中部・東北・北海道
来場者数▶ 1000万人
経済効果▶ 20兆円
大会キーワード ▶
● 世界第2位のスポーツイベント
● 多数の国・地域が関わり外交面でも重要
● ダイバーシティー&インクルージョン啓発の機会
 
 
ワールドマスターズゲームズ2021関西
期間 ▶ 5月14日~5月30日
日数 ▶ 17日
出場国・地域と参加競技者数 ▶ 150カ国、5万人
競技開催地 ▶ 関西広域
来場者数▶ 20万人
経済効果▶ 1461億円
大会キーワード ▶
● おおむね30歳以上の一般人誰もが参加可能。世界最大の“するスポーツ”の祭典
● ラグビーやオリンピックの種目もあり、19年、20年の効果を受けスポーツ実施率向上の好機
 
※表の数字やデータは間野氏の著書を基に作成

 

日本にもたらす「第2の開国」
連続開催はなぜメリットを生む?

大きなスポーツイベントは、さまざまな領域に効果をもたらします。といっても単発の大会では、その効果も一過的・局所的になりかねません。三つの大会が連なったことで、効果に時間的・空間的な広がりが生まれるでしょう。これがGSYsの大きなメリットです。加えて締め切り効果も大きいです。開催日という明確な締め切りがあるため、一定期間で大きな変化を起こしやすい。実際、今回のような同一国での連続開催は今後主流になるかもしれません。

では、GSYsがどんな領域にレガシーをもたらすのか。詳しくは次回、お話ししますが、インバウンドの隆盛はもちろんのこと、大きな意味では「第2の開国」になるでしょう。人口減少を背景に日本は国際化や多様化が進みます。外国人労働者は増えていくでしょう。地方はその準備が遅れているケースも多い。その中でこの3年間は住民の国際意識も高まり、次のステージに上がるチャンスです。締め切り効果を生かしながら、3年間で国際化の下準備をする。そのための絶好の機会になるとみています。

改めて、スポーツってそんなにすごいの?
いまだにやまない進化と可能性

スポーツは、今も産業としての成長が期待されています。特に日本は、政府がスポーツ産業を約10兆円伸ばす試算を出しており(※)、伸びしろがあるといえるでしょう。スタジアムの在り方も変わり、海外では映画館や図書館を併設した多機能複合型の施設も登場しています。

競技の進化も目覚ましいものがあります。現在、世界的に起きているのがスポーツのダウンサイジングとストリート化。前者はバスケットボールの3×3やフットサルが代表で、後者はスケートボードや体操的な動きを街中で行うパルクールが人気を高めています。さらにeスポーツの人気はすさまじいもの。スポーツの歴史はいまだに進化しており、それこそがこの分野の可能性を物語っています。

※政府は2016年に発表した「日本再興戦略2016」の中で、15年時点で5.5兆円だったスポーツ産業を、25年までに15兆円へ拡大するとしている。