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2020/05/20

LINEでお寿司いかがですか?

運用開始から2年が経過した宅配寿司「銀のさら」のLINE公式アカウント。ユーザーとのコミュニケーションを丁寧に積み重ね、熱心なファンづくりと大幅な売り上げアップを実現しています。

LINEユーザーの心をつかむ“日常に溶け込むコミュニケーション施策”、そしてトライ&エラーを積み重ね、見つけ出したクリエイティブのポイントとは?

「銀のさら」を運営するライドオンエクスプレスの永山覚氏と、プランニング・制作・運用・システム構築を手掛ける電通アイソバーの荻野好美氏が語り合いました。

銀のさら×電通アイソバー
左から、銀のさら マーケティング担当の永山覚氏と、電通アイソバーの荻野好美氏。対談は2020年3月25日実施。

より幅広い顧客に、便利で楽しい“お寿司の体験”を提供したい!

永山:「銀のさら」は宅配寿司のブランドです。かつて多くのメニューを印刷し、それを宅配エリアのお宅にポスティングして、「電話1本・出前迅速」といった顧客コミュニケーションを展開していました。

その流れが変わったのが2011年のこと。公式の注文サイトを立ち上げ、デジタルでのコミュニケーションにも本格的に注力し始めました。しかし、運用するうちに、今度は、「公式サイトだけでは新しい顧客と効率よく出会えない」「メルマガの開封率が上がりにくくなってくる」など、新たな課題が見えてくるように…。また、「もっと機能性や利便性を高めたい」「ストレスなく注文できる仕組みを追求したい」という気持ちも強くなっていきました。

そこで考えたのが、多くの人に利用されているプラットフォームのLINEを利用すること。

LINEを利用している潜在顧客に幅広くアプローチすることができますし、メルマガの補完ツールとしてメッセージを発信することも可能です。加えて、公式サイトを改修するよりも手軽に、ユーザーが求めている新機能を追加できると考えました。それで2016年ごろ、電通アイソバーさんに、「LINEを使った新しいコミュニケーションサービスを始めたい」と相談したんです。

荻野:お話を聞いてすぐに、「これは面白いチャレンジだな」と思いました。注文機能を主軸に据えた公式サイトには、「今お寿司を食べたい人」「注文したい人」がやって来ます。一方のLINEには、「今、お寿司が食べたいわけじゃないけれど、お寿司が好きな人」「興味がある人」といった、“明らかに公式サイトに来る層とは異なる顧客層”が多く隠れていると思ったんです。

そういう人たちに対し、ふとしたときに「銀のさら」を思い出していただけるような、新しいコミュニケーションの場を提供することができる。お寿司に対するモチベーションを醸成するような、とてもワクワクするプロジェクトだと感じたことを覚えています。

公式サイトとのすみ分けを意識してLINEならではの設計を行えば、お客さまの純増も期待できます。私たちの強みである、データに基づいた長期的なCX(顧客体験)プランニングやクリエイティブ、そして日々の生活に溶け込むような丁寧なユーザーコミュニケーションを、十分に生かせる案件だと感じました。

日常や商品をストーリーで彩り、“お寿司のある日々”を印象付ける

永山:僕が最初にお願いしたのは、「LINEを使って『銀のさら』の認知度を高めてほしい」と、「売り上げを伸ばすプランを考えてほしい」の二つだけ。これをオリエンのときに強くお伝えして、プランニングをしていただきました。

その結果、出てきたのが、「LINEを単なるコミュニケーションツールとして使うのではなく、体験を提供するツールにしよう」という提案でした。食事の検討から、注文、そして食後まで…。すべてがつながり循環するような、流れのある顧客体験を生み出したいとおっしゃってくださったんですよね。

荻野:はい。一連の体験がすべてトーク画面上で、ストレスなくできるようにと考えてCX設計を組み立てていきました。

銀のさら顧客体験取り組み


荻野:一連の流れの中で、最も重視したのが毎月の運用の部分です。どんなタイミングでどのようなメッセージを送るのか、コピーや写真はどう作り込むのかなど…。一見地味に見える部分を、データに基づいて、とにかく丁寧に行いたいとお話ししました。

こうした地味な部分を重視する理由は、派手なキャンペーンやクーポンの配信ばかりではすぐに息切れしてしまうから。キャンペーンを立ち上げたりクーポンを配信したりすれば、一時的な売り上げはかなり分かりやすく上がります。しかし、それは劇薬のようなもの。イベントが終わると、さーっと数字が落ちてしまうことが多いんです。そして、繰り返すと、その“広告臭”に嫌気がさしたユーザーが離れて行ってしまう。

ですから、キャンペーンばかり、クーポンばかりではなくて、「その間」や「なにもないとき」に、LINE起点でお寿司が食べたくなる機会を創出できるよう、心掛けました。

永山:そう、そこが「銀のさら」のLINE公式アカウントの最大の特徴でもあるんです。例えば、2019年の4月ごろ。LINEユーザーに向けて、「平成最後の締め寿司」 というタイトルで、「平成最後の週末はお寿司を食べて締めくくろう」という提案を行いました。

平成最後の締め寿司

ただ提案をするだけでなく、「人気のネタが揃った桶」と「大人と子どもの両方のニーズを抑えた桶」を提示し、「あなたはどっち派?」と呼びかけたところもポイントです。目を引く提案、カジュアルな呼びかけが奏功して、ドンとCTR(クリック率)が上がりました。

荻野:特にキャンペーンを行ったわけでもなく、クーポンを配信したわけでもない、比較的普通の週末でしたよね。にも関わらず、2019年の上半期で最もCTRが高かったと記憶しています。これほど大きな反響があった理由は、銀のさらの「お寿司」に、世の中ゴトになっている「平成最後」というストーリーを付けることで、LINEユーザーがお寿司を食べる機会を創出していけたからだと思います。

「そうか、今週は平成最後の週末なんだな」「なにか豪華なものを食べたいな」「ステーキ?外食?あ、自宅で豪華なお寿司を楽しむという手があるのか!」、こんな流れで、注文につながったのだろうなと推察しています。

永山:こうした「気づき」から注文への流れがスムーズなところも強みですよね。例えば、公式サイトとLINEのアカウント・パスワードを紐づける「LINEログイン」。これをしておけば、LINEのトーク画面上で商品をタップして、そのままお寿司を注文することができるのです。わざわざ一度LINEから離れて公式サイトにアクセスし、ログインして情報入力するという手間は必要ありません。

注文の際に寿司ネタを簡単に入れ替えられるところもポイントです。「ウニは苦手だから好物の中トロと入れ替えよう」とか「子どもの好きな玉子を入れておこう」とか…。こうしてネタを入れ替えることで、既存の商品をベースにしたオリジナルの桶をつくれますし、一回つくった桶を記録しておくことも可能です

荻野:LINEからすぐに注文履歴が確認できて、寿司ネタの入れ替えを毎回ゼロからやり直す必要がなく、簡単に注文できる。この機能があるから「銀のさら」で注文するという人もいるぐらい、ユーザーには好評ですね。

日々の丁寧なコミュニケーションと、ストレスフリーな機能設計。この二つがシームレスにつながり生きているからこそ、継続的に売り上げが上がり続けているのだと思います。

荻野好美氏

トライ&エラーでガラリと変わった、母の日のクリエイティブ

永山:運用の開始から約2年半。現在は約300万人(2020年3月時点)の「友だち」が、「銀のさら」のLINE公式アカウントに登録してくださっています。ここまで「銀のさら」のLINE公式アカウントが育ったのは、その背景に、多くのトライ&エラーがあったからだと感じています。

荻野:同感です。それはもう、あらゆるトライ&エラーを繰り返してきましたよね(笑)。

私が最も印象に残っているのが、母の日のクリエイティブです。LINE公式アカウントの開設当初は「映え」が流行していたので、手巻き寿司を集めてブーケ風にアレンジしたり、ちらし寿司をカップに入れてパフェ風に仕上げたりと、手間ひまかけて撮影を行いました。これらの写真を「華やかなお寿司でお母さんをねぎらおう」といったコピーとともに配信したのですが…。クリックはされるものの全く売上につながらなかったんです。

なぜだろうと考え、ユーザーの属性を見直し、翌2019年の母の日は、「お寿司を注文するのはお母さん自身である」という仮説を立てて臨みました。特にアレンジなどせず、人気商品をドンと見せ、「お母さん、今日ぐらいはゆっくりしてね」という訴求に切り替えました。また、配信のタイミングや、商品にダイレクトに遷移できるように工夫。その結果、2019年で一番高い売り上げを記録したんです。

銀のさら母の日
1年目にトライして結果やデータを分析し、2年目にガラリとクリエイティブを刷新する。そんな取り組みを数多く行うことで、確実に、効果の出る打ち出し方が分かるようになってきました。現在も、「どんなクリエイティブを打ち出したか」「CTR、注文率などの結果はどうだったか」「その他、離脱率などの数値はどうか」といった細かなデータをすべて記録し、検証して、PDCAを回しながらコンテンツをつくり続けています。

凡事徹底のコミュニケーションが、売り上げアップにつながった

永山:おかげさまで、現在、LINE経由での注文が着々と増えています。「こんなに伸びていいのかな」「どこまでいくんだろう」というぐらい売り上げが上がっていて。とても大きな手応えを感じているところです。

永山覚氏


荻野:面白いのが、「友だち」が増えていないときでも売り上げがどんどん伸びているというところ。既にいる「友だち」が、より多く注文してくれているという現象が起きているんですよね。これは、「銀のさら」のLINE公式アカウントが、スタンダードな注文&コミュニケーションツールとして受け入れられているという証拠なんじゃないかと思います。ブックマークとしても機能しているというか…。確実に、売り上げに寄与するプラットフォームになってきたなと感じます。

永山:それはやっぱり、日常に溶け込むようなコミュニケーションを丁寧に行っているからだと思うんです。当社の社長がよく言う「凡事徹底」という言葉があるんですけど、当たり前のことこそ行うことが難しく、徹底してやることで特別な意味が出てくると思うんです。派手さはないし、すぐに効果が出るわけではないのですが、日々のコミュニケーションをコツコツと積み重ねることで、次第に結果が出てくるのではないかと思います。

LINEって、人の家に上がり込むようなものだと思うんです。くつろいでいるリビングに入り込むというか、家族での会話に割って入るというか。だからこそ、親しみやすい、カジュアルな、日常のコミュニケーション、そして商品を訴求するときのメリハリやストーリーづくりが重要になってくるのだと思います。

これからも、その人に合ったタイミングで接触し、求めるサービスを提供し、さらに食後まで、便利で楽しい時間を提供していきたい。そんなツールとしてLINE公式アカウントを育てていき、ワントゥワンのコミュニケーションを追求していきたいと思っています。