直感と論理をつなぐ事業創造とは?No.3
長友佑都の盟友が明かすビジネス術 #03
2020/09/03
ベンチャー、スタートアップ、さらには企業内起業、という言葉が使われ始めて久しい。「働き方改革」の潮流の中、大手企業も、いや、大手企業ほど、人事制度や評価制度の抜本的な見直しが迫られている。しかしながらその実態は、まだまだ手探りが続いていることも事実。この連載では、長友佑都氏と「二人三脚」で株式会社クオーレを運営する津村洋太氏に、その本質について、3回の連載で大いに語っていただきます。
協力:白石幸平(電通CDC)
起業=お金のため、ではない。
とはいえ、お金がなければ実現できないこともある
僕と長友に共通しているのは、お金のためだけに事業を起こしているわけではない。最終的な目的は、社会貢献にある。ということ。でも、事業の規模や価値が大きくならないと、分かりやすく言えばたくさんのお金が集まってこないと、社会貢献の規模も大きくはならない。長友の言葉を借りるなら「影響力を大きくしたい」ということなんですが、その根幹にあるのは「仲間づくり」ということなのだと思います。
長友が手がけている「投資」の活動も、まったく同じこと。お金もうけが目的なのではない。長友の描く未来社会に共感し、彼一人の能力では実現できないことを達成してくれそうなパートナーに出資をする。そのことによって、漠としていた理想が具体的なカタチになっていく。そうした彼の思いを整理していくことも、僕の大事な役割だと思っています。
長友佑都の今後のビジョンとは?
世のサッカー選手がどのようなキャリアを踏みたいのか、踏んでいるのか、実情は分からないのですが、私の個人的な意見として、長友においては、サッカーに携わってきたからサッカーの指導者や解説者をやる。というキャリアではないと思います。
サッカー界やバスケ界に革命を起こしている川淵さんとか、フェンシングというスポーツの価値をリブランディングして推進する太田さん、ご自身で投資やビジネスを構築されている為末さんなど、ご自身のこれまでのキャリア枠を超えてより大きなものを動かしていく、そんな人になっていくんだろうなと思っています。
高校の同級生だから、歯に衣着せずに言いますが、僕自身、長友にサッカーを教わりたいとは思わない。一方で彼から学ぶことが山ほどある。世界を舞台に相当な数の修羅場を乗り越えてきた彼の精神性や、その経験から来る挑戦の大胆さ、彼の成功の哲学となっている努力の質など、もっと大きなことを学びたい。そして、共に育てていきたい、と考えています。
長友が最初に上梓した本のタイトルが「日本男児」というものなんですけど、このあたりは実に、長友らしいな、と思っています。確かに長友はイノベーターではありますし、大胆な発信を想起する方かもしれない。ただ、極めて日本的なイノベーターで、石橋を叩いて渡るというか、綿密に計画して、合理的な答えを導き出す手法をとります。そして、何よりもそうしたロジックよりもまず、志とか熱量といったものを大切にします。ビジョンを共有できて、とある分野では自分よりもはるかに秀でた仲間を、常に探している。
ビジネスの世界では、ルールとかモラルといったものは、増えることはあっても減ることは絶対にない。ちまたでは「コンプライアンス不況」みたいな言葉で揶揄されていますが、その閉塞感を打ち破るのは、志とか熱量といったものを共有できる「仲間」づくりなんだ、と僕は思います。僕の仕事とは、長友のイメージする未来を共に創ってくれる仲間とか、仕組みとかといったものを、つくり上げていくことだと思っています。
〈関連サイト〉
ファットアダプト食事法の献立レシピサイトは、こちら。
FLOWINのサイトは、こちら。
CUORE ONEオンラインフィットネスサイトは、こちら。
長友佑都氏のオフィシャルサイトは、こちら。
加藤超也氏のInstagramは、こちら。
〈 編集後記 〉
〜3回の連載コラムを振り返って〜
津村氏の全3回にわたる連載コラムでは、多くのことを学ばされた。起業の発端は、長友氏の「経験」にあること。その経験をつぶさに「分析」したこと。その結果、一見すると長友氏と関係がないように見える「食」や「健康」や「投資事業」といったビジネスのタネが見えてきたこと。そのタネを、「プロ」の力を一本釣りすることで、芽吹かせたこと。起業とは、チームプレーであること。なにより、その真の目的は、「社会貢献」にあること。湧き上がる情熱を、冷静に分析して、進むべき道を地道に切り開いていく。そんな、いわゆる「起業家」のイメージを覆す津村氏の「起業論」には、心躍るものがある。