コロナ禍の3つのキャッシュレスインサイト
2021/03/12
新型コロナウイルスの第3波が猛威を振るう中、「電通キャッシュレスプロジェクト」は2020年12月、「コロナ禍でのキャッシュレス意識に関する調査」を実施しました。
コロナによりライフスタイルが大きく変化した今、生活者の決済手段がどのように変化し、今後どのような決済が主流になっていくのか。今回は調査結果から見えてきた、3つのキャッシュレスインサイトを紹介します。
約半数が「キャッシュレス決済が増えた」
2020年3月に緊急事態宣言が発令されて以降、「支払いや買い物でキャッシュレス決済の比率が増えた」生活者は47.7%となり、前回調査(2020年5月)の46.7%からは微増の結果でした。コロナの影響が長引く中、生活者のキャッシュレスシフトは続いています。
キャッシュレスインサイト①
「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」での利用が増加
では、コロナ禍でキャッシュレス決済が増えた場所はどこでしょうか。支払い回数が増えた場所を聞くと、
スーパー・ショッピングモール 40.0%
コンビニエンスストア 38.4%
ドラッグストア 30.0%
が3トップとなりました。
日常の生活導線上にある、身近な場所で増えていることが分かります。
キャッシュレスインサイト②
増えた場所と増えていない場所では、「電子マネー」「モバイル決済」の利用にギャップが
「キャッシュレス決済が増えた場所」で利用している決済手段について聞くと、場所によって違いがあることが分かります。
増えた場所のトップ「スーパー・ショッピングモール」では、「カード」(58.3%)が最も多く、「現金」(55.7%)を上回っています。「コンビニエンスストア」では、依然として「現金」 (47.1%)が最も多い一方、「電子マネー」(37.3%)や「モバイル決済」(37.1%)が「カード」(27.3%)より多くなっています。
また、「キャッシュレス決済が増えた場所」と「増えていない場所」で、それぞれの決済手段を聞いた場合、特に「電子マネー」や「モバイル決済」の利用にギャップがありました。
例えば、キャッシュレス決済の増えた「ドラッグストア」では、「電子マネー」と「モバイル決済」がそれぞれ21.6%と27.6%であるのに対して、あまり増えていない「タクシー・ハイヤー」では、それぞれ5.3%と5.1%でした。
このように、キャッシュレス決済が増えた要因のひとつとして、現在急速に普及している「電子マネー」や「モバイル決済」の利用可否が関係していることがうかがえます。
キャッシュレスインサイト③
小額決済のキャッシュレス化が進展
キャッシュレス決済が増えた金額帯について聞いたところ、増えた金額帯は「1000円超〜5000円以下」(48.0%)、「500円超〜1000円以下」(41.0%)、「300円超〜500円以下」(25.8%)の順で高く、1000円以下の小額決済における進展がうかがえました。
こうした小額決済の伸びは、「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」といった日常導線上のキャッシュレス利用の増加と相まって、今後のキャッシュレス促進の追い風になると考えられます。
日本のキャッシュレスは、「日常使い」の進展で広がっていく
今回の「コロナ禍でのキャッシュレス意識に関する調査」では下記3つのキャッシュレスインサイトが見えてきました。
①「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」といった日常の生活導線上での利用が増加
②「電子マネー」「モバイル決済」の利用が増えるかが鍵
③1000円以下の「小額決済」でのキャッシュレス化が進展
電通キャッシュレスプロジェクトでは、この「日常使い」を背景に、日本のキャッシュレスが今後もますます広がっていくとみています。
<電通 キャッシュレスプロジェクト>
キャッシュレスに関する詳細は、事業共創局 新産業開発部 吉富(cash-less@dentsu.co.jp)までお問い合わせください。