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キャッシュレス・ジャパン・サーベイNo.2

コロナショックで起きた、決済意識のパラダイムシフト

2020/08/04

キャッシュレスにも変革(トランスフォーム)が求められつつあります。

世界で新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう中、電通キャッシュレスプロジェクトは「コロナショックとキャッシュレス意識の変化」というテーマで、「キャッシュレスに関する意識調査」を実施しました。コロナショックで生活者の決済手段がどのように変化し、今後何が主流になるのか。今回は調査結果をベースに、生活者のキャッシュレスに対する意識の変化を明らかにします。

緊急事態宣言以降、「キャッシュレス決済の比率は増えた」は約5割

緊急事態宣言が発令されて以降、「支払いや買い物でキャッシュレス決済の比率が増えた」という生活者は46.7%となり、キャッシュレス決済の利用割合が高まっていることが分かりました。

「キャッシュレス派」のキャッシュレス比率が高まっているのは想定の範囲内ですが、「これまで現金が多かったが、キャッシュレス比率が増えた」という層が10.2%と、「現金派」の中にもキャッシュレスの増えた人がいることは注目に値します。

キャッシュレス比率は増えたか

キャッシュレス決済が増えた理由は、「スピード」や「衛生面」が上位に

では、コロナショック後に生活者のキャッシュレスが増えている理由は何でしょうか。 

キャッシュレス決済が増えた主な理由を聞くと、

「ポイントやキャッシュバックが魅力的だから」(76.8%)
「レジでの決済スピードが速いから」(54.5%)
「清潔だから/衛生的だから」(44.2%)
「オンラインでの買い物、注文が増えたらから」(34.0%)

の順で高い結果となりました。

生活者が、「ポイントやキャッシュバック」という“お得感”に加えて、「スピード」や「衛生面」を理由にキャッシュレスを活用していることが分かります。

宣言後、キャッシュレスが増えた理由

ウイルス感染対策でキーワードになっているのが、「ソーシャル・ディスタンシング」(対人距離の確保)。上位に挙げられた「スピード」や「衛生面」からは、まさにこの、生活者の安全面への意識の高まりがうかがえます。

ソーシャル・ディスタンシングと非接触

こうした中、よりスピーディかつ清潔なキャッシュレス決済手段として、世界的に注目を集めているのが、非接触決済(カード、電子マネー、モバイルなどのタッチ式決済)です。

大手クレジットカード会社による最新の調査結果(※)によると、世界では、生活必需品の購入で79%が非接触決済を利用しており、全体の82%の人が他の決済手段にくらべて清潔だと感じています。

※Mastercard Global Consumer Study
世界19カ国17,000人を対象にしたオンライン調査。日本は調査対象外。調査期間は4月10〜12日。


非接触決済について、今回の調査の中で「今後、使う回数が増えると思いますか」と聞いたところ、「増えると思う」という回答が71.2%を占め、約3人に1人は、「とても増えると思う」(33.0%)と回答しました。

非接触イラスト

非接触決済

急速にキャッシュレスが推進されているものの、いまだ海外と比較すると低水準と評される日本。その日本においても、ソーシャル・ディスタンシングを背景に、生活者の非接触決済へのニーズが急速に増大していることがうかがえます。

決済だけにとどまらない、非接触サービスの動向

「ソーシャル・ディスタンシング」を背景に脚光を浴びているのは、決済だけではありません。外出の自粛などでフードデリバリーを使う人が増えています。

そこで注目されているのがモバイルオーダー。商品をスマートフォンで注文し、事前に支払いを済ませて店頭で商品を受け取ったり、デリバリーしてもらったりするサービスです。店員との接触を減らせる上に現金のやりとりをする必要もありません。

このモバイルオーダーについても、全体の4人に1人(23.9%)が「利用している」と回答。「今後利用してみたい」という回答を含めると、全体の約7割を占めました。

モバイルオーダーイラスト
モバイルオーダーグラフ

こうしたモバイルオーダーの利用意向も、モバイル決済を中心としたキャッシュレス促進の追い風になると考えられます。

非接触は、キャッシュレス社会の推進ドライバーになり得るか

今回の調査結果から、コロナショック後の日本のキャッシュレスは着実に増えていることが明らかになりました。

その背景に、コロナによる「ソーシャル・ディスタンシング」があり、決済に「スピード」や「清潔」といった安全性を求める生活者が増えていることも分かりました。非接触という決済サービスに対するニーズ変化、モバイルオーダーのような消費スタイルの変化も伴って、キャッシュレス意識にパラダイムシフトの兆しが見えてきたともいえます。

今後もコロナショックにより、生活者のライフスタイルは変化し続けると思われます。そうした中、非接触決済は、今後の日本のキャッシュレス社会の成長ドライバーとなるのか。加えて、コロナショックのソリューションとして、奏功し続けるか、今後も見ていきたいと思います。


【調査概要】
◇調査手法:インターネット調査
◇調査時期:2020年5月30~31日
◇調査エリア:全国
◇調査対象:① 一般生活者、② 中小企業※経営者
 20~69歳男女1000人(人口構成に基づきウェイトバック集計を実施)