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日本の広告費 インターネット広告媒体費詳細分析No.3

2021/03/22

「2020年インターネット広告媒体費」解説。4マス媒体とほぼ並んだ「2.2兆円超」の内訳は?

サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルの4社は共同で「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(以下、本調査)を発表しました。CCIの梶原理加が解説します。

※ニュースリリース「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
 
サイバー・コミュニケーションズ 梶原理加

インターネット広告費は日本の総広告費の36.2%に到達

2020年 日本の広告費 媒体別構成比

既報の通り、2020 年の日本の総広告費は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響で、前年比88.8%の6兆1594億円まで減少しました(解説記事)。

しかし、この状況下でも「インターネット広告費」は一貫した伸長を続け、「マスコミ4媒体広告費」の2兆2536億円に匹敵する2兆2290億円、広告費全体の36.2%を占める市場に成長。

「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、1 兆 7567 億円(前年比105.6%)となりました。
インターネット広告費 構成比

本記事では、この「インターネット広告媒体費」を中心に解説します。


「広告種別」「取引手法別」に見たインターネット広告媒体費

インターネット広告媒体費1兆7567億円の内訳について、「広告種別」「取引手法別」でそれぞれ分析しました。

●広告種別ではビデオ(動画)広告は前年比121.3%、ネット広告の2割を超える

広告種別
インターネット広告媒体費の広告種別構成比

広告種別では、インターネット広告媒体費全体の1兆7567億円のうち、「検索連動型広告」が38.6%の6787億円と最も多くの割合を占めます。検索エンジンと連動したタイプの広告です。

続いて、さまざまなウェブサイトに表示されるバナータイプの「ディスプレイ広告」が全体の32.6%で5733億円。この2種類合わせて7割を占めています。

そして昨年に引き続き大きな伸長を見せたのが、動画ファイル形式(映像・音声)の広告、「ビデオ(動画)広告」です。

ビデオ(動画)広告は、2017年にはインターネット広告媒体費のうち9.5%(1155億円)と1割未満でしたが(※1)、2018年14.0%(2027億円)、2019年には19.1%(3184億円)、そして2020年には22.0%の3862億円に達し、初めて2割を超えました。

前年比121.3%の伸長で、インターネット広告費全体の伸び率105.6%を大幅に上回っています。

かつてはビデオ(動画)広告の使いどころは限られていましたが、インフラの強化が年々進み、インターネット広告費の伸長を牽引する広告種別となっています。今後も5G回線の普及などにより一層の活用が期待されます。

※1 2018年にインターネット広告媒体費の推計対象に「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」が追加されたため2017年は推計範囲が異なり、参考値となる。

●取引手法別×広告種別構成比でもビデオ(動画)広告が伸長

取引手法別
インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

取引手法別では、「運用型広告」が82.9%の1兆4558億円と、全体の約8割を超えました。インターネット広告取引の主力として引き続きニーズを集めています。

一方で、新型コロナ拡大の影響を受け、予約型広告は前年比87.5%、成果報酬型広告は前年比93.9%と、いずれも減少しました。

この取引手法別の広告費の内訳を広告種別と掛け合わせて見ると(上図)、「運用型の検索連動型広告」が、全体の38.6%の6787億円で最多となります。

次いで「運用型のディスプレイ広告」が25.7%(4520億円)、「予約型のディスプレイ広告」が6.9%(1213億円)と、いずれも大きな割合を占めていますが、運用型のディスプレイ広告が前年比112.1%と伸長したのに対し、予約型は前年比80.1%と、全体の減少率よりもさらに少なくなっています。

また、ここでも「運用型のビデオ(動画)広告」が18.3%(2019年は15.2%)の3206億円と大きく伸長しています。「予約型のビデオ(動画)広告」は656億円、3.7%(2019年は4.0%)と微減ですが、前年に近い数値に踏みとどまりました。

トピック①ビデオ(動画)広告費はインストリームとアウトストリームが半々

ビデオ(動画)広告種類別構成比ビデオ(動画)広告取引手法別構成比

ここでは、近年のインターネット広告費で特に伸長の著しい、ビデオ(動画)広告費の内訳を分析します。

ビデオ(動画)広告費3862億円のうち、動画コンテンツの前後や間に再生される「インストリーム広告」が構成比46.6%の1800億円。ウェブ上の動画コンテンツ外に表示される広告枠や記事のコンテンツ面といった「アウトストリーム広告」が構成比53.4%の2063億円です。

ほぼ拮抗していますが、ややアウトストリームコンテンツが高い割合を占める結果となりました。

取引手法別では運用型が3206億円と圧倒的で、ビデオ(動画)広告の8割以上を占めています。

トピック②インターネット広告媒体費全体の3割以上が「ソーシャル広告」に

ソーシャル広告の構成比推移

本調査では、ユーザーが投稿した情報をコンテンツとする、「ソーシャルメディア(※2)」のサービス上で展開される広告を「ソーシャル広告」として推計しています。

2020年はソーシャル広告全体で前年比116.1%の5687億円と高い成長率を示し、インターネット広告媒体費の3割以上を占めるまでに成長しました。

昨年同様「SNS系」「動画共有系」、さらにブログサービスやソーシャルブックマークサービス、電子掲示板サービスなどの「その他」という三つに分類し、構成比を分析しました。

※2 ソーシャルメディア
本調査では、ユーザーが投稿した情報をコンテンツとし、ユーザー間で共有・交流するサービスを提供するメディア(プラットフォーム)を「ソーシャルメディア」と定義している。
ソーシャル広告種類別構成比

前年に引き続き「SNS系」が最も多く、2488億円で43.7%を占めています。そして「動画共有系」が1585億円(2019年は1139億)と伸長し、構成比27.9%(2019年は23.2%)と、「その他」の28.4%に迫っています。

2021年のインターネット広告費はどうなる?

「2020年 日本の広告費」では、新型コロナの影響による9年ぶりのマイナス成長がインパクトを残す中、インターネット広告費のみが唯一のプラスになりました。

特にポイントとなるのは、前年から続く「ビデオ(動画)広告」「ソーシャル広告」「物販系ECプラットフォーム広告」の伸長です。

ビデオ(動画)広告に関しては、5Gの普及などにより通信環境が今後よりスムーズになるにつれ、視聴数がより増加していくと考えられます。特にコロナ禍による“巣ごもり”の中で、無料動画配信サービスも視聴者数を増やしており、これを支えるインストリーム広告のさらなる成長拡大が予想されます。

中でもTVerをはじめとするテレビ関連メディアの動画広告はまだ伸びしろがあります。例えば、仮に同時配信の流れが加速するようなことがあれば、今後爆発的に需要が増える可能性もあるでしょう。

動画広告費推移と2021年予測

ソーシャル広告においても、「動画共有系」の伸びが非常に大きく、もともとあった流れがコロナ禍をきっかけに加速した感があります。コロナ禍による生活者のスタイル変化により、今後はますます「ソーシャルメディアでの動画広告」が主流になっていくでしょう。

また、2019年から推定している「物販系ECプラットフォーム広告費」は今回で2年目となりますが、コロナ禍で生活者の購買行動の変化と共にECの利用も増加し、広告費は1321億円(前年比124.2%)と伸長しています(※3)。

物販系ECプラットフォーム広告費は、ECモール内でオンライン店舗を構える企業が自社の商品ページへ誘導するための広告です。また、リアルで店舗を持たないDtoC(Direct to Consumer)の事業者も増えており、オンラインでいかにユーザーを自社ページに誘導するかが重要になっています。こうした背景から、物販系ECプラットフォーム広告費は今後も拡大していくことが予想されます。

※3 「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」について
2019年から、インターネット広告費の中に新たに「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」を追加推定した。「インターネット広告媒体費」には含まない。

 

物販系ECプラットフォーム広告費

最後に、CCIが広告主、メディア・プラットフォーマー、広告会社、メディアレップ、コンサルティングファーム、アドテクノロジーベンダーなどに対して実施した「新型コロナ禍における2020年下期インターネット広告市場動向」から、今後のインターネット広告の課題を考えてみます。

2020年のインターネット広告市場で順調な成長を見せた運用型広告ですが、課題もあります。アンケートにおいて多くの回答を集めたのが、「コンテンツの質」の問題です。

「ソーシャル」「運用型」高校などでは、コンテンツの質が課題

ユーザー投稿コンテンツが中心となるソーシャルメディアでは、コンテンツの質をコントロールすることが難しく、ブランドリスクを課題と捉えている回答が多く見受けられました。

また、運用型広告の中心であるターゲティング広告においては、Googleの“脱クッキー”本格化に見られるように、ユーザーのプライバシー配慮がますます重要となり、クッキー規制やIDFAのポリシー変更など技術的な側面でも対応が迫られています。

この数年、電通グループも含めた広告業界が特に力を入れて取り組んでいる領域でもありますが、今後も「十分なリーチや効果を担保しつつ、コンテンツの質をいかに改善し、広告主のブランドリスクを減らしていけるか」や「ユーザーのプライバシー保護を重視したマーケティング」が、インターネット広告を考える上での焦点になっていくでしょう。

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