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「engawa Serendipity day」レポートNo.1

engawa Serendipity dayレポート#01

2021/05/19

engawaウェビナータイトル

Serendipity(セレンディピティ)という言葉をご存知だろうか?「偶然の出会いをきっかけに、予想外の価値を発見し、幸運をつかみ取る能力」を表すこの言葉が今、ビジネス界で注目を集めている。スリランカの寓話から生まれたとされるSerendipityの正体とは、何なのか? 2021年4月15日に開催されたウェビナー「engawa Serendipity day」に、そのヒントを探ってみよう。大いなる発見と幸福な出会いが、きっとそこにはあるはずだ。

(文責と分析:ウェブ電通報編集部)


3回連載となる本稿の#01は、ウェビナー第一部で展開された脳科学者・茂木健一郎氏、京都芸術大学教授・小笠原治氏、元競泳日本代表/一般社団法人スポーツを止めるな理事・伊藤華英氏による「共創や多様性を生む人材とは?」というテーマでのセッションだ。

Serendipity(セレンディピティ)に大切なことの一つは「雑談力」だとも言われている。ウェブ電通報としては、およそ1時間にわたって行われたセッションの醍醐味を「雑談力」という切り口で、再編集してみた。このような編集は、編集部としても初の試みであるが、Serendipity(セレンディピティ)に迫るための一つの挑戦だと、ご理解いただきたい。

小笠原:Serendipity(セレンディピティ)を獲得するには「仮説を立てること」が大事だと思いますね。

伊藤:私の場合は、「コーチを信じること」でした。

小笠原:そのことで「限界突破能力」が養われる。

小笠原治氏
小笠原治氏

伊藤:コーチの言うことを120%クリアしてなお、結果が出ないのであれば、所詮私はそこまでの人間なのだ、と。

茂木:自身に対する要求水準を高められる人間だけが、いわゆる「フロー」を超えた「ゾーン」という領域に到達することができる。

伊藤:現役を引退して一番驚いたのは、「頑張れない人って、いるんだな」ということ。そして、嫌味でもなんでもないんですが、「頑張れない」ことも一つの才能、一つの正解なのだということ。コーチを務めていると「こだわりが強すぎてもチャンスはつかめないんだ」ということが、だんだん分かってくるんです。

伊藤華英氏
伊藤華英氏

茂木:例えば、ラーメン屋のおやじのスープへのこだわりとか、旅館の女将のおもてなしへのこだわりとか。我々、日本人にとっては当たり前のことでも、その気配りとか心遣いといったものは、外国の方にとってはとてつもないものに映るらしい。

小笠原:分かります、分かります。

茂木:こだわりの正体とは、マーケットが要求する水準よりも自身のそれが、意味もなく高い、ということ。どうしてそこまでやるか?という。

伊藤:私のこだわりは、寝る時間をズラさない、ということくらいかな(笑)。

茂木:睡眠は、動物の持つ不思議な能力だと言われている。事実、AIは寝ませんからね。そして、クリエイティブな人間には「朝型」が多いとも。「頑張れない才能」という意味では「十人十色」という言葉があるじゃない。あれって素晴らしい言葉だと思いませんか?

伊藤:こだわりは、自信になる気がします。

茂木健一郎氏
 茂木健一郎氏

茂木:ラグビーというスポーツは、試合中に監督が選手に指示を送ることができない。選手一人ひとりのこだわりが、試合を作る。それって、ものすごくクリエイティブなこと。

小笠原:ぼくが学生時代やっていたラグビーは、そんなものじゃなかった。でも、ラグビーでさえ変われたのだから、他のスポーツでもビジネスでも変われると思う。

茂木:ラグビー「でさえ」というご発言は、問題になりますよ(笑)。でも、スポーツにしろ、芸術にしろ、企業活動にしろ、「総合的な学び」による人材育成って絶対に必要だと思う。

ここから話題は、「大学入試の話」「e-スポーツの話」「仮想通貨の話」「株価の話」「改めて多様性とは、という話」「長所と短所の掛け合わせこそが魅力的な個性を生む、という話」「飽きやすいという短所は、すぐに動けるという長所でもある、という話」「最悪なのは、減点法で他人を評価することだ、という話」「加点方式のチームは結果を残せる、という話」「戦国時代のチームづくりは、そうだったに違いない、という話」「水泳選手にとって、胴長短足はむしろ有利なんです、という話」「競技ごとに理想の体形がある。そう考えると、オリンピックって楽しい、という話」「要素を取り入れることは、アスリートがもっとも得意とする能力、という話」

さらには、「オープンイノベーションの話」「アイスブレークの話」「2時間の会食って、まったく意味なくありません?という話」「立ち呑みの話」「子育ての話」「見守ってあげることの大切さと、褒めてあげるタイミングの大切さの話」「ウソを褒めても意味がない、という話」「水の人は、陸が苦手なんで……という話」「イノベーションって、発見するということじゃないんだ、という話」「コロナが気付かせてくれたことの一つに、物事の本質を見ることの大切さがある、という話」というように、3人による雑談は、とてつもない展開を見せた。

1時間を超えるセッションの内容を、あえてダイジェストでご覧いただくことで、「雑談力の持つ強さ」というものが、お分かりいただけたのではないだろうか?
Serendipity(セレンディピティ)をつかみ取る上での、大いなるヒントだと思う。


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「一般社団法人スポーツを止めるな」HPは、こちら

最上紘太氏:「一般社団法人スポーツを止めるな」共同代表理事。「できることから、迅速に」などの三つの方針のもと、アスリートを育てるためのプログラム&環境づくりに、新風を吹き込む。
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湊康明氏:優秀な学生と一緒に企業合同のインターンシップを実施し、イノベーター人材の採用につなげる「人づくりからの共創」を実践。
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「ドミノトーク」(代表取締役・高森雅和氏)会社ホームページは、こちら

高森雅和氏:コミュニティーの中に「話しかけ」を行うことでファンを作っていく。SNSによる中傷を恐れる経営者に向け、新たなビジネススタイルを提案。
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本連載は、「engawa Serendipity day」と題されたウェビナーの内容を、主催者の一人である田中浩章氏(京都BAC)の監修のもと、ウェブ電通報独自の視点で編集したものです。