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    2021/09/24

    JAXAの門を、たたいてみよう

    宇宙タイトル

    「宇宙を考えることは、地球を考えること」
    およそ一年前にスタートした宇宙生活の課題から宇宙と地上双方の暮らしをより良くする共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」は、民間企業へ宛てた、JAXAからのこうした呼びかけから始まった。

    先行き不透明な時代にあって、われわれに今必要なのは、希望あふれる「未来の設計図」だと思う。そうした設計図を手にするには、社会全体が縛られている常識や慣習を吹き飛ばしてしまうような「気付き」や「発見」が、どうしても必要だ。

    目の前の現象を、「宇宙」からの視点で見つめ直してみよう。これからの暮らし、これからのビジネス、これからのコミュニティ…あらゆる革新に必要なヒントが、きっと見つかるはずだから。

    ウェブ電通報編集部


    ビジネスに革新をもたらす「宇宙からの視点」とは?

    編集部が最も注目したのは「Voice of Customer」ならぬ「VOA」ともいうべき視点に、これからのビジネスを考える上での大いなるヒントが詰まっているということだった。

    「VOA」とは、もちろん編集部による造語なのだが、Voice of Astronaut、宇宙飛行士の声に耳を傾けてみよう、ということだ。極限状態で日々の任務を遂行する宇宙飛行士。彼らの体験に基づく声は、いうなれば「究極のn1」(=n1、すなわち、マーケティング用語でいうところの一人の声)というべきものだからだ。

    JAXA公式ウェブサイト 宇宙飛行士の声を起点に考える 暮らしをより良くするためのヒント集「Space Life Story Book」より引用。トイレや睡眠からメンタルヘルスまで宇宙生活での不便なことやより豊かな生活へのヒントが記されている。
    JAXA公式ウェブサイト 宇宙飛行士の声を起点に考える 暮らしをより良くするためのヒント集「Space Life Story Book」より引用。トイレや睡眠からメンタルヘルスまで宇宙生活での不便なことやより豊かな生活へのヒントが記されている。

    彼らの声に端を発した「ビジネス界における具体的な革新事例」については本連載を通じて、詳しく解説していこうと思う。ポイントとなるのは、VOAの特異性だ。彼らのVoiceから得られるビジネスのヒント(=われわれが学ぶべきポイント)をまとめると、このようなことになる。

    1)常識のキワを行け。〜極端思考から、ブレイクスルーは生まれる〜
    2)常識の裏を行け。 〜歴史を変えるのは、常に逆転の発想である〜
    3)常識の先を行け。 〜挑戦なくして、ネクストスタンダードなし〜

    イノベーションを起こすための極意としては、ありふれたものかもしれない。でも、その「発想の起点」が「究極のn1」ともいうべき宇宙飛行士の体験にあるのだと言われると、話は違ってくる。どれだけ発想力に富んだ天才であろうと、ビジネスの神様と称される人間であろうと、異次元の経験談を前にしては、素直にこうべを垂れるしかないからだ。

    宇宙体験に秘められた可能性とは?

    JAXAを主体とする「J-SPARC」という取り組みの究極の目的は「宇宙産業を官民一体となって発展させていくこと」にある。未来創造のためのプラットフォーム「THINK SPACE LIFE」も、そうした取り組みの一環だ。日本の宇宙産業の市場規模は、現在、先進国の中ではまだまだ小規模な1.2兆円。しかし、2019年のデータによる国際市場の規模は40.3兆円。しかも、その成長スピードは目覚ましい。

    宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC:JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)とは、事業意思のある民間事業者等とJAXAの間でパートナーシップを結び、共同で新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す新しい研究開発プログラム。異分野の人材、技術、資金などを糾合するオープンイノベーションに係る取り組みにより、ベンチャーから大企業までさまざまな新しい民間事業者等と共に、宇宙分野に閉じることのない技術革新、イノベーション創出を目指している。
    宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC:JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)とは、事業意思のある民間事業者等とJAXAの間でパートナーシップを結び、共同で新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す新しい研究開発プログラム。異分野の人材、技術、資金などを糾合するオープンイノベーションに係る取り組みにより、ベンチャーから大企業までさまざまな新しい民間事業者等と共に、宇宙分野に閉じることのない技術革新、イノベーション創出を目指している。

    宇宙産業といえば、通信や位置情報、画像情報など、衛星データを活用したインフラを支えるものであり、いわゆるB2C企業や一般の人々の暮らしからは文字通り「距離」のある、別世界の出来事というイメージだ。しかし、世界を代表する実業家たちが次々と宇宙へ飛び立ち、2021年9月には民間人のみの宇宙旅行が成功するなど、一般社会にとっても宇宙というものは、非常に身近でホットな存在になりつつある。「THINK SPACE LIFE」というプラットフォームは、そうした背景から生まれた。

    宇宙空間という「極限」の環境下での体験や経験は、地上にフィードバックできることがたくさんある、という。例えば「昼夜逆転の生活」「運動不足や加齢による骨や身体機能の低下」「砂漠地域における水不足」「新型コロナのまん延による隔離生活」など、地上でのさまざまな問題や悩みを解決するための鍵は、宇宙にある。宇宙ステーションの中で、地上と変わらぬ快適さを保つにはどうしたらいいのか?そのために、さまざまな試行錯誤が繰り返され、技術が磨かれてきた。その体験を地上の生活に生かせないだろうか、というわけだ。JAXAが掲げる「宇宙を考えることは、地球を考えること」というスローガンの真意は、そこにあるのではないか、と思う。

    宇宙空間と地上との相関図JAXA公式ウェブサイト「Space Life Story Book」より引用。くわしくは、こちら

    宇宙が、教えてくれること

    従来の宇宙産業のイメージといえば、「国」や「政治」、「理系」分野の最たるもの、だと思う。そうした産業に「民間」「暮らし」「文系」といった視点や発想をどんどん取り入れることで、産業そのものを成長させていけたらと考えると、途端に宇宙が身近なものに思えてくる。宇宙空間こそ、フリーで、オープンなもの。そこには、地上での偏見や差別、固定観念などはない。目の前にあるのはシンプルな現象、それだけだ。

    暮らしのイメージ

    例えば、宇宙ステーションの中で「髪を洗うことはできないだろうか?」といった視点。そんなこと、大した問題ではないだろう?というのが従来の考え方ではなかったか。実際、地上に帰還した宇宙飛行士に、さらさらヘアーのイメージはない。正確にいうならば、そのイメージは「なかった」のではないか?

    宇宙生活では、水はとても貴重なものだ。地上のような「さっぱりする気持ちのいい洗髪」などはできない。でも、宇宙生活で「さっぱりと気持ちのいい洗髪」を実現できたとしたら、それは地上でも災害時などに役立つ「目ウロコなアイデア」にきっとなる。

    そう考えると、地上において「当たり前」のことである衣、食、住に関わるすべてのもの、さらにはメンタルヘルスやリスクマネジメントに至るまでのあらゆる可能性が、宇宙空間には「手つかず」の状態で放置されているということだ。アイデアひとつで、宇宙での過ごし方は劇的に変わる。そうした宇宙への挑戦は、そのまま地球上でのビジネスの進化にフィードバックされていく。想像しただけで、ワクワクが広がっていくではないか。当たり前といえば、当たり前の話だが、宇宙というものは奥深い。知れば知るほど、人智の浅さというものを思い知らされる。

    宇宙のイメージ 空を見上げる家族

    「ISS生活用品」アイデア公募のお知らせ

    昨年に引き続き、JAXAでは「宇宙空間で使える生活用品」のアイデアを募集中(募集期間:2021年8月2日〜9月30日17時まで)。昨年度実績では、94件ものアイデアが寄せられた。応募ページは、こちら
    昨年の応募で、
    選定されたISS搭載候補品は10件。候補品の事例については、こちら

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