loading...

電通報ビジネスにもっとアイデアを。

「全てのOOHの広告効果を可視化する!」~New Standardが描く、未来~

2022/12/05

「テレビやインターネットを中心に広告を出しているが、他媒体も検討したい」
「でも広告効果が分からないものには、あまり出稿したくない」
「インターネット広告と同様に、ターゲティングしつつリーチできる媒体はないだろうか」

こうしたお問い合わせを多くいただき、「テレビ・インターネットに続く、効果の可視化ができる媒体」の確立は、クライアントの共通課題になっていると感じています。

こんな課題にお答えすべく、次世代デジタルOOH(Digital Out of Home、以下DOOH)である「LIVE BOARD」は誕生しました。

【LIVE BOARD社】
NTTドコモと電通によって2019年に設立されたジョイント・ベンチャー・カンパニー。OOH領域において国内で初めてインプレッション(広告視認者数)に基づく配信を実現。コロナ禍のような人流変化が起こりやすい状況下でも、“そのとき、その場所で、その広告を”見ると仮定される人数をもとに、限りなく実態に即した広告配信および課金体系を展開している。加えて、屋外・屋内、電車内、駅構内など日本全国の多様なDOOHを束ねた独自ネットワークに国内最大級キャリアのビッグデータを掛け合わせることで、性・年代別によるターゲティングなど、従来のOOHでは難しかった“ヒト”基点による配信を可能にした。ネットワークされたDOOH「LIVE BOARD」を全国各地に所有している。

詳細はこちら
https://dentsu-ho.com/articles/7958
 

またそのLIVE BOARDの技術を活用し、LIVE BOARDネットワーク以外のOOH広告効果も明らかにしていく取り組み「New Standard」を開始したことで、OOH広告はもはや「効果の可視化が可能な媒体」に進化しています。

本記事では電通OOH局の真能広大が、「New Standard」によって実現されるOOHビジネスの未来について紹介します。

「New Standard」が生まれた背景

LIVE BOARDがインプレッションを基準にプランニング・購入・検証ができることは、多くのクライアントから評価をいただき、コロナ禍でOOH市場全体が縮小傾向の中でも順調に売り上げを伸ばしてきました。

一方、設立当時のLIVE BOARDの主戦場は「屋外媒体」。クライアントからは「交通媒体も、LIVE BOARDのようにインプレッションで購入・検証ができたらいいのに」との声が上がっていました。このような要望に応えるべく立ち上げたのが「New Standard」プロジェクトです。

NTTドコモの技術を活用し、車内ビジョンのインプレッションを計測。広告視認者数を把握することで、LIVE BOARDとともに広告効果・投資対効果を検証できるようになりました。

ただこの「New Standard」プロジェクトは、単に「車内ビジョンを計測する」ということがゴールではありません。車内ビジョンのみならず、あらゆるOOH広告の価値をインプレッションで可視化し、定量的な価値基準を提示することで、OOHビジネス全体の大きな変革を生むことを目指しています。

この10年間のデジタルメディアの進化により、広告価値の評価基準は「枠」から「人」へと大きな変化を遂げました。しかし、OOH広告の評価基準はいまなおサーキュレーション(どれくらいの人が接触しうるか)という「枠」基点での規定が一般的です。

「New Standard」は、「枠」基点でのOOH広告の価値を、全て「人」基点に捉えなおしていくことが目的です。実現すれば、テレビやインターネットと足並みをそろえて、広告出稿に対するアカウンタビリティ(説明責任)を整えていくことができるはず。そうすることでOOHが「テレビ・インターネットに続く効果の可視化ができる媒体」として、クライアントにより活用していただけると考えています。

「車内ビジョンってどうやって計測してるの?」

「New Standard」における、車内ビジョンのインプレッション計測は、大きく4つのステップに分かれています。

① アプリから取得したGPSデータをもとに算出対象路線上のデータを抽出
② LIVE BOARDネットワークである埼玉高速鉄道の車内ビジョンの広告視認率を①と掛け合わせ、算出対象路線全体の1時間ごとのimp数を推計
③ 算出対象路線全体に対してドコモのモバイル空間統計®を用いて属性データを付与
④ ③のデータに1時間あたりの広告放映回数や放映期間を考慮して、1枠のimp数を算出

車内ビジョンのインプレッション計測

NTTドコモのGPSデータとLIVE BOARDネットワーク内のカメラ設置路線(埼玉高速鉄道)での視認者数データを活用することで、これまで「不可能」と思われていた車内ビジョンの視認者数の計測を、これまでにない精度の高さで実現しています(データは個人情報が保護された状態で取得されています)。

2022年3月には、東京メトロ「Tokyo Metro Vision」のインプレッション計測を実施し、LIVE BOARDの屋外広告と車内ビジョンのセット商品を開発。さらに、2022年7月には、「Tokyo Metro Vision」の時間帯別配信も可能に。

これまで一日中流すことしかできなかった車内ビジョンを、LIVE BOARD経由であれば「30代男性の含有率が高い、平日の朝帯だけ流す」など、狙いたいターゲットに応じ、最も広告効果が高い時間のみ選んで配信できるようになりました。

Tokyo Metro Vision×LIVE BOARD
◆Tokyo Metro Vision×LIVE BOARD 
 区分(曜日):①平日(月~金)②休日(土日)
 区分(時間帯):①朝(0時台、始発~9時台)②昼(10時台~17時台)③夜(18時台~23時台)
 配信パターン:①平日朝②平日昼③平日夜④休日朝⑤休日昼⑥休日夜の合計6パターン
 ※上記6パターンの区分とLIVE BOARDの配信面を組み合わせて活用が可能。

「New Standard」によって、コミュニケーションはどう進化するのか

車内ビジョンのインプレッション計測のみならず、車内ビジョンの時間帯別配信を実現したことで、OOHのコミュニケーション自体も大きな進化を遂げています。

例えばあるBtoB企業では、「関東の学生に向け、社名を認知させたい」という課題に対し、このTokyo Metro Visionの時間帯別配信をご活用いただきました。

20代の含有率が高い「平日朝帯」と「休日夜帯」に、車内ビジョンで配信をしながら、10時~18時の日中は大学近隣250m圏内に存在する屋外面/駅構内のビジョンを活用。

最も狙いたいターゲットが、電車を利用している時間帯には車内ビジョンで、日中、大学近隣で活動している時間帯には屋外でコミュニケーションをとることで、効率よくターゲットのモーメント(瞬間)を捉えることができました。

このように「屋外にいる生活者のあらゆるモーメントを、効率的に捉えていく」という取り組みは、車内ビジョンの時間帯別配信が可能になったことで、さまざまなクライアントにご活用いただけると考えています。

例えば、夜に飲用意向が高まるビールであれば、平日や休日の夜だけ車内ビジョンを配信し、屋外広告はコンビニ近隣のみを活用し、リーセンシー効果(直前に見た広告が消費者の購買活動に影響を与えるという効果のこと)を高めることも。

肌荒れ対策の化粧品であれば、朝の自分の肌が一番気になる時間帯に車内ビジョンを配信し、屋外広告は日差しが強くなる晴れの日のみに配信することもできます。車内ビジョンと屋外広告との配信タイミングを分けながら、生活者の行動を基点に、最も効果的なモーメントを捉えていくことが可能になります。

このように精度を高めていくことは、クライアントにはもちろん、生活者にとってもメリットがあります。生活者にとってOOHは「商品/サービスとの偶然の出会い」を生んでくれるメディア。精度を高めていくことで、より生活者が興味がある商品/サービスとの偶然の出会いが起こりやすくなるといえるのです。

効果検証が可能なOOHは、テレビやインターネット広告に並ぶ広告媒体へ

「New Standard」プロジェクトでは、より多くのクライアントにLIVE BOARDをご活用いただけるよう、目下2つの取り組みを実施しています。

1つ目は、ネットワークの拡充です。「Tokyo Metro Vision」に限らず、さまざまな車内ビジョンのインプレッション計測と配信連携を進めていくことで、より多くの生活者のモーメントを捉えようとしています。配信連携を進めていくことで、LIVE BOARDが捉えられる生活者のUU数も増大していくため、テレビ・インターネットに続くリーチ媒体としてのLIVE BOARDの価値向上の重要な取り組みだと考えています。

2つ目は、効果検証の高度化です。現状は、アスキング(質問式)調査をベースに、車内ビジョンと屋外広告に複数接触した人にどのような意識差がでたのかを検証していますが、今後は実際の行動ログを活用した検証も可能にする予定です。

屋外広告と車内ビジョンの広告接触をID単位で把握することで、例えば飲食業・流通小売業のクライアントであれば、実際に購買や来店につながったのかを検証することができますし、サービス・ゲームといったクライアントであれば、実際にアプリDLや起動につながったか、自社のHPへサイト来訪したかを検証することができます。

さらには、テレビやインターネットと複数接触した人にどのような行動変容が表れたのか、狙ったKPIに対しどれだけLIVE BOARDが貢献したのかなど、よりテレビとインターネットと足並みをそろえ、横並びでの効果検証が可能になります。

「New Standard」プロジェクトで、あらゆるOOH広告の定量的な指標を提供することで、OOHビジネス全体を変革し、クライアントのコミュニケーション課題を解決していきたいと考えています。

OOHについては、下記の連載もおすすめです
実証!OOHが生む「世の中ゴト効果」
OOHのニューノーマル


Twitter