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新サービス「Indwelling Creators」、はじまる。

「最先端のツールや外部の専門家に頼っても、なかなかイノベーションが進まないんだよなぁ…」というお悩みを解決するために、このたび「Indwelling Creators」というサービスをご提供することになりました。

「Indwelling(インドウェリング)」については、また回を改めてご説明しますが、その意味は「棲み込む」。文字通り、経験豊かな電通のクリエーターが契約時間、クライアント内に棲み込んで、組織メンバーの創造力を活性化し、イノベーションが自発的に、持続的に起きるような風土づくりを目指していくものです。

続ろーかる・ぐるぐる#174_サービスロゴ

そして今日は、Indwelling Creatorsが「組織とは何か?」、そして「組織を動かす原動力とは何か?」について、どう考えているかをお話ししましょう。

Indwelling Creatorsでは「組織」を、「情報処理装置」ではなく「知識を創造するエコシステム」と捉えています。そして「組織を動かす原動力」は「正しい指示」ではなく、「対話」にあると考えています。もしかすると「ふーん、まぁ、そんなもんだよね…」って感じかもしれませんが、とても大切なことなので、もう少しお付き合いください。

たとえば、社長から現場まで多くのメンバーを動員、みんなで合意した内容を「パーパス」にまとめたものの、今度はそれがなかなか組織に浸透しないことに悩み、結局一向に変革が進まない…なんて話を聞くことがあります。Indwelling Creatorsではその原因が、「パーパス」という「正しい指示」をすれば、「情報処理装置」である組織が自動的に正しく機能するだろうという「組織観」にあると考えます。

誰からも反対意見の出ない「正しい」指示は、実はみんなを縛りつけている常識の枠内にあるからこそ「正しい」のであって、それをいくら忠実に実行したところで、常識を破るイノベーションなど起こらないのは当然のことです。

ここで必要とされるのは「対話」です。「新しい価値」というのは、一見相いれないような二つの価値観の間に起こる激しい相克(対話)から生まれます。両者の中から一つを選ぶのではなく、それを両立させるためにはどうしたらいいかを考え抜く、行ったり来たりの「動的」なプロセスが求められるのです。

先ほどの「パーパス」でいえば、経営者が唱える「現実的な理想主義」と「現場の現実」との間にギャップがあって初めて組織の中にゆらぎが生じ、激しい相克が始まります。そして、両者を行ったり来たりするせめぎ合いの中から「新しい価値」は生まれます。

「対話」を重視する背景には、「知識を創造するエコシステム」という組織観があります。組織メンバーは合理的に行動できない部品などではなく、ひとりひとりが個性豊かなクリエーター候補生だと考えるからこそ、「正しい指示」ではなく、あえて目の前に矛盾を示し、それを一緒に乗り越えようとするのです。

実は多くの方が無意識のうちに「情報処理装置」と「正しい指示」の呪縛にかかっているように思われます。これから解放するのが、Indwelling Creatorsの役割です。

続ろーかる・ぐるぐる#174_図版01

この取り組みは、全体として野中郁次郎先生の経営学をベースにしています。たとえば、トップダウンやボトムアップという一方通行ではなく、ミドルを中心にした「対話」を重視する姿勢は「ミドル・アップ・ダウン」理論によっています。

Indwelling Creatorsが目指すのは、メンバーひとりひとりの個性が発揮され、その組織「らしい」イノベーションを実現することです。すでにいくつかの実績はありますが、まだ始まったばかりの本プロジェクト。ご関心をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせはこちら】
opeq78@dentsu.co.jp 担当:山田

ところで毎年この時期このコラムと言えば、わが家のおせち料理。

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今年も大騒ぎしながら作り終えたのですが、毎回難しいのがお煮しめ。里芋、京人参(きょうにんじん)、蓮根、うど、筍、慈姑(くわい)、さやえんどう、銀杏(ぎんなん)、生麩を一つずつ鍋を変え、味つけを変えて炊くのですが、たいてい何かが満足いきません。素材一つ一つとの「対話」が足りないんでしょうね。それがプロとアマチュアの決定的な差なのかなぁ…。

どうぞ、召し上がれ!

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著者

山田 壮夫

山田 壮夫

株式会社 電通

明治学院大学 非常勤講師(経営学) 「コンセプトの品質管理」という技術を核として、広告キャンペーンやテレビ番組製作はもちろん、新規商品・事業の開発から既存事業や組織の活性化といった経営課題に至るまで、クライアントに「棲み込む」独自のスタイルで対応している。コンサルティングサービス「Indwelling Creators」主宰。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員等。受賞多数。著書「〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考」、「コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法」(ともに朝日新聞出版)は海外(英語・タイ語・前者は韓国語も)で翻訳・出版 されている。

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