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電通グループが提供する新たな価値
「Marketing For Growth」で事業グロースを“伴走”支援

2025/02/28

※この記事は、2024年8月16日「日経クロストレンド」で公開されたコンテンツを一部編集し、掲載しています。
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左から、電通 データマーケティング局 エグゼクティブ・ストラテジー・ディレクター 石谷 聡史 氏、電通クロスブレイン データソリューションプランニング部 シニアマーケティングコンサルタント 波間 朱莉 氏、電通 データマーケティング局 グロースコンサルティング7部シニア・プランナー 荻野 達夫 氏

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

マーケティング領域の高度化に対応して、クライアント企業の事業グロースに貢献するdentsu Japan。国内電通グループ約150社の総力を結集し、そのプロセスと基盤を体系化したのが、次世代マーケティングモデル「Marketing For Growth」だ。グループの持つデータと知見を掛け合わせ、クライアント企業に伴走することで、マーケティングの課題発見から戦略の策定、実行までを一気通貫で支援していく。そのために、マーケティングコンサルタントがクライアント企業に常駐し、課題の洗い出しや部門間の調整役を担うこともあるという。顧客に寄り添う電通グループならではの伴走型マーケティングコンサルティングについて、日経クロストレンド発行人・佐藤央明が、3人のキーパーソンに聞いた。

(聞き手 日経クロストレンド発行人 佐藤央明)
 

なぜ今、伴走型コンサルティングが必要とされるのか

 

企業活動とは、課題の発見と解決の繰り返しである。それが事業を持続的な成長へと導いていく。だが今、「扱う変数や情報源が増えていく中で、マーケティング課題が複雑化している」と、電通 データマーケティング局の石谷聡史氏は言う。

その理由は、大きく3つ。1つは、目的と事業環境の多様化だ。「商品やサービスを売る、ファンを創る、社会課題を解決するといった目的の多層化に加え、経営の多角化により、業界の境目が曖昧になりつつある。その結果、何を目指し、どこと戦うべきかが見えづらくなっているのが、今の企業をとりまく課題です」(石谷氏)

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電通 データマーケティング局 エグゼクティブ・ストラテジー・ディレクター 石谷 聡史 氏

2つ目は、爆発的なデータの増加だ。1st Partyデータをはじめとする自社データはもちろん、外部で活用できるデータも膨大となり、使いこなすことが難しくなっている。加えて、それを担うマーケティング人材がなかなか育たないというのが、3つ目の理由である。

「複雑にもつれ合うさまざまな問題に対して、どうアクションしていいかわからないとお悩みの企業が増えています。そこで、『Marketing For Growth』では、クライアント企業のニーズに合わせ、事業成長の根本となる課題そのものの発見から支援。その手法として、伴走型マーケティングコンサルティングを実施しています」(石谷氏) 

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動脈・静脈の2本の血流が4つのマーケティングプロセスを高速循環することで、マーケティングROIを高め、企業の事業成長に貢献する「Marketing For Growth」。伴走型マーケティングコンサルティングの取り組みは、「静脈」の部分にあたる


「Marketing For Growth」では、マーケティングプロセスを、「①Mechanism Resolving」「②Value Designing」「③360° Experience」「④ROI Management」の4つで捉えている。中でも、今求められているのは、「①Mechanism Resolving」の部分。具体的には、事業環境・市場構造の分析と本質的課題の導出である。

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「これまでは、『事業環境・市場構造の分析』と『本質的課題の導出』をクライアント企業が行い、当社はその後のプロセスを担うことが多くありました。しかし、考慮すべきことや扱えるデータが増えたことで、企業起点だけでなく、生活者起点でデータを分析し、『本質的課題』を導出することがより求められるようになっています。すなわち、①の『Mechanism Resolving』の重要度が増している中で、その難しさを感じている企業が少なくないのが現状です。ここに、長年にわたり生活者起点で大規模市場データと向き合ってきた電通グループのノウハウが生きると考えています。さらに、『②Value Designing』『③360° Experience』は、電通のケイパビリティが最も発揮されるところです。また、『④ROI Management』は、マーケティング投資の事業への貢献を可視化したいとの思いをもって、新しい分析手法や仕組みを開発。①から④の支援を一気通貫でやりきる覚悟をもって、チーム一丸で伴走してまいります」(石谷氏)

ここでいう「伴走」とは、クライアントに寄り添う姿勢のみにとどまらない。実際にメンバーがクライアント企業に常駐・半常駐することにより、クライアントとワンチームとなって課題を発見し、主体的に解決、事業成長へと牽引していく手法にも取り組んでいる。これまでの電通のイメージからはうかがい知れなかったその実態を、2つの先行事例から見ていこう。


常駐することで見えてくる企業のマーケティング課題と解決策


dentsu Japanの伴走型マーケティングコンサルティングのスタートは、2020年にさかのぼる。先例の1つをつくったのは、現在、電通 データマーケティング局でシニア・プランナーとして活躍する、荻野達夫氏だ。荻野氏は当時、石谷氏とともに大手通信会社のマーケティング案件に関わっていたという。同社の事業グロースに向けたマーケティング戦略立案はたびたび行ってきたものの、クライアントは戦略を実施フェーズまでやり切ることができず、悩みを抱えていた。そこで、クライアント企業の内部に入って戦略から実行まで一気通貫して支援する「協業社員」として白羽の矢が立ったのが、荻野氏だ。

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電通 データマーケティング局 グロースコンサルティング7部シニア・プランナー 荻野 達夫 氏

「常駐させていただくことで、これまでのクライアント案件から一歩踏み込んだ支援ができるようになりました。例えば、同じ目標に向かっているはずなのに部署間の連携がうまくできていないといった場合も、一段階俯瞰(ふかん)した目線を持った外部の人間が間に入ることで、うまく調整を図ることができる。『潤滑油』のような役割を果たせます。これは、単に外側からの支援ではできないことでした」(荻野氏)

荻野氏が協業社員として携わったミッションの1つは、あるサービスプラットフォームのMAU(月間アクティブユーザー数)を増やすというものだった。目的の達成に向けてあらゆるチームがKPIを設定するものの、その内容は顧客や加盟店の拡大からキャンペーンの実施、UI(ユーザーインターフェース)の改善まで部署ごとに細分化されていた。

「機能ごとに組織が分かれているため、部署ごとのKPIはどうしてもバラバラになってしまう。それを生活者起点、つまり『あるべきユーザー体験』という軸でデータを使って整理し、別々のKPIを共通のゴールに向けて構造化する。そのようにして、戦略意図を踏まえた部署ごとの課題設定、施策の実行までを支援させていただきました。こうした『越境行為』が許されるのも、組織のしがらみがない伴走コンサルタントの強み。このプロジェクトでは、当該期最大規模のものから小さなものまで複数の施策を実現にこぎつけ、1年間でMAU比百数十%、年度目標を達成という成果を上げることができました」(荻野氏)

荻野氏は今も同社に常駐し、外部の視点と立場を生かしながら事業グロースに貢献しているという。

一方、約2年前から大手エンターテインメント企業に半常駐しているのが、電通クロスブレインのシニアマーケティングコンサルタント、波間朱莉氏である。 

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電通クロスブレイン データソリューションプランニング部 シニアマーケティングコンサルタント 波間 朱莉 氏

発端はデータ活用を促進する部門からの、データ分析の依頼にあった。だが、部門内でデータ分析を設計・実行するだけだと、うまく現場の課題解決にはつながりきらない。そこで、各部署にヒアリングし、課題を特定するところから伴走する、伴走型のコンサルティングに踏み切ったという。

「私が支援させていただいているのは、主にCRM部門と在庫管理部門です。CRM部門では、お客さまのロイヤルティを向上させるために、コミュニケーションの刷新を図っています。具体的には、クライアント企業の1st Partyデータにアンケート調査やインタビュー調査などを組み合わせることで、会員育成の課題探索やコミュニケーション設計のための顧客理解、実施したコミュニケーション施策の効果の可視化まで幅広く実施しています」(波間氏)

また、在庫管理部門からは「欠品を減らすために需要予測をしたい」というオーダーがあったが、クライアントとの議論の結果、根本課題は発注業務の効率化にあることを突き止め、これを解決するために業務改善ツールを作成、大幅な工数削減を実現した。この取り組みは、クライアント企業の社内でも表彰されるほどのインパクトある成果につながり、現在は欠品を減らすための次なる課題解決に向けて伴走を続けているという。


伴走から自走へ
揺るぎない事業グロースの基盤づくり


ここに紹介した事例は、ほんの一部に過ぎない。dentsu Japanでは、クライアント企業とワンチームとなって事業グロースに伴走する1つのかたちとして、現在クライアント企業にマーケティングコンサルタントを派遣し、常駐・半常駐による伴走コンサルティングを行う件数を要望に応じ増やしているという。では、dentsu Japanが伴走することでクライアント企業にもたらされるメリットは何か。石谷氏は次の3つを挙げる。

「1つは、企業内外の視点とデータを掛け合わせることによる、マーケティング戦略の高度化。2つ目は構想から実行までのワンストップ推進です。マーケティングコンサルタントがハブとなり、より多くの部署を巻き込んで実施できるのも、伴走型マーケティングコンサルティングの強みです。そして3つ目が、人材育成。伴走のプロセスを通じてマーケティングの経験値やノウハウを共有し、クライアント企業の社内人材の成長と自走化をサポートしていくというものです」(石谷氏)

クライアント企業のマーケティングがレベルアップし、自走できるところまで一緒に伴走していく。それが、dentsu Japanの考える伴走型マーケティングコンサルティングであり、「Marketing For Growth」がもたらす事業成長のあり方である。

実際、荻野氏も常駐先への勉強会や、伴走するクライアント社員にOJT的に知見を共有する機会も多いという。「われわれのスキルや知見を惜しみなくトランスファーすることで、常駐が終わったあともクライアント企業のグロースに貢献できる。これこそが、私たちが本当に提供したい価値なのです」(荻野氏)

その価値を、より多くの部署や企業にも広げていきたいと、波間氏は言う。「
支援させていただいた部署では、データマーケティングの成果が少しずつ表れています。もちろん、これまでのやり方を変えることへの抵抗感も多少あったと思いますが、今ではみなさんにもメリットを実感していただいています。これを他部署にも展開していくことで、クライアント企業全体の支援につながると考えていますし、他クライアントにも支援を広げていきたいです」(波間氏)

支援の先に目指すのは、クライアント企業の揺るぎない成長だ。dentsu Japanの掲げる「Integrated Growth Partner(IGP)」には、より広い領域から事業グロースをサポートし、社会の持続的発展に貢献するという意思が込められている。

「マーケティング活動をクライアント企業全社の取り組みとして広げ、伴走することでその実行力を上げていく。それが企業成長のエンジンとなり、生活者や世の中を豊かにしていくと、私たちは確信しています。その仕組みづくりを、『Marketing For Growth』で実現してまいります」(石谷氏)

伴走型マーケティングコンサルティングという新しいアプローチで、企業と社会のグロースに貢献するdentsu Japan。その循環を創り出す「Marketing For Growth」もまた成長を続けている。
 



取材を終えて(日経クロストレンド発行人 佐藤 央明)
「広告の雄」と言われた電通グループが、コンサルティング領域でここまで踏み込んだ取り組みをしていることに、まず驚きました。これができるのも長年、広告・マーケティングで培った知見と実績があるからこそ。伴走型マーケティングコンサルティングの試み自体、クライアントの要請から始まったという事実にも納得できます。すべては顧客の「お悩み」を解決するためにやっていること。クライアント企業に徹底的に尽くす姿勢が、「常駐」という電通にとっては前代未聞の伴走スタイルにつながったのでしょう。何としても顧客の事業グロースに貢献するという、電通の本気が伝わってきます。

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