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あなたの会社もきっと何かの世界一!ギネス世界記録の企業活用とは?

2025/08/07

左からギネスワールドレコーズジャパン丸山拓郎氏、同社代表・石川佳織氏、電通 内山修一氏
左からギネスワールドレコーズジャパン丸山拓郎氏、同社代表・石川佳織氏、電通 内山修一氏

2025年で70周年を迎えた「ギネス世界記録™」。実は、企業のPR施策としても広く活用されています。

そこで今回は、ギネスワールドレコーズジャパンで法人のコンサルティングを担当する丸山拓郎氏と、ギネス世界記録の企業活用を支援する電通の内山修一氏にインタビュー。

ギネス世界記録を企業が活用するメリットや、過去の事例について語っていただきました。

<目次>
ギネス世界記録の認定は、PRにおいて強力な“ファクト”になる

「なぜその記録に挑戦するのか」のストーリー設計から電通が伴走

限られたスケジュールの中でエビデンスを集める「実績系」のギネス世界記録

徹底した事前準備が成功の秘訣!「チャレンジ系」のギネス世界記録

ギネスワールドレコーズジャパン代表に聞く!
 そもそもギネス世界記録ってどんなもの?


ギネス世界記録の認定は、PRにおいて強力な“ファクト”になる

電通 内山修一氏
電通 内山修一氏

──エンタメ性の高いコンテンツとして広く知られているギネス世界記録ですが、「ギネス世界記録の企業活用」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

内山:活用方法は大きく三つあると考えています。一つは、商品やブランドのプロモーションでの活用です。「世界一」「ギネス世界記録認定」という客観的根拠のあるわかりやすい表現を、“ファクト”として使用することができます。

二つ目が、いわゆる周年事業への活用です。企業がこれまで積み上げてきた歴史や実績の証明やメッセージを伝える手段として、ギネス世界記録にチャレンジする企業が昨今増えてきています。

そして三つ目が、海外市場に展開する際のコミュニケーションフックとしての活用です。これは、ギネス世界記録が世界でも非常に認知度の高いコンテンツだからこそできることです。

丸山:ギネス世界記録は今年で70周年を迎え、世界的に見て約9割の認知度があるブランドとなっています。書籍やテレビで触れていただくことも多いと思いますが、近年はSNSにも力を入れています。リーチ数は80億を超え、かなりのパワーコンテンツになっているんです。

国内はもちろん、世界中で認知されているギネス世界記録を活用することに、企業側もメリットを感じていただいているのかなと思います。

──企業が「世界一」を取得することで、どのような効果が得られるのでしょうか。

内山:一つはPR効果です。昨今、景品表示法が厳格に適用される風潮が高まっており、“最上級表現”が使いにくくなっています。その中でギネス世界記録に認定されたものは、堂々と「世界一」を示すことができます。

ギネス世界記録のライセンスは、テレビ、オンライン、新聞、商品パッケージなど、メディアごとに細かく切り分けて設定されています。プランニングや予算によりますが、最大で全メディアで活用可能です。

二つ目が、購買に対する効果です。例えば、食品メーカーの営業担当者が流通にアプローチする際、「ギネス世界記録に認定された商品です」と強力なファクトをわかりやすく伝えられることは、大きな強みになります。それがPOPなどの店頭施策を充実させ、購買にもつながると考えています。

三つ目は、クライアントの従業員といったインナーメンバーのモチベーションアップです。大きな企業ほど生活者やエンドユーザーのリアクションが見えづらかったり、日々の業務がどのような結果につながっているのかわかりづらいこともあると思います。その中でギネス世界記録の認定は、目に見える形で一つの評価となります。インナーメンバーにもポジティブな効果が与えられるところは、ギネス世界記録ならではの強みです。

「なぜその記録に挑戦するのか」のストーリー設計から電通が伴走

ギネスワールドレコーズジャパン 丸山拓郎氏
ギネスワールドレコーズジャパン 丸山拓郎氏

──ギネス世界記録を活用する企業は、どのような課題を抱えて相談されるのでしょうか?

内山:「商品やブランドのプロモーションをしたいが、強力なファクトが見つからない」と悩んでいるクライアントが多いですね。相談を受けたら、私たちはまずその商品やブランドの強みをヒアリングします。

その上で、約7万タイトルあるギネス世界記録の中からベストなタイトルをいくつか提案したり、合致するタイトルがまだない場合は、ギネスワールドレコーズ社に新規の記録開設が可能か打診します。そしてそのタイトルを活用してどのようなコミュニケーション展開ができるのかを考え、プランニングしていきます。

また最近は、周年事業でギネス世界記録を活用したいという相談も増えています。周年事業はメッセージやコンセプト、将来への展望を外に発信する機会ですが、どうしても企業本位になってしまいがちです。しかしそこに「ギネス世界記録への挑戦」と一つ旗を立てることで、社員からお客さままで、ステークホルダー皆が同じ方向を向けるようになります。

企業がお客さまを巻き込んでギネス世界記録に挑戦するケースも多いのですが、「ギネス世界記録に一緒にチャレンジしましょう」と呼びかけることで、エンタメ性が生まれて、前向きに取り組んでもらえるんです。

そして企業が伝えたいメッセージやコンセプトを、ギネス世界記録のチャレンジにうまく掛け合わせることで、お客さまにも自然な形で伝えることができます。

丸山:私も企画の部分から内山さんと連携して、いくつものプロジェクトに関わっていますが、内山さんはいつも「なぜその世界一にチャレンジするのか?」という裏付けを大切にされています。記録ありきではなく、全体のストーリー設計を考えているので、クライアントも納得感を持って取り組んでくださっているように思いますね。

内山:私たちの最終的なゴールは、世界一に認定されることではなく、ギネス世界記録を活用して企業の課題を解決することです。そのため、新たなタイトルで挑戦するときにも、商品やブランドの強みや特徴を重視しつつ、「どういうメッセージを打ち出していきたいのか」「メディアにはどう取り上げられたいのか」と、PRのヘッドラインに向けて逆算しながら考えるようにしています。

限られたスケジュールの中でエビデンスを集める「実績系」のギネス世界記録 

電通 内山氏
──実際に内山さんが関わったプロジェクトについて教えてください。

内山:まずは「実績系」のギネス世界記録の事例について二つ紹介します。

一つ目が、ニチレイフーズの「本格炒め炒飯®」です。本件は「瞬間的ではなく、継続した購買につながるようなプロモーションがしたい」というご相談からスタートしました。その中で「炒飯の売上金額でギネス世界記録が取得できないか」いう話になり、結果的にそのアプローチで進めることに。最終的に、世界で一番売れている冷凍炒飯として「最大の冷凍炒飯ブランド」というタイトルを開発し、認定されました。

ニチレイフーズ

丸山:補足すると、ギネス世界記録は、何でもタイトル化できるというわけではなく、「世界的に見て標準化できるか」が重要なポイントになります。例えば、「その企業だけしか挑戦できないタイトル」は記録にはなりません。

グローバルで同じルールのもと、同じように調査をしてナンバーワンであるかどうかが判定できるものに限られます。当社には70年の蓄積があるので、「標準化できるタイトルか否か」は比較的、明確に判断することが可能です。

内山:本件はニチレイフーズの営業チームから「流通との交渉がしやすい」と非常に評価をいただき、2年目以降もライセンス取得を継続していただくことができました。商品の売り上げ伸長を実現するなど、販促におけるギネス世界記録の効果がよくわかる事例となっています。

また、ギネス世界記録認定を祝して、メディア向けにPRイベントを開催したり、認定証を工場に掲出したり、アウター・インナー両方のコミュニケーションで最大限に活用されたようです。

テーブルマーク

内山:二つ目はテーブルマークの冷凍麺の事例です。テーブルマークはもともとギネス世界記録を取得されていましたが、周年事業のタイミングでより幅広く展開していきたいと、当社にご相談いただきました。

冷凍麺は競合が非常に多いカテゴリーで、価格競争も厳しいので、他の商品との差別化はどのメーカーも苦心されているところです。その中でテーブルマークは、冷凍麺世界売り上げナンバーワンとして「最大の冷凍麺ブランド」に認定され、テレビCMやパッケージにライセンスを活用いただいた結果、こちらも売り上げ伸長に貢献しています。引き続き、ライセンス使用を継続していただいていることから、一定の効果を感じていただけたのではないかと思っています。

丸山:ニチレイフーズやテーブルマークのように、売上額などすでに存在するファクトをもとにした「実績系」と呼ばれるギネス世界記録では、世界一の要件を満たすエビデンス(証拠物)を提出いただきます。具体的には、国際市場調査会社による調査のエビデンスにもとづいて認定の審査を行っています。

内山:私がプロモーションを設計する際は、「認定にはどんなエビデンスが必要か」「調査にかかる時間はどのくらいか」なども考慮しています。というのも、周年事業など、クライアントのプロモーションスケジュールが決まっていることもあるからです。

スケジュールに間に合うように調査を進め、必要な要件を満たし、ギネス世界記録の認定までもっていく。ここはかなりテクニカルなところではないかと思います。これを企業のマーケティング部や宣伝部の方が、日ごろの業務と並行しながらギネス世界記録の認定に向けて作業をするのは、かなり大変です。その点、私たちのチームはどこよりも確実性とスピード感をもってサポートできる自信があります!

丸山:それこそ、「世界で一番」のサポートかもしれませんね(笑)。

徹底した事前準備が成功の秘訣!「チャレンジ系」のギネス世界記録

ギネスワールドレコーズジャパン 丸山氏
──「実績系」以外にはどのようなギネス世界記録があるのでしょうか。

内山:「チャレンジ系」と呼ばれる事例を二つ紹介します。一つ目はP&Gのプロジェクト。これは二種類の食器洗い洗剤「JOY」が発売されたタイミングで、「販促施策として世界記録認定にチャレンジをしたい」という相談から始まったものです。

JOY画像 
内山:2商品のダブル認定にチャレンジすべく、それぞれの商品の長所に沿ってタイトルを設計しました。泡もちの良さが特徴の「ジョイPRO洗浄 まとめ洗い用」は、「3分間で洗ったお皿の最多数」、泡切れの良さが特徴の「ジョイPRO洗浄 すぐ洗い用」は、「3分間ですすいでタオルドライしたお皿の最多数」というものです。

後者のタイトル設計は特に苦労しました。というのも、日本はお皿を洗った後に水ですすぎますが、世界には洗い流さずにタオルドライする文化もあるんです。丸山さんとも相談しながら、ギネス世界記録の記録対象となりえる適切なタイトルを見つけ出すために試行錯誤しました。

この二つの記録チャレンジには、ジョイの広告に起用されているみちょぱさんと杉浦太陽さんに行っていただきました。本番での成功率を上げるために、私たち電通チームで徹底して準備をしました。チャレンジを実施するハウススタジオを借りて、お皿やスポンジを置く場所、お湯の温度など、どうすればギネスワールドレコーズ社が定める目標数値に近づけるかいろいろ試したのですが、これが本当に大変でしたね(笑)。

徹底した準備と、タレントさんの素晴らしいポテンシャルのおかげでチャレンジは成功。無事、ダブル認定となりました。各商品の強み自体がギネス世界記録のタイトルになっているので、流通にもお客さまにも訴求しやすいと、クライアントからも評価をいただきました。

ローソン画像 
内山:二つ目が、ローソンの「からあげクン」とサントリーの「こだわり酒場」のコラボ企画。コラボ商品としてからあげクンのレモンペッパー味が販売され、梅沢富美男さんを起用したPRイベントを実施したいというご相談がありました。

結果としてイベントで実施したのが、梅沢さんに「1分間で箸を使って移動したレモンの個数」のギネス世界記録にチャレンジしてもらう企画です。シンプルではありますが、からあげクンとレモンサワーを「つなぐ」という意味を込め、ビジュアル的にもわかりやすいものを実施しました。

こちらも電通チームで入念に準備し、梅沢さんにも本番前に練習していただいたおかげで、無事にギネス世界記録を達成。梅沢さんもとても喜んでくださり、ご自身のSNSなどで取り上げていただくなど、PR発表会以外の場でもPRにつながったと捉えています。

丸山:ギネス世界記録のカテゴリーには、箸で何かを移動させるという記録のカテゴリーがあります。お箸はアジア圏の方々が使うもので、世界的にも「チョップスティック」という言葉も浸透しているので、標準化しやすい点でも良い企画だと思いました。

また、こうしたチャレンジ系のギネス世界記録では、チャレンジ本番で3回までの挑戦が認められています。しかし、本番には公式認定員が立ち会うので、普段より緊張してうまくいかないことも多々あるんです。そのため、事前の練習や準備はとても大切。内山さんは特に「準備をすること」に、ものすごく信念をもって取り組んでおられる印象があります。

内山:もちろん、失敗覚悟で世界一にチャレンジをするケースも多々あると思います。ですが、私たちのチームが手掛けるような企業のPRプロモーションは、成功ありきでプランニングしているので、失敗が許されないところがありますから。個人的には、準備段階で成功率は95%くらい決まるのではないかと思っているので、いつも徹底的に準備し、できる限りのことをし尽くしてから、本番を迎えるようにしています。私が制作に関わったギネス世界記録の案件は、今のところ認定率が100%なんですよ! 

また最近、「サッポロ クラシック」誕生40周年の施策もお手伝いしました。この施策では、生活者、飲料店、量販店、インナーメンバーなどすべての北海道の方と一緒に40周年を盛り上げようという趣旨で、「サッポロ クラシック」を乾杯でつなぐ「乾杯の最大のオンラインビデオチェーン」の世界一にチャレンジしました。

これまでは電通だけで完結するケースが多かったのですが、本件は電通北海道との協業プロジェクトです。今後も、電通グループで連携しながら、全国各地のさまざまな企業のギネス世界記録の活用をサポートしていけたらと思っています。

──最後に、読者へメッセージをお願いします。

内山:大企業・中小企業関係なく、日本中のどの企業にもきっと何かの「世界一」の可能性があると私は思っています。商品やブランドのPRや周年事業など、どんな目的でも良いので、ギネス世界記録に挑戦してみたい、興味・関心がある企業の皆さまは、ぜひお気軽にご相談ください!

お問い合わせ先:
電通第5マーケティング局:5mk_gwr@group.dentsu.co.jp


石川代表

ギネスワールドレコーズジャパン代表に聞く!
そもそもギネス世界記録ってどんなもの?

【ギネスワールドレコーズジャパン 代表 石川 佳織】
ギネス世界記録の始まりは、1950年代初期のこと。当時ギネス醸造所のCEOが友人らと狩りに行ったときに「ヨーロッパで最も速く飛ぶ鳥は何だろう?」と議論になりましたが、答えがでませんでした。そこでいろんな「世界一」を調べて集めた本があったら面白いのではないかと、1955年に「ギネス世界記録」(当時の呼称は「ギネスブック」)が作られました。
 
当初は「この本をパブに置いたらお客さんたちが議論をして、ビールが売れるのではないか」という考えもあったようです。その後、ギネス醸造所から独立し、さまざまな世界一を収集、登録する形になりました。現在も毎年「ギネス世界記録」は出版され、特に欧米などではクリスマスプレゼントの定番になっています。

私たちが掲げるブランドフィロソフィーは、「世界を、よりおもしろく、楽しく、ポジティブな場所にする」。驚きや発見、挑戦者の思いや情熱が詰まった世界記録を広く発信することで、人々がさまざまなことに興味を持ったりアクションを起こしたりするきっかけになればと思っています。今後も、原点である書籍も大切にしつつ、SNSなどにも力を入れて情報を発信していきます。

また70周年を迎えた2025年は「Be Part of It - 挑戦した人は、知っている」というメッセージも打ち出しました。世界一は、読むのも見るのも楽しい。けれど、挑戦してこそ知る景色があります。世界一にたどり着くまでに見える景色、達成した瞬間の景色、記録保持者としての景色……。これらは挑戦者にしかわからないものです。皆さんにもぜひ、自身が好きなことや今のお仕事の中から「どんな世界一にチャレンジできるだろう?」と、好奇心を持って考えてみてもらえたらうれしいです。

ギネス世界記録の企業活用セミナー開催
 
●実施日時 :2025年9月9日(火)15:30~17:00
●登壇者  :丸山拓郎氏(ギネスワールドレコーズジャパン)
        内山修一(電通第5マーケティング局 CXコンサルティング3部 コンサルタント)
●実施方式 :会場リアル参加 or ウェブ参加(Teamsでの実施を予定/URLは後日ご案内します)
●実施会場 :電通関西オフィス
      (大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト17階)
●会場定員 :約30名(お申し込み多数の場合はウェブ参加へのご変更をお願いする場合があります)
●参加費  :無料
●申込先  :下記URLよりお申し込みください。
       https://forms.office.com/r/Fj01cixKVU
●申込締切 :2025年8月29日(金)17:00
●《問い合わせ》 :電通 第6マーケティング局プロジェクト開発部
          6mk_prokai@group.dentsu.co.jp
          担当:下川・一山・中村
 

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