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ワカモンのすべてNo.11

SEKAI NO OWARI×大蔵桃子:前編

「SEKAI NO OWARI のつくられ方 101人目のNO!で新しい道を切り拓け」

2014/04/16

 

今回は、子供から大人まで幅広い層で絶大な人気を誇る4人組バンド「SEKAI NO OWARI」の4人にワカモンメンバーである大蔵桃子さんがインタビューしました。
シェアハウス生活を送りながらライブハウスを運営し、ライブやフェスをセルフプロデュースするなど独創的なスタイルで活動を続ける彼らが、戦ってきたものは何なのかについて聞きました。

「SEKAI NO OWARI」の4人と、ワカモンメンバーである大蔵桃子さん(中央)

リベンジ・サクセスストーリーを思い描く

大蔵:まずは、若者にとってセカオワはどんな存在でありたいかといった思いはありますか?

Fukase:学校の中にいたら僕たちがどういう風に認知度があるのか分かるのかもしれないけど、もう生活スタイルが全然変わっちゃってるから…。正直分かんないですね。

Saori:でも、中学生とか高校生とかの頃に聴いた音楽って、一生好きじゃないですか? 自分にとってもあの頃に聴いた音楽って人生に刻まれたようなものだったから、私たちもそれになれるかもしれないっていうのは希望なんですけどね。

Fukase:歩いてたらいろんな人に声かけてもらえるから、きっと知名度は上がったんだろうけど、僕たちが中高生の時に輝いて見えた、あのスターたちの位置に立ってるっていう実感は別にないっていう。

DJ LOVE:多分、僕が一番ない。普段は(笑)。


Fukase:だから、今僕たちの出てる某音楽番組と、昔僕が見てたソレとは違うものみたいな感覚がある。

Saori:それ、すごい分かる。

Fukase:何となくだよ、漠然と一致しないから。だから僕たちがどういう存在になっているのかは想像の中でしかないけど、ただ何を伝えたいかというと、それは生き様的な何かに違いないと思う。

Nakajin:きっと何の仕事をしてる人もそうだと思うけど、特にいろんな人に見られて、多くの人にそれが伝わってしまう仕事でもあるので、しっかりした生き様でいようみたいなのは確かにあるかもしれない。

Fukase:どこまでも生き様を見てほしい。僕たちって結構勘違いされるんですけど、いい音楽やるためにテレビは嫌々出てるとか全然そんなことなくって、売れることは正義だと思っている。僕自身、学生時代、本当に何の取り柄もなかったんですよ。歌だって全然上手くもなかったのを、20歳から頑張った。20歳までに才能が出てない人って結構生きづらいんですよね。僕は、何か目指してるとか、そういう人が周りにいなくて苦しかった。だから20歳からギターの練習を始めた自分が有名になることが、みんなの希望に変わらないかなーと思ってやってるんです。

Nakajin:「僕たちもっと出たい」みたいな話、家にスタッフ陣を呼んで、鍋パしながらしたりしたね(笑)。

Fukase:とにかく有名になることに執着していて。それは、何の取り柄もなかったあの頃の自分を正当化したいのかもしれないし、劣等感しかなかった自分の「リベンジ・サクセスストーリー」みたいなものを思い描いてるのかもしれない。

大人たちの「べき論」とどう戦ってきたか?


大蔵:メジャーになる過程では、「バンドはこうあるべきだ」とか、さまざまな「べき論」と向き合ってきたのではないかと思います。そういう常識や「べき論」に打ち勝つための戦い方ってありますか?

DJ LOVE:そもそもがさ、ライブハウスでは普通ドラムとベースが居るんだよ!っていうところからだったもんね。

Fukase:それがグルーヴに変わるのさ、からのスタート。さらにロックって何よ?まで戻っちゃうという(笑)。何かから自由になりたくてバンド始めたのに、結局ガチガチにルールがあるんですよね。そういう“ロック村”から抜け出す方法としてやってきたのは、こういう場で大きな声で言うこと。僕らはそうはならない、そういうのを守りたくないって周りのスタッフに言い続けること。

Saori:だからずっと、「○○するべきだ」って言われたら「何でそれはそうするべきなんですか?」と理由とか意味を聞いて、何となくNGみたいなものは全部考え直してやってきました。ライブ中の写真撮影をOKにしたのとかもそうで。

Fukase:あと、人のせいにしないこと。僕らがいつも思ってるのは、事務所もレーベルも別に敵じゃないけど、依存はせず最悪自分たちでどうにかできるというスタンスをとるのが一番じゃないかなと。たとえば会社の新入社員の中にも、昔の考え方は古いとか文句ばっかり一丁前の人もいるわけでしょ? 言うからには自分でどうにかしなきゃいけないわけだし、やるからにはちゃんと「どうしたらいいのか」を考えようよっていうシンプルな理屈です。

Saori:私たちのチームでは責任者を立てる傾向があって、最初いきなり私がライブ担当になったんですけど、ライブの演出なんて初めてで、それこそ新入社員状態で。その時すごい思ったのは、みんなに「どうやったらいいかな?」って何となーく不安に思ってすぐ聞いちゃうと、相手もすごい適当なことで返してきたりして、結局責任者不在の作品みたいになるんです。自分の中で目的が決まってから初めて、その手段についてみんなに相談しないといけない。

Fukase:それが責任だよね。Saoriちゃんはその初演出のライブで、出てくるロボットにセリフを入れてくれた大御所声優さんにセリフ指導もしたんだよね。

Saori:何となくスタッフ陣も緊張してて、はいOKです!みたいな空気なんだけど、やっぱり私がつくってるから、いくら大御所の方でも自分がNOって言わなきゃいけない瞬間はあるなって思って。演出をやっていると、100人のYESより1人の責任者のNOの方が圧倒的にパワーがあると感じます。

Fukase:新しいものをクリエートする、ゼロから道をつくるっていうのは、やっぱり101人目のNOでなきゃいけないと思うんだよね。ただ、だから何をやってもいいよっていうわけじゃなくて、とにかく結果を出してくれっていうのはずっと言い続けてる。そうでないと1人のNOがただのワガママになる可能性があるから。結果にならないのならば101人目のYESになるべきだし、自分でちゃんと結果を残すことが大事。そういう責任感が生まれると、仕事ってすごい楽しくなってくると思うんですよ。(続く)


「電通若者研究部ワカモン」ロゴ

【ワカモンプロフィール】
電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワ カモン Facebookページでも情報発信中(https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。