キメゾーの「デジタルソリューションがよく分かっていねえ」No.8
マガストア
(プラットフォーム・ビジネス局 金子信也)
2014/04/29
電子雑誌の先駆者である「マガストア」。その開発者の一員である金子さんに、キメゾーが体当たりインタビューした。そして玉砕した。
──金子か、いい名字だ。俺は金に目がないんだ。
金子:そうですか(笑)。ありがとうございます。
──で、金子は何をやって金もうけしてるんだ?
金子:金もうけの話は置いておいて…。僕は「マガストア」という電子雑誌のプラットフォームを、立ち上げ期から今まで担当してきています。
──何人の人が使ってるサービスなんだ。
金子:累計300万人くらいです。
──俺のファンと同じくらいじゃないか。
金子:絶対そんなにいないでしょ!(笑)
──(無視して)どうやって読むんだ?
金子:iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、タブレット用にアプリケーションを提供しています。アプリのダウンロードや立ち読みは無料ですので、試しに使っていただいて、気になる雑誌があったらすぐに買って読むことができます。紙の雑誌よりも安いものが多いので、お得ですよ。
──いつ立ち上げたんだ?
金子:2009年6月からです。スマホが国内で浸透し始めていたので、近い将来電子雑誌の流れが来る!と思い、始めました。
──出版社とはどう連携したんだ。
金子:はい、一社一社回って、少しずつ理解を得て、少しずつパートナーが増えて…という感じで、結構大変でしたね。
──泣けるじゃねえか。
金子:泣いてないじゃないですか。2010年にiPadが発売されて、そこでようやく電子雑誌の良さが伝わり始め、急速にパートナーも増えましたね。
──どうやって雑誌をデータ化するんだ。
金子:もうね、はじめは手作業に近かったです。今はシステム組んでやれてますが…。環境が整うまでは手探りでしたね。あと、出版社から書店へのハブになれる、マガポートというプラットフォームもつくりました。
──ららぽーとなら大好きだ。
金子:マガポートです。今はどんどん流通ラインを広げるように活動しています。で、その結果として、電子雑誌内の広告ビジネスも視野に入っています。
──そもそも電子雑誌ってどれくらい読まれてるんだ?
金子:今のところ市場としては100億規模なので、まだまだ雑誌市場の中で考えると割合は少ないです。ただ僕らは、出版社の編集されたコンテンツには他にはない価値があると感じていますので、そのパイプをつくっておくのが役目かと。せっかくいいものがあるんだから、ユーザーの目に触れやすいようにしたいんです。
──泣けるじゃねえか。
金子:泣いてないじゃないですか。
──雑誌ごとじゃなくて、記事だけで配信したりもするのか。
金子:そうですね…。いろいろな記事で構成されている雑誌を、記事ごとにバラ売りすることも物理的には可能です。ただユーザーは記事を一つずつ買うという行為に慣れていないので、いろいろなサービス形態を試してみる段階だと思います。
──俺も、いろんな恋愛テクを試してる段階だ。
金子:すぐ話がそれるんですね(笑)。キメゾーさんはファシリテーターに向いてないですね。
──パシリ…?
金子:あ、大丈夫です(笑)。ちなみに、デジタルならではの表現や、機能をふんだんに盛り込んだインタラクティブな電子雑誌も登場していますが、紙の雑誌と同じタイミングで発売するのが難しかったり、制作コストが余計にかかったりと、試行錯誤しているようです。電子雑誌は難しい。だから楽しいともいえます。
──広告はどうなってるんだ。
金子:広告に動画を埋め込んだり、広告自体をゲームにしたり…。技術的にできることはいくらでもありますが、デジタルでもやっぱり雑誌の持つ世界観やテーマにマッチした広告が効果的だと見ています。まずは一度ご相談ください。
──今後の野望はあるのか。
金子:皆さまが読んでいて、まだデジタル化していないメジャーな雑誌や、コアな専門誌がたくさんあるので、より多くの人に紙とかデジタルとか関係なく、雑誌を読む楽しみや習慣を広げていきたいです。
──俺もひらめいた。「TOUCH読み」というサービスはどうだ。
金子:立ち読み?
──いや、TOUCH読みだ。TOUCHするだけで試し読みできたり、 あとは「隠れTOUCH」みたいなものがあって、 それを見つけると特典情報が見つかったり!しかも…
金子:(時計を見て)あ、次の打ち合わせに行かなきゃ!
光の速度で去っていく金子の後ろ姿を、キメゾーはいつまでも見つめていた。