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キメゾーの「デジタルソリューションがよく分かっていねえ」No.7

SOCIAL_BOX

(コミュニケーション・デザイン・センター 杉友ジョージ壮)

2014/03/24

杉友氏とキメゾー

杉友:(ノートPCを開いて、オウムがこちらを見ている映像をキメゾーの方に向ける)えっと、ちょっとだけ前髪上げてもらってもいいですか?

──俺は誰にもコントロールされない。

杉友:あれっ? たしか…キメゾーさんってこの仕事でギャラをもらってるんですよね?

──上げました。(前髪を上げる)

(オウムが音声で)「キメゾーさんこんにちは! 仕事の仁義は切ろうね!」

──うお!!  なんで俺の名前知ってんだ!?

杉友:というモノを最近発表したんです。これ、すごいんですよ(笑)。へへへっ。

タネを明かすと、事前にキメゾーさんの写真をもらって登録しておいたんです。それを基に、PCの中に入っている「face_in(フェイスイン)」という顔認証システムがカメラでキメゾーさんを認識して、人工音声で名前を読み上げるというやつで。

──俺を捨てた母さんが中に入っているかと思ったぜ。ところで今日俺は「SOCIAL_BOX(ソーシャルボックス)」の話を聞きにきたんだ。そもそも「SOCIAL_BOX」ってなんなんだ。

杉友:例えばイベントや展覧会で、その特設サイトに自分のSNSアカウントでログインして写真をアップすると、自動的に自分のSNSにも公式フレーム付きで「ここに来ましたよ」と投稿されるのが基本サービスです。それに加えて、そのイベント会場で写真がシールとして出力されたり、コップに印刷されたり。その見え方、アドオン部分はいろいろ変えていけます。

「SOCIAL_BOX(ソーシャルボックス)」

──どこが他と違うウリなんだ。ちなみに俺のウリは見えそうで見えないようでいて見えている乳首だ。

杉友:奇遇ですね、私もです。でもこれのウリは、早いうまい安いのファストフード感覚のデジタルサービスですね。「SOCIAL_BOX」は営業を選びません。これまでいろんな営業さんやお得意様から問い合わせがありましたが、全部対応できました。見え方を変えていろいろやれるので、便利なサービスだと思っています。

──2012年の東北六魂祭で使われたらしいな。

杉友:六魂祭会場で自分の写真を撮って、その場で特設サイトにアップすると、会場でシールとなって出力される。プリクラですよね。それを会場に用意された壁面に自分でぺたっと貼って巨大モザイクアート完成、という企画に使っていただきました。

あとは、当日その場に行けないけれど、それでも気持ちを伝えたいという人たちが自分のSNSでサイトにログインすると、自分のSNSアイコンが会場で出力されて、現場のスタッフが代りに貼ってくれる、という仕組みにもなっていました。

 

──ちなみに最初に出てきた「face_in」のウリはなんなんだ。改めて言うが俺のウリは見えそうで見えないようでいて見えている乳首だ。

杉友:奇遇ですね、私もです。でもこのウリは「個人顔認証」ですね。自販機にも顔認証はありますが、あれは性別や大体の年齢が分かるだけ。これはほぼ100%個人を判定できます。

組み合わせる情報次第では、例えばフェイスブックでログインしてもらった上でやれれば、今日誕生日ですよねとか、先週合コン行きましたよね、みたいなことが言えちゃう。

──俺は合コンに呼ばれないからその機能意味無いけどな。ところでジョージ氏は電通グループ内横断のバーチャル組織「_(アンダーバー)」というのをつくったらしいじゃないか。

杉友:そう、クリエーティブディレクターという立ち位置で。そこにプロデューサーという立場の電通コミュニケーション・デザイン・センター森直樹さんと、もう一人電通テックのプロデューサー工藤成さんがいて、基本この3人がコアです。「OFFLINE_ONLINE」「WORLD_YOU」のようにいろんな間に入って「_」でつなげる、そんな組織を目指しています。「_(アンダーバー)」は有機的で案件によって人数も形も変わります。キメゾーさんも入りますか? その場合は、キメゾ_さんにしてもらいますが。

──えぇ? 改名かぁ。考えてもいいが。で、最近の実績は何があるんだ。

杉友:「SOCIAL_MARATHON」™ですね。今年の東京マラソンに採用いただきました。今のランナーは主催者が配布するRFIDチップというものをゼッケンか靴ひもに着けて走ります。

「SOCIAL_MARATHON」™

それを自分のSNSと連携させるサービスをつくったんです。前日までにサイトに自分の名前とゼッケン番号、そしてフェイスブックかツイッターの自分のアカウントを登録。目標タイムを記入して、あとはスマホ持たずに走るだけ。すると、スタート、10km、20km、30km、フィニッシュのそれぞれの地点を通過した瞬間、そのタイムが自動投稿される。アプリをダウンロードせずに、東京マラソンのオフィシャルなものが記念として残せるんです。

──携帯止まってる俺には意味無い機能だけどな。

杉友:その投稿に友達や家族が応援コメントをしますよね、「おめでとう」とか。それを拾って、完走時に「FINISHER’S_REPORT(フィニッシャーズレポート)」に印刷してあげたんです。「完走した!やったぁ!」という直後にそれをプレゼントする、というサービスです。あと、バナナにも印刷しましたね(笑)。「BANANA_TROPHY」という名の下で。

 

──友達のいない俺には意味無い機能だけどな。まあいい、他にアピールしたいものはないのか。

杉友:全面的に「face_in」ですね(笑)。個人の顔認証を使ったサービスはまだいくらでも考えられるんですよ。屋外広告に入れるだけでも違うことができますよね、通り過ぎただけで「○○さん、クーポンですよ」なんてスマホにポンと届いたりとか。面白そうだな、大変そうだけどできたらいいなと思っているのが、「自分の顔を使った支払い」。あと、顔だけで、顔パスというのもやりたいですね。

──俺は顔パスで女性とキスができる男だ。

杉友:いいですね! 広告塔になってくださいよ。顔パスでVIPルームに入れるドアがあってもいいし、支払いのとき「○○さん、いつもありがとう」と言ってくれるサービスがあってもいい。カフェでいつも注文が決まってる人に何もしなくても「ソイラテトールですね」、そして支払いも終わってる、みたいな。

──他に活用方法はないのか。俺の顔を突然イケメンにしたりとかできないのか。

杉友:それは簡単すぎてつまらないです。でも、例えばアイドルのライブで、お客さんが会場に入るときに握手して「来てくれてありがとう」っていうことをやっていたとしても、メンバー全員がその場にいられるわけじゃないですよね。そこでメンバーが映されたデジタルサイネージを用意して、「○○君、また来てくれたの!? 今月100回目だね♥」とか。

固いところだと、ホテルとか高級ファッションブランド。外国の方の顔を瞬時に見分けるのが難しい状況ってあると思うんですけど、そんな上客の富裕層の方が来店した瞬間に「○○さん」みたいに表示されて「○○さん、いつもありがとうございます」と言えるとか。

「face_in」って、広告に寄せたこともできるし、コミュニケーションに特化したソリューションにもできるんです。

──他の会社では、こういうことやってたりしないのか。まねっこだったら承知しないぜ。だいたいジョージ氏、その髪型、俺のマネしてるだろう。

杉友:両方ともNOですね。個人の顔認証という機能自体は各社お持ちですが、それがプロダクトになったり電通が得意とするコミュニケーション領域までいくことはないんです。どうしても、もともと開発・投資されたところ、例えば空港の入国チェックインカウンターに入れるとか、そこから広がっていかない。

──なるほどな。あと俺も超人気キャラクターだから分かるんだけど、肖像権というか、許可の問題はあるよな。

杉友:最近海外グループ会社の問い合わせもかなり多くて。各国で個人情報への感覚はかなり違うんですが、日本においては、本人にとって得になるサービスであれば、許可してもらえるんじゃないかなと思っています。

──電通社内の営業に向けて言いたいことはないか。

杉友:社内の営業さんが気軽に「なんかアイデアないですか」と言ってきてくれるの、大歓迎です。そんな問い合わせ、よくあります(笑)。社内に、うちの会社はこういう世界最先端技術も持ってるんだよ、って知ってもらうのも仕事だと思っています。

──そもそもジョージ氏がデジタルを始めたきっかけはなんなんだ。電通には転職して入社したらしいが、デジタルの力を買われて入ったのか?

杉友:以前の会社では、もともとコピーとCMプランニングだけをやっていました。前はマス広告ばっかりだったんですけど、電通に入って同じことをやりたくないなと思って。
少し脱線していいですか?

──駄目だ。

杉友:あれっ? たしか…キメゾーさんはこの仕事でギャラを…?

──脱線、お願いいたします。

杉友:前の会社と電通の間に4年間プータローの時期があったんです。妻と新婚旅行してました。 帰国する頃にはもはや新婚ではなくなってたんですけど(笑)。
それで旅してる間に、アフリカ人の方に「君、スカイプ知らないの?」と言われたことがあって。当時アフリカで爆発的にスカイプがヒットしてたんですよ。スカイプは僕が旅してる間にローンチされたものだったから「スカイプってなんなんだ!?」って思いました。マサイ人もみんな携帯持ってるし、なんかデジタルすごいことになってんじゃないのって。
それで、電通でデジタルをやっているところがあって面白そうだなと。その後幸い電通と縁あって。
──てことは、デジタルを始めたのがずいぶん遅かったんだな。

杉友:そう、34歳からデジタル始めたんです。遅いですよね。
この業界なり世界で活躍してるクリエーティブの人はみんな若いから、相当化石みたいなもんだと思います(笑)。というか昔からちゃんとやってる人じゃないと化石にならないからぜんぜん出来たての…なんなんだろう(笑)。
プログラミングとかはできません。そっち系の話されても「ふんふん」ってうなずいたりしてる(笑)。でもそういうものに拒否反応をしないで、クリエーティブ要素を足すことでやりようがあると思っています。

──逆にマス広告をやっているクリエーティブのみんなに伝えたいことってあったりするのか?

杉友:マス広告をメインでやってるクリエーティブの人と仕事をもっとしてみたいです。ちょっとデジタルを足すだけで、コミュニケーションは全然変わって見えるし、新しく見えます。いつもと違う角度で人の心に入っていける。ちょっとだけ触れてもらえればいいんです、営業さんだけじゃなくてクリエーティブの人も相談に来てもらいたいですね。大歓迎です。

──ところで半袖がすごく似合うな。休みの日はもっぱら半袖のシャツを買いに行って過ごしているのか?

杉友:すいません、無駄に熱量が多いんです(笑)。いつも半袖。
休みの日は子育てで大変ですよ、楽しいけど。娘と息子でかわいいピークで、今のうちに楽しんどこうということで(笑)。すごい遠くに住んでるんで終電も早くて、会社を21時半には出ないといけません。朝も早いですね。

──なんか、デジタルと対極にいるような生活だな。

杉友:同僚たちは知ってるんですけど、基本デジタル好きじゃないんですよ。スーパーアナログ人間です。こんだけしゃべっといてなんなんだよっていう、ワハハ!!

──そうか…ええっ!? すんごい放り投げだな! ありがとな、今日も楽しかったぜ。