カンヌレポート2014 メディアの人間ですがカンヌに来ています。No.1
なぜオマエがカンヌに?
2014/06/17
こんにちは。昨日までの雨ふりから一転、こちらはカンヌらしい青空になりました。“らしい”とかいいましたがカンヌに来たのは初めてです。
私はMC(メディア・コンテンツ)プランニング局というところで、企業の課題をメディアの力で解決するお手伝いをしています。雑誌の担当が長く、現在も主に出版社の方々とともに、編集部が持っている読者の生活形態や気持ちについての知見を、クライアントのマーケティング課題の解決に生かす仕事をしています。
ここまでの私のバックグラウンドはメディアであり、広告会社でいう“メディアの人間”です。そんな私がカンヌに行くことになった、というときに「なぜオマエがカンヌに?」という問いを受けます。当然の反応ですね。なぜならここはクリエーティブのための祭典カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルなのです。前述の問いはすなわち「メディアの人間が、クリエーティブの祭典であるカンヌライオンズに行く理由があるのか?」です。この当然の問いが、このレポートのテーマかなと思っています。
入社から10年間、一貫してメディア担当として仕事をしてきたわけですが、正直なところつい最近まで、カンヌライオンズ(私の中ではカンヌ広告祭というほうがしっくりくるのですが…)が何月に行われているのかすら知らず、年ごとの受賞作、話題作にさえもほとんど触れずに来てしまいました。意識の問題といわれればそれまでですが、知らなくても通常の業務に差し障ることはなかったし(と思っているだけかもしれませんが)、目を向ける余裕さえなかったのかもしれません。私のようなメディア担当の人間にとっては、カンヌはそれほど縁遠いところでした。
それが今年、縁あって所属局から「カンヌを見て来い!」ということで(そんな命令口調では言われていませんが)その幸運にあずかることになりました。おそらくこのような命を受けた背景には、メディアの人間が見て持ち帰るべきものがここにある、ということだと理解します。それは、「クリエーティブの専門職に限らず、コミュニケーションの領域で企業の課題解決に向かって仕事をしている人間に役立つ何か」です。それがどんなものなのかを見、このレポートで少しでもお届けできたら幸いです。
「カンヌレポート」ということでお題を頂いていますが、今年の受賞作品の傾向は、とか来年受賞を狙うときのポイントは、といった内容にはならないと思いますので、あらかじめそのようなご期待に沿うものでないことをご理解いただけるようお願いする次第です。
これを書いている今は、2日目の途中です。来てみてやはり、集っているのはプランニング、制作に携わる人がほとんどです。ただし出品されている作品を見たり、セミナーを聞いて感じることは、ここには「課題を解決するアイデアをいかに生み出し、実際にどう形にしたか」とその結果であり、そのための手法と事例、組織論が集まっているということです。そういうと、クリエーティブの専門家でなくとも役立つものがあるという気がするのではないでしょうか。
これから数日間、世界各国の優れたアイデアに触れ、そこで見たものを次回のレポートでお伝えします。カンヌは遠い世界の話だと思われるような方々に、少しでも身近に感じられるヒントにしていただけるような内容にできたらと思います。