インサイトメモNo.37
若者のメディア行動の最新動向
~メディア・コミュニケーションでみる
若者まるわかりクラスター分析より~①
2014/07/14
近年、インターネットやスマートフォン(以下、スマホ)の普及に伴い、コミュニケーションが複雑化している。特に若者においては、その現象が顕著に表れており、捉えどころがなくなっている。そんな彼らを捉えるため、今回は電通若者研究部(通称:ワカモン)と共同でクラスターを開発したので紹介したい。
すでにワカモンが、本クラスターのプロフィールを紹介しているので、今回は「メディア・コミュニケーション行動」に焦点を当てて、全3回で紹介したい。
第1回は情報行動(検索&発信)を盛んに行っている3つのクラスターのメディア・コミュニケーション行動について紹介しよう。
まずは、クラスター①「ムードメーカー」。彼らはリアルでのコミュニケーションを重視しており、ネットの情報行動よりはきちんと会って話をしたいタイプ。
●利用するメディアは“即話題に活用できるもの”
●テレビはあくまでもネタ的情報源
●ラジオ好き、radikoも活用
彼らにとってのメディアはあくまで会話のネタ的な情報源にすぎず、あまり積極的な接触は見られない。強いて言えば他のクラスターと比べるとラジオの聴取時間が35分(1日当たり、以下同)と全体平均(16.2分)の2倍以上であるのが特徴だ。その他のメディアに関しては接触時間が少ないクラスターだが、口コミでの情報波及力は全クラスターでもトップクラスで、グループインタビュー(以下、グルイン)では「情報は同僚や友人、恋人に直接口で伝える」といった意見が聞かれた。また、イベント好きで面白いネタとなる情報は足で稼ぎにいくのもこのクラスターの特徴だ。
次に、クラスター⑥「SNSめだちたがり」。彼らは情報発信そのものが好きな「プチキュレーター」。知識欲が強く、他人に個性的に思われたい願望が強いが、自分の意見やコメントはあまり重ねないタイプ。
●ネット接触時間が比較的長く、情報共有サイトをチェック
●気になる情報があればリツイート
●テレビコンテンツとしてはバラエティ好き
ネットにある情報をまとめて発信しているので、パソコンやスマホ、従来型携帯共にネット接触時間が比較的長く、さまざまな分野のまとめサイトを利用する傾向が強い。SNSの利用率、つながっている友人数は共にスコアが高く、特にツイッターやフェイスブックの利用率は平均よりも高い。情報発信はかなりの頻度で行っているが、オンラインでの発信に限られており、口コミなどのオフライン発信は行わない傾向がとても強い。ただそのオンライン発信にもかなりの気を使っており、グルインでは「フェイスブックではそんなに仲良くない人や、知人レベルの人ともつながっているので、自分をさらけ出したくない。『まずかった』というようなことは絶対に書かないし、愚痴も書かない」「相手の気持ちを害さないようなことだけ発信している」という発言が見られた。SNSでの交友関係がとても広がっているので、その中でちょうどよいポジション取りをしている。
最後は、クラスター⑩「自己プロデュースキャラ」。実名で多くの人に知られたい「αブロガー願望」が強い。挑戦意欲・上昇志向が強く、パソコンやスマホからブログを発信している。
●ネット活動はPC中心、状況に応じてモバイルも活用
●他のクラスターと比べてテレビの視聴時間はやや少ない
●雑誌が好きで閲読時間も長い
●定期的に情報サイトや情報誌をチェック
彼らは上記の通り、パソコンやスマホでブログの記事をよく書いていることから、インターネット(パソコン、スマホ、従来型携帯共に)の接触が長くなっている。ソーシャルメディアを多用している他、動画サイト(ユーチューブやニコニコ動画)や掲示板(2ちゃんねるなど)、ECサイトまで、さまざまなサイトを利用している傾向が強い。ツイッターのフォロワー数は平均210人と、全クラスターの中で最も多い。情報発信でも彼らなりの工夫があり、グルインでは「フェイスブックでオススメの商品を続けざまに推奨していると、それに興味のない人はどんどん離れていってしまう。『こういう写真の方がみんな好きだよね』という路線を続けている」という声があり、受け手のことも考えて情報を発信していることが分かった。雑誌の利用頻度も高く、定期的に情報誌をチェックしている傾向がある。ただ他のクラスターと比べるとテレビの視聴時間はやや少ない。
いかがだろうか。今回ご紹介した3クラスターはいずれも自分のやりたいことが明確にあり、接触しているメディアが限定されていることが分かった。「ムードメーカー」はリアルのコミュニケーションを重視しているので、そもそもメディア接触が少なく、「SNSめだちたがり」「自己プロデュースキャラ」はインターネットを使って自己発信しているので、ネットの接触が必然的に多くなる傾向があった。
このように一口に若者といってもメディアの使い方はさまざまであるので、彼らの特徴を理解し、それに合わせた戦略を策定する必要があるだろう。