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デジタルときどきグローバルNo.7

ルーマニアから来たクリエーティブ野郎たち(1)

2013/05/16

ええと、東京に帰ってきちゃった佐々木ですが、みなさま見捨てずにこのコラムに来ていただき、感謝しております。日本にいながらも、なるべくフレッシュなデジタル&グローバル事情をお伝えしたいなと思っていますので、なにとぞよろしくどうぞです!

今回と次回は、Dentsu Americaのニューヨークオフィスで働く若手へのインタビューをお送りしようかなと思います。才能あふれるACD二人組、ラウルとミハイです。二人とも、ルーマニア出身なんです。ACDという肩書は、日本だとあまり聞きませんが、Associate Creative Directorです。副Creative Directorというか、CDの一歩手前。彼らは30歳前後ですが、欧米では、これくらいの年齢でCDになる人が多いんです。ではさっそく!

佐々木:今日は忙しい中ありがとう。さっそくだけど、二人はどうして広告の仕事についたの?

ラウル:15歳くらいから、ストリートアートをやっていたんだ。頼まれては描いて、それを仕事にしてた。その流れで、アートディレクターになろうと思って。べつにアート・スクールとかには行ってないんだよね。

ミハイ:僕は、友達がこの業界にいてね。19歳のころ、広告会社のオフィスに遊びに行ってるうちに、コピーライターとして働くことになったんだ。

佐々木:いきなり面白いね!日本だと、大学に行って、入る会社をよく吟味して、一生懸命就活して入る、という感じなんだけど、ぜんぜん違うよね。ルーマニアはみんなそうなのかな?

ラウル:そもそも、ヤス(現地では佐々木はヤスって呼ばれてました)は、ルーマニアがどのへんにあるか知ってるのかい?

佐々木:えっ、あの、うぐぐ…。

彼がラウル。アートディレクター出身のACD。 個人プロジェクトもいろいろやっています。
彼がラウル。アートディレクター出身のACD。 個人プロジェクトもいろいろやっています。

ラウル:(笑)。日本だと、ドラキュラ伝説とかでしか知られてないかもね。

ミハイ:僕らはルーマニア出身だけど、ドイツにも長くいたんだ。

ラウル:ドイツは、トラディショナルなアートやデザインがたくさんあって。働きながら学ぶにはとてもいい所だったんだ。

佐々木:ルーマニア、ドイツ、そしてアメリカ。グローバルだなあ。とってもうらやましいよ。日本人の若者はなかなかそういうふうには動けないようにも思う。あとで、日本の若い奴らへのアドバイスも欲しいんだけど、先にこの質問。この業界において、デジタルを、どう思う?

ラウル:デジタルなんて、なにも新しいことじゃないよ。僕らの生活の一部。無いと困るけど、その存在について考える必要もない、最も自然なものだよね。広告の企画でも、ふつうに使えばいいと思う。

ミハイ:僕はデジタルが好きだな。デジタルは民主的なメディアだよね。旧来のメディアだけでアイデアを考えるのは窮屈だよね。

こちらがミハイ。コピーライター出身のACD。 なんだか映画俳優的な風格がありますよね。

佐々木:いいね。デジタルは特別なものじゃない。みんなでふつうに使って面白いアイデアを出せばいいよね。日本はまだまだ、トラディショナルとデジタルが分断されているんだよね。


ラウル:日本はテクノロジーが進んでいるのに、分断しているなんて不思議だね。

佐々木:ところでデジタルといえば、以前、二人は面白そうなプロジェクトを発表していたね。

ラウル:Instagram Menuだね。これは、友達のレストランを使って、個人のプロジェクトとして作ってみたものなんだ。

佐々木:シンプルで、ありそうで無かったアイデアで、いいよね。とにかく君たちの機動力がすてきだよ。思いついて、形にして、公開して、ちゃんと広まる。このプロジェクトは日本のオンラインマガジンとかでも紹介されていたんだよ。

ミハイ:それは知らなかった!でも、僕らはもっともっと、betterな仕事をしていきたいと思っているんだ。

…と、インタビュー方式だと1回の記事ではとても終わりそうにないので、次回に続けちゃいます。すみません!
次回は、彼ら二人に、世界に出て働く意味とか、なぜニューヨークに来たのかとか、どうやって最新の情報を集めているかとかを聞き出してしまう予定です。

でもホント、ニューヨークに行って良かった点は、こういう刺激的な野郎どもにたくさん会えた、ということに尽きる気がします。負けてられない。僕もやらなきゃ!