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「元気で、楽しく、くだらない」“ガリガリ君”流コミュニケーション戦略

企業キャラクターをソリューションへ №10

  • 萩原 史雄
  • 陸川 和男
  • 山本 達也

2014/09/10

「元気で、楽しく、くだらない」“ガリガリ君”流コミュニケーション戦略

おなじみの 赤城乳業の“ガリガリ君”は、キャラクタープロモーション専業の会社「ガリガリ君プロダクション」(以下、ガリプロ)をつくってキャラクタービジネスを展開するなど、企業キャラクターとして異彩を放っています。前編に続き、赤城乳業・萩原史雄さん、キャラクター・データバンクの陸川和男さんとの対談から、企業キャラクターコミュニケーションの可能性を探ります。

山本:前編で、2004年を機にガリガリ君をそれまで以上にキャラクター化していこうと意識されたというお話でしたが、その一方で赤城乳業さんサイドではガリガリ君にあまり細かい設定は作り込んでいないとも聞きました。

萩原:はい。キャラクター自体は「元気で、楽しく、くだらない」というポリシーでさまざまな展開を行っているのですが、設定としては小学校低学年の男の子というだけです。こちらでキャラクターの設定を固め過ぎないことで漫画化やゲーム、映画などの既存コンテンツとのコラボの可能性が広がったというのはありますね。

山本:なるほど。他者とのコラボレーションの間口を広げるためにこちらでは設定を固め過ぎず、メディアタイアップ展開の中でキャラクターの世界観を浸透させていく戦略といえるかもしれない。漫画などではガリガリ君の世界観がストーリーとして、はっきりと表現されていますね。また、ガリガリ君といえば、常に何か世の中で話題になるPRネタを通して生活者に近いリアルの場で、その「元気で、楽しく、くだらない」世界観を浸透させている印象があります。そういう中でも、しっかりとキャラクター性が醸成されていっているのかもしれませんね。

ゴールは売り場。商品ありきのキャラクター戦略

萩原:とはいえ、そういうと面白そうなことであれば何でもかんでもやるみたいに思われてしまいがちですが、そこは結構厳しくキャラクターにルールを定めていて、話題性だけでは手を出さない。あくまで「売り場への導線をつくる」という目的にはこだわります。

山本:確かに漫画「ガリガリ君」を拝見しても、商品のシズルがすごく前面に出ていて、子どもがこれを読んだらアイス売り場に走って行きたくなる気持ちがよく分かります(笑)。

萩原:あとは、サブキャラクターは必ず商品(アイス)と連動して登場することとか…。

サブキャラクターが生まれる時は、必ずそのキャラクターが冠された商品ありきなんです。

山本:それも面白いですね! シャリシャリ君とかガリ子ちゃんもそうだったように、まさに商品あってこそのキャラクターコミュニケーションですね。

陸川:企業側が広告販促活動を超え、キャラクターライセンスによるグッズ販売などを事業化する際、その事業化によって何を目指すのか、目的がはっきりしないことが多いと思います。ロイヤリティー(商品化ライセンスを行うことで得る使用許諾料)を稼ぎたいのか? コンテンツビジネスをやりたいのか? それとも広告の補完としてのプロモーションが目的なのか? その点ガリガリ君は、ずっと売り場導線にこだわって育ててきたところに、企業としての一貫したポリシーが感じられます。目的のはっきりしていることが結果にもつながっていますね。

ガリガリ君の今後は?

山本:企業キャラクターを活用、成功へと導く上で、萩原さんご自身これが重要と感じられることって何でしょうか?

萩原:なかなか難しいですが…、やはり目的の明確化に尽きるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、ガリガリ君の場合は、キャラクターを売り込むのではなく、あくまでアイス売り場に人を呼び込むという目的に向けて、商品自体を深く理解している担当者がコツコツやってきたことが成果を生んでいるというのは事実としていえます。

山本:最近何か面白い動きはありますか?

萩原:この8月~9月に、秩父鉄道でガリガリ君のラッピングSLを走らせるんです。赤城乳業の地元・埼玉で子どもたちの夏休みの思い出に残すというブランディングの一環で。

山本:PR効果はもとより、CSR的側面からの活用もされているんですね。今後の展開も含め、萩原さんが今お考えになっていることや感じていることがあればお聞かせください。

萩原:“ガリプロ”ができて8年、最近の盛り上がり方は、ちょっと行き過ぎたかなとは感じています。2010年の品薄、2012年のコーンポタージュ味発売という流れから、ブーム的な動きができてしまった。やはり定番商品の顔としてコツコツと育てていきたいですね。

陸川:キャラクター業界では40年説というのがまことしやかにささやかれていて、40年生き残るとその後はもう一人歩きできるといわれています。そうするとガリガリ君も、そろそろ次のステージに上がっていい時期に来ているのかもしれない。もし今後、事業として本格的にコンテンツ化していく可能性があるのなら、これまでに蓄積したものを発揮しつつ新たにどんな世界観を展開させていくのか…と、私はひそかに楽しみにしています。

山本:確かにその展開次第では、これからの企業キャラクター活用の可能性を広げる試金石にもなり得ますね。私も楽しみです。萩原さん、陸川さん、大変貴重なお話をありがとうございました。