電通スマプラNo.4
これからは「スマートフォン・セントリック」な時代!?
2014/09/04
電通スマプラの浅井です。
電通スマプラではスマートフォンゲームに関する生活者インサイトだけではなく、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスについても知見開発をしています。今回はスマートフォンを中心に新たな潮流についてご紹介していきたいと思います。
1.電通スマプラが注目する「スマート3兄弟」
電通スマプラではスマートフォン、タブレット、パソコンの3つをまとめて「スマート3兄弟」と呼んでいます。
スマートフォンやタブレットの普及が急速に進んだ昨今、多くの人がスマート3兄弟を利用していつでもどこでも情報収集をしたり、ネットショッピングを楽しむことができるようになりました。例えば、電車の中で気になった中吊り広告の商品をその場で検索する。そして電車に乗ったままその商品をついついポチッと購入してしまう。皆さんの中でも移動中や出先のちょっとした空き時間にスマートフォンでネットショッピングをしたことのある方が少なからずいるのではないでしょうか。
電通スマプラでは、スマート3兄弟が生活者の購買に与える影響や、それぞれのデバイス特性について調査分析を行い、知見開発を進めています。その過程で、スマート3兄弟の中でも特にスマートフォンが人々の消費行動に大きな影響を与えていることが見えてきました。
今回はスマート3兄弟の中でもスマートフォンに着目してご紹介します。
2.スマートフォンはメディアでもありチャネルでもある
電通スマプラではスマート3兄弟それぞれの特性について調査を行いました。
調査の中で私たちは若年女性に注目しました。なぜなら若年女性と携帯電話に関するトレンドは密接な関係にあると考えているからです。例えばケータイ小説が若年女性を中心に流行になりましたし、最近では若年女性をターゲットとしたネットフリマアプリの流行などが挙げられます。電通スマプラでは若年女性のスマートフォンとの向き合い方が今後の潮流になると予測して、今回調査の分析を行いました。
するとスマートフォンは若い女性を中心に、スマート3兄弟の中でも「新しいコンテンツと出合えるデバイス」と捉えられていることが分かりました(図1)。つまりスマートフォンは、今まで知らなかったモノや情報に出合うことができる「きっかけメディア」であるようです。
図1
次に、スマートフォンはタブレットやパソコンに比べて「商品の見極めをじっくりとはしないデバイス」であることが分かりました(図2)。またトレンドに敏感な10代、20代の若年女性にとってスマートフォンは「つい衝動買いしてしまうデバイス」であることも見えてきました(図3)。
図2
図3
私もネットショッピングをよくしますが、パソコンでネットショッピングする時には商品情報をしっかり調べたり、一番安いサイトを探したりしています。でもスマートフォンの場合だと、あまり比較せずに勢いでポチッと購入してしまったことが多々あります(後でもっと安いものを見つけたり、サイズが合わなかったりして後悔したことは内緒です…)。
その理由としては、外出先や移動時間などのちょっとしたすき間時間で利用できるという時間的な要因に加え、パソコンのEnterキーよりもスマートフォンの画面をタップする方が気軽に感じられるという心理的な要因が働いているのではないかと考えます。
冷静さを失ってついつい衝動買いしてしまうからでしょうか、実は1カ月当たりの電子書籍やアプリなどのデジタルコンテンツの購入金額を見てみると、スマートフォンを介した購買の方がパソコンを介してよりも使っている金額が多いということも判明しました(図4)。
図4
こうしてみるとスマートフォンは今の世の中で一つの「購買チャネル」としてかなり機能しているといえます。購買チャネルとしてのスマートフォンは、近所にたくさんあるコンビニエンスストアよりも便利かもしれません。なんせいつでもどこでも、自分で足を運ばなくても購入することができるのですから。
メディアとして、チャネルとして、スマートフォンは私たちの購買行動に多大な影響を与えています。
事実、デバイス別のインターネットショッピング利用率を見てみると、パソコンからスマートフォンへのシフトが発生しているのです(図5)。今後インターネットショッピングにおけるスマートフォンへのシフトはどの世代でも進んでいくでしょう。
図5
3.これからはスマートフォンがあらゆる行動の“入り口”に
私ももれなくその一人ではあるのですが、私たちの多くは四六時中いつでもどこにいてもスマートフォンを利用する生活をしています。仕事に疲れた時、ランチを待っている時、友人との会話のネタがなくなった時、あなたはスマートフォンを取り出していたりしませんか? もはやスマートフォンは私たちの毎日の暮らしになくてはならない生活インフラとなっています。
私たちの暮らしの中で、情報収集メディアとしても購買チャネルとしても活躍するスマートフォン。今やスマートフォンは私たちのあらゆる行動の起点、つまり“入り口”となっていると言っても過言ではないかもしれません。
電通スマプラではこのような、スマートフォンがあらゆる行動の“入り口”になっている事象を「スマートフォン・セントリック」と呼んで、今後世の中の潮流として広がっていくだろうと注目しています。
スマートフォンの更なる普及によって、「スマートフォン・セントリック」なライフスタイルはますます一般的なものとなっていくことでしょう。
直感的、衝動的な情報収集行動や購買行動を生み出すスマートフォンによって、生活者の消費行動はより衝動的になっていくのかもしれません。今までの商品の存在に気付き、興味を持って調べてから購入するといった行動パターンから、商品に気付いてすぐ欲しいと思ったら即座に購入するといった、より刹那的かつ欲求に忠実な行動になっていくでしょう。
電通スマプラでは今後、スマートデバイスによる生活者の購買行動について更なる知見開発を進めていく予定です。
このコラムを読んでいただいたあなたにも、きっと「スマートフォン・セントリック」な生活が到来する日がやってくるのではないでしょうか。
<実施調査について>
「電通スマプラ スマート3兄弟調査」
調査方法:PCインターネット調査
実施時期:2014年5月28日(水)〜6月2日(月)
対象者:全国15歳〜59歳男女
スクリーニング調査 10,000サンプル
本調査 1,500サンプル
※本調査は以下の2層に分けて回答を得た
1)スマートフォンとタブレットとパソコンいずれも利用者
500サンプル
2)スマートフォンとパソコン利用者(タブレット非利用)
1,000サンプル