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Jリーグ村井チェアマン アジア戦略を加速 

2014/10/30

    「東南アジア各国との選手・指導者の交流を深め、ミャンマーなど新興国を含む地域のサッカーを盛り上げたい」。Jリーグの村井満チェアマンが、アジアの経済情報を配信するNNAに今後のアジア戦略について語った。

    バンコクで取材に応じ、アジア戦略について語る村井チェアマン(NNA撮影)
    バンコクで取材に応じ、アジア戦略について語る村井チェアマン(NNA撮影)

    Jリーグは2012年にアジア戦略室を設置し、タイを手始めにベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシアの6カ国のリーグと提携。クラブ間の連携を後押しするとともに、日本の経験やノウハウを提供し、アジアサッカーの底上げに力を入れてきた。

    10月3日にはタイの首都バンコクで海外初のセミナーも開き、リーグ運営や八百長対策に関する具体的な情報を共有し、提携関係を一段と深めた。同セミナーにはタイ・ プレミアリーグ(TPL)および下部ディビジョン1の計38チームの経営陣が参加。村井チェアマンは、「Jリーグが持つ知見やノウハウを包括的に伝える場は、これまでなかった」とセミナーの重要性を強調。東南アジア各国でも今後、同様のセミナーを実施していく方針を示した。

    アジアに還元できる経営ノウハウとして、村井チェアマンは「日本はクラブライセンス制度を整えている。(各クラブに)恒常的な赤字を認めず、3期連続赤字はライセンスを発給しない、債務超過は資格を失うなど、健全経営を徹底してきた」と説明。「入場数を確保するためのスタジアム整備など基盤を整えるから、行政もスポンサー企業も投資できる」と付け加えた。

    先のFIFAワールドカップではアジア4カ国が1次リーグで敗退したことを踏まえ、村井チェアマンは、日本代表が勝つために各国リーグを繁栄させてアジア予選のレベルや裾野を強くすることが欠かせないと指摘。「AFCチャンピオンズリーグなどでアジア各国が競い合うのも極めて重要」と強調した。

    ■親善試合など交流が重要

    タイでは現在、約60人の日本人選手がおり、若年層の交流も活発化している。村井チェアマンは「子どもの世代からアジアと親善試合などで交流することで、さまざまなコンディションで戦えるタフなメンタリティーを育て、そうした人がJリーグで活躍する循環をつくりたい」と話す。

    アジアで活躍する日本人の監督やコーチ、フロントも増えている。TPLのバンコク・グラス傘下のランシットで監督を務める丸山良明氏、ベトナム代表監督に就任した三浦俊也氏を例に、「言語、文化、生活習慣が違う環境で選手を指導することは、日本の指導者を鍛える上で有効。アジアに身体能力やポテンシャルのある選手はたくさんいる。日本の指導者がアジアに出れば、指導者自身の能力向上とともに、アジアの若く優秀な選手を発掘できる」と期待している。

    ■ビジネスチャンスも拡大

    スポンサーや放送権といったビジネス面でも、海外展開が活発化しつつある。横浜F・マリノスが海外提携クラブとスポンサーなどの相互ビジネスマッチング、セレッソ大阪がヤンマーと組んで農村部で行うスクール事業などを展開。「現在は実験を繰り返している段階で、(J1~3の)51クラブにそれぞれの提携の姿があるだろう」と語った。

    Jリーグ放送はミャンマーなどにも広がっており、「自国でJリーグ放送を見て興味を持ち、日本でサッカー観戦に訪れる人も増えている」(村井氏)。日本政府や自治体が外国人観光客の誘致を強化する中、アジアからは昨年ベトナムのレ・コン・ビン選手がコンサドーレ札幌に(今年1月に契約終了)、現在はインドネシアのイルファン選手がヴァンフォーレ甲府に加入し、地元をにぎわせた。


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