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電通報ビジネスにもっとアイデアを。

デジタルときどきグローバルNo.4

土ぼこりの向こうに、インドのデジタルが見えた。

2013/03/14

クルマの男は何も言わず、身振りで後部座席に乗るよう僕に命じた。他に選択肢はなさそうだ。どこに連れて行かれるのか。クルマはどんどんニューデリーの中心部から離れていく。ダッシュボードのガネーシャ像がこっちを見ている。男にこちらの不安を悟られないよう、僕はそっと携帯で地図を調べる。車窓から見えるのは、日本の昔の団地みたいな、低層の建物だけだ。

人っ気のない、土ぼこりにまみれた雑居ビルの前でクルマは止まった。ここで降りて2階に上がれという。ビルは薄暗く、エレベーターは朽ちて動かず、ドアが半開きのままだった。階段で上がると、そこは知らない事務所だった。男たちがギロリとにらむ。やはりここは目的地ではない。僕はこのままどこかに売られてしまうのか。

これがその、DIGの拠点(のひとつ)があるビル…。 ちょっと入るの怖かったです。
これがその、DIGの拠点(のひとつ)があるビル…。 ちょっと入るの怖かったです。
 

すると上の階から弊社のカモシタくんがスタスタと降りてきた。やあやあよくいらっしゃいましたね、と。やはり、ここが電通インディア・グループ(DIG)の事務所なのか。まじっすか。もうちょっとそれっぽいオフィスにしてくれないと、変な汗出るじゃないですか。運転手さん、2階じゃなくて4階じゃないですか。今まで見た弊社海外支社のなかでいちばんすごい。さすがインド。つまらない前置きで3段落も使っちゃいましたが、そう、佐々木はインドに来てみました。こちらのデジタルチームといろいろ話をして、今後のコラボを作るためです。

インドでは、テレビの力が強いです。インターネット普及率はたったの11%。Facebookユーザーも人口比で5%。でもインドの人口は「12億人」ですから、すなわちネットユーザーは1.3億人、Facebookユーザー数はアジアで一番多い6100万人。そう、ものすごくでかくて、可能性がある。なにかスイッチが入れば、きっと一気にデジタルの嵐がくる。英語ベースだから、世界に追いつくのも、きっと速い。

若いスタッフたちは、その嵐の到来に気づいていて、変化への準備を始めていました。いろんな事例の話をしたり、アプリのアイデアを交換しあったりしながら、この先、インドがアジアの先端に来る予感を、お昼のチキンカレーのようにピリピリと感じた滞在でした。ちょっと怖かったけど。

そしてもう一カ所、デリーからムンバイに移動してお会いしたのが、Taproot India社のPaddyさん。この会社は昨年から弊社グループの一員になってくれました。ここの去年の代表作といえば、Mumbai Mirror新聞のこのTVCM。しびれます。

Taprootは、PaddyさんとAggieさんが作った会社ですが、二人はインドのスター・クリエーターです。ここ数年のインドの名作は、だいたい彼らの仕業。この会社は若くてヒエラルキーがなく、ハングリーで優秀な若者たちが、わいわい競いあいつつ、スター二人と直接やりとりしながら企画をつくっているのだそうです。むむ、なんだかうらやましい環境。若い人たちが、のびのびやれる仕事場っていいですよね。

Paddyさんとは、これからやってくるデジタルのマジックを一緒に起こそうぜい、と意気投合して、近い再会を約束してきました。世界は遠く果てしないけど、自分ももっとがんばらなきゃ、と感じたインド滞在でした。

TaprootのPaddyさん。インドで今一番熱いエージェンシー。 弊社と違って、すてきな一戸建てのオフィスでした!
TaprootのPaddyさん。インドで今一番熱いエージェンシー。 弊社と違って、すてきな一戸建てのオフィスでした!