スパイクスアジア2013 現地リポート 豪の鉄道事故防止キャンペーン、7冠
2013/10/18
アジア最大級の広告フェスティバル「Spikes Asia Festival of Creativity」(スパイクスアジア)が9月15~17日にシンガポールで開催された。アジア地域のクリエーティビティーを顕彰した他、会場ではエージェンシーやデジタル系企業を中心に30社以上がセミナーを開くなど、アイデアの交換と人的交流が活発に行われた。
電通グループは5作品で6個のゴールドを獲得
スパイクスアジアは、年々拡大の一途。今年は28カ国・地域から1800人余りが参加し、広告賞16部門には20カ国・地域から4832作品がエントリー。最も応募数が多かったのはオーストラリアの710作品で、これに中国の679作品、日本の622作品が続いた。
カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルを席巻した、豪メルボルンのメトロ・トレインズ「Dumb Ways to Die」(まぬけな死に方)がフィルム、ブランデッドコンテンツ&エンターテインメントなどでグランプリ7冠を達成した。ほのぼのとした歌に乗せて、愛らしいキャラクターが次々に遂げるまぬけな死に方を描き、鉄道事故防止を訴求。事故は2割減と実質面でも成果を挙げた。
メトロ・トレインズ「Dumb Ways to Die」
フィリピンの通信キャリア、スマートコミュニケーションズの「TXTBKS(テキストブックス)」キャンペーンはモバイル、ダイレクトの2冠。同国では、子どもたちの背骨が変形するといわれるほど重たい教科書が社会問題化。同キャンペーンは、中古の携帯電話をデジタル教科書として利用する運動を提案。高価なタブレットに手が届かない子どもたちに、教科書データを入れたSIMカードを配布した。かばんの重さが半分になり出席率が95%に向上、9割の生徒の成績がアップするなど、アイデアを通じて社会に貢献した。
セミナー、フォーラムも盛んに
3日間の会期中、広告賞授与式の他、セミナー、フォーラム、ワークショップや交流パーティーが数多く催された。電通は「From Solution to Innovation」と題するセミナーを主催。マーケティング・デザイン・センターの山本浩一シニア・プランニング・ディレクターが、クライアントへのクリエーティブソリューションから、より創造的なイノベーションの提案へとシフトする、エージェンシーの役割について述べた。また、講師と聴衆が意見を交わすフォーラムでは、電通イージス・ネットワーク傘下アイソバーのグラハム・ケリー氏がソーシャルメディアのクリエーティビティーについて講義した。