シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.19
増やせ!新聞ファン(5)
なんとビーチをプロデュース~「MAGIC BEACH」~
2014/11/21
~新聞各社は今、こんなにユニークなプロジェクトを展開している~
今、新聞メディアのコミュニケーション領域は紙面の枠組みを超え、自由な発想で広がりを見せています。全く新しいターゲットへ向けての取り組みや、今までにない斬新な手法での読者とのコミュニケーション活動が盛んに展開されているのです。本コラム「シンブン!」では、そんな新聞各社の新しい動きの中から、中央5紙のユニークな事例を各社一つずつピックアップし、担当者に話を聞きました。
増やせ!新聞ファン(5)
なんとビーチをプロデュース
〜産経新聞社「MAGIC BEACH」〜
東京・豊洲。ゆりかもめ新豊洲駅の間近に今年6月、忽然(こつぜん)と出現した真っ白い砂のビーチ。
総面積約1万平方メートルの敷地内に、イベントスペースやショップ、バーベキュー場なども併設されたここ「MAGIC BEACH」を運営プロデュースするのは、なんと産経新聞社。「いわば、紙ではない新媒体の“創刊”ですよ」と語るのは、同社プロジェクト推進本部・植野伸治氏と平野孝冶氏、この事業の仕掛け人だ。紙やインターネットを離れた全く新たな収益部門をつくる、との大命題の下での幅広い検討の結果、2020年の東京五輪も視野に入れつつ、豊洲での新規事業をスタートした。
この事業の開発に当たっては、芝浦にあった同社のかつての印刷工場を商業施設「TABLOID(タブロイド)」にリノベーションした際のノウハウが生かされている。例えば、MAGIC BEACH現地にも、スタイリッシュに仕上げられたホームページにも「産経新聞社」の名前は一切ない。「TABLOIDの時と同様に、クリエーター集団RECREATIONSに今回もプロデュースと共同運営をお願いしています。新聞社はあえて前面に出ないことで、各種のメディアで実に頻繁に取り上げてもらっています。これも過去に学んだノウハウです」と両氏。
イベントスペースでは、オープン以来、既にアイドルコンサート、サッカーFIFAワールドカップのパブリックビューイング、車の試乗会、主婦雑誌の読者イベントなど、実に多様な催しが開催され、今後も予定が組まれている。こ れらはこの「紙ではない新媒体」のコンテンツに当たるものだ。「キーワードは、リアルな場の提供。普段あまり新聞に接しない方々がここでは新聞を手にする 仕掛けもつくっていきたい。また、全く新規の広告主との関係づくりや社内の有機的な連携を推進するツールにもなります」と両氏はさまざまな効果をもくろむ。
このMAGIC BEACHは、ひとまずは2016年10月まで展開予定。「この事業でまた知見や人脈を広げて、次の取り組みに生かしますよ」。仕掛け人の視線は未来へと向けられている。