インサイトメモNo.42
ネット動画の視聴傾向レポート
~いつ、どこで、誰が、何を、どのくらい?
2014/12/26
2014年は、ネット動画制作者がメディアで取り上げられ広く話題になったり、民放キー局が番組のネット配信を活発化させていくなど、業界筋では「ネット動画元年」と言われた。さらに、デバイスや通信環境などの進化により、これまで以上にネット動画が一般的になってきたように思う。そこで、全国の男女15~79歳を対象に「ネット動画の認知経路」などを調査したところ、おおよそのネット動画視聴環境が分かるデータ結果が出た。
※ただし本調査の対象は、普段からパソコン経由で調査会社のパネルに登録している「ネットアクティブ層」についての分析になる。
ネット動画は思ったよりもよく見られている。
ネット動画視聴は、老若男女問わず、もはやフツー?
今回の調査回答者の86.0%が少なくとも月1回はネット動画を視聴していることから、やはりネット動画は広い年代で一般的になってきていると考えられる。中でも10代の男性は、47.4%が「ヘビー視聴者=ほぼ毎日の視聴」となっている。60代以上のシニアのおよそ5人に1人が「ほぼ毎日見る」と回答している点も、非常におもしろい結果であった。
<ネット動画の視聴頻度>
男女ともに10代・20代は、1日あたり1時間以上視聴!
ネット動画視聴行為者ベース(少なくとも月1回視聴した人。以下、特記がない限り同様)で、10代は、1日あたり平均75分以上、20代は平均60分以上をネット動画視聴に費やすと回答している。年齢が上がるにつれてその視聴時間は減っていくが、ネット動画はもはや特別な存在ではなくなりつつあるのではなかろうか。
<ネット動画の視聴ボリューム>
家で、ひとりで、くつろいで、パソコンで。
8割がパソコンで。されど若者はやっぱりスマホ。
パソコン経由の調査という特異性があるものの、「ネット動画はどのデバイスで見ますか?」という問いかけに、「パソコン」と答えた人は、全体でなんと8割近くにのぼった(ただし、複数選択)。とはいえ、男女ともに若年層は相当数スマホで見ており、特に女性の10代・20代は、スマホ視聴がパソコン視聴を上回る結果となった(下図青丸)。
自宅で、ひとりで、くつろいで見る人が多い。
ネット動画は、圧倒的に自宅で、ひとりで見るものという結果が出た。また、ゆったりとくつろいで、寝る前などにリラックスした状況で見るケースが多い。図表にはないが、女性では、お風呂でゆったりと見ると回答している人もいた。ただし、若い女性は友人や家族などと一緒に視聴しているケースも多く(下図赤丸)、ネット動画がコミュニケーションツールのひとつとして活用されている様子もうかがえる。
<ネット動画の視聴状況>
そのネット動画、何から知ったの? 何を見てるの?
「自分で検索」「ネット記事」「関連動画」が入り口。
約半数の人が「自分で検索」。続いて「ネット記事」。さらにネット動画を見ている時に出てくる「関連動画」。 これらの結果は、検索のきっかけとなりうるキーワードを伝える他メディアの役割の重要性を示唆している。特定の動画視聴を促したい場合は、その動画が紹介されているネット記事や関連動画への動線設計や、特に若年層がターゲットの場合はSNSの活用も有効になると考えられる。
よく見られるのは「投稿動画」「音楽PV」「テレビ番組」。
男性は圧倒的に投稿動画を見ている人が多いが、女性は比較的音楽プロモーションビデオが多い。 あまり年代差が見られないテレビ番組は、おおむね4人に1人がネット動画で視聴している。
<ネット動画の認知経路と視聴ジャンル>
視聴も口コミも投稿も積極的なのは若者。
動画視聴後に口コミしたくなるのは、若年層女性。
ネット動画の視聴後に、人に伝えたくなるのは女性の方が多い(下図赤丸)。おもしろいと思ったネット動画についての質問に回答してくれた人ベースで男性と比較してみると、10代~60代の女性で「会話の話題にした」が多いとわかる(下図青丸)。特に若年層の女性でスコアが高い点も注目すべきところではないだろうか。
<ネット動画の視聴後の行動、推奨意向、投稿などの経験>
さらに、若者は、「撮影・編集・投稿」経験あり!?
結果的に、多くの人はネット動画を撮影・編集したことも、投稿したこともないという人たちだった。しかし、ここでも10代の男女は、そのいずれかをしたことがある人でくくってみると、およそ3人に1人は撮影・編集・投稿の経験があり、活動的であることが想像できる(上図緑丸)。
若者は、最後まで見てくれる!
全体ベースで、10代の男女は40%以上の人が、ネット動画を最後まで見るようだ。年齢が上がるにつれ、飽きると途中で見るのをやめてしまうなど、チラ見が多くなるようである。
<ネット動画の視聴維持>
さあ! 皆さんもレッツ動画!
ネット動画に必要なもの。
→サクサク見られる通信環境
速度が速いだけでなく、制限もない
→大きい画面&ハイレゾイヤホンなど
画像もよく、音もいい
→心静かに鑑賞できるよう、ひとりの時間も増やす