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ICT×教育No.7

デジタル教育の未来とは?

2015/05/11

最近「政府が2020年までに小中高校生に対し情報端末を配布する」というニュースを、新聞やテレビで見かけて、記憶に残っているという方も多いのではなないでしょうか。その他、教育ICT標準化策定を目的とした企業や団体が連携する「ICT CONNECT 21~みらいのまなび共創会議~」が設立されたり、さまざまなワーキンググループが立ち上がったりと、今、全国規模でICT教育への関心が高まりを見せています。

今後、ICT教育はどうなっていくのか、私たち電通国際情報サービス(ISID)が開発した教育プラットフォーム「RICS(Ritsumeikan Intelligent Cyber Space)」はどのように進化していくのか…。連載最終回の今回は、「教育とICTの未来」についてお話します。

学校用教育システムRICSは、どんな風に進化する?

RICSは、ISIDと立命館守山中学高等学校が共同で開発した「学習者の進捗や状況に応じた学習(適応学習)を行うためのシステム」です。前回のコラムでご報告した通り、運用開始から8ヶ月が経過して、徐々にその効果が見えるようになってきました。

現在、よりよいシステムに磨き上げるべく、改修作業を進めています。もっとも大きな変更点は、「学習マップ」が追加されるところ。RICSを実際に使っている先生方から「学習のゴールが見えにくい」「どこまでやればいいのかが分かりにくい」という指摘がありました。それを受けて、単元と単元の関係性、学びの全体像が分かるような一覧機能の付加、一人ひとりの生徒に対し「この先、どういった方向で、どのぐらいの範囲の学習をすればいいのか」といったナビゲーション情報の提示、生徒たちが楽しく学習できるポイント制のような仕組みなどについて、UIや実装方法などを学校側と話し合いながら取り入れていく予定です。個々の学びを細やかにサポートし、しっかりモチベーションを高められる、そんなシステムにブラッシュアップしていきたいと考えています。

先日、RICS推進のために奔走してくれているプロジェクトメンバーたちが、「先生方のRICSへの意識が、どんどん高まっていると感じている」と話していました。今後も、使い続けていただいたからこそ得られるリアルなフィードバックやデータを生かし、先生方と二人三脚で、RICSの可能性を追求していきたいと考えています。

たった4年で、タブレットが当たり前に!

ISIDのオープンイノベーション研究所(イノラボ)で教育ラボを立ち上げてから、丸4年が経過しました。当時は、教育にタブレットを活用するという発想は一般的ではありませんでしたが、その後、先進的な私立学校がICTによる教育改革に成功したことで、ずいぶんと状況が変わってきたように思います。大手企業が動き出し、政府も動き出し…。今、日本全体がICT教育の推進に向かって、本気で歩み出しているなと感じています。

同時に、課題も明確になってきました。教材の権利は誰が持ち、どのように管理するのか。運用に必要な設備はどうやって整えるのか。膨大な費用はどこから捻出するべきなのか。数え上げたらキリがないほど、多くの課題が山積している状態です。ですが、「これが課題なんだ」と認識できるようになったこと、解決に向けて努力しようという組織が現れ始めたことは、大きな進歩と言っていいのではないでしょうか。

課題があるから成長がある。ICT教育は、これからますます力強く、そして着実に発展していくことでしょう。数年後には教育の在り方を激変させていると確信しています。

ICT教育が、社会にしっかり根付くように

ICT教育が社会に根付くには、早急なICT教育市場の確立が必要です。そのためには、学校、塾、出版社をはじめとする、いろいろな教育関係団体が連携しなければなりません。

ICT技術は、すさまじい勢いで日々刻々と進化しています。教育を取り巻く環境も、数年後には大きく変わっていることでしょう。5年後、10年後を予測するのが難しい世界ですが、だからこそ、よりスピード感を持って実証実験を行いデータを積み上げ、さらに実践型プロジェクトを通じてPDCAをまわしていきたいと思っています。

これからも日本の教育現場でのICT活用発展に向け、異業種の方々とコラボレーションしながら、時代の変化に対応する真のICT教育を追究し続けてまいります。