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【田村大 × 白土謙二】 「広告会社からのイノベーションって?」前編

Dentsu Design Talk №1

  • 田村 大
  • 白土 謙二

2013/10/25

【田村大 × 白土謙二】
「広告会社からのイノベーションって?」前編

2005年よりスタートし、今年100回を迎えたDentsu Design Talk 。過去のトークセッションから厳選した内容を、順次1テーマを前・後編の2回に分けてダイジェストで紹介していきます。

(企画プロデュース:電通人事局・金原亜紀  記事編集:菅付事務所  構成協力:小林英治)

 

<第1回 前編>

初回に紹介するのは、「広告会社からのイノベーションって?」をテーマに行われた第79回(2012年3月21日実施)。ゲストスピーカーに、博報堂イノベーションラボ、東京大学i.schoolディレクターの田村大氏を招き、イノベーションから考える広告会社の可能性について、白土謙二執行役員が聞き手となってトークを繰り広げた。※両氏とも肩書きは当時のもの。

田村大氏
田村大氏
白土謙二氏
白土謙二氏

まず初めに、白土氏がこれまでの広告業界の変遷を俯瞰しながら、今なぜ広告会社にイノベーションが求められるのか、1980年代前半までは宣伝部=広告力の時代、80年代後半は商品企画部=商品力の時代、90年代からは事業部=総合営業力が求められたIMC(インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション)の時代、90年代後半はブランド・マネジメントの時代、2000年代以降は経営企画・戦略広報・社会環境力の時代というように、時代が進むにつれて広告力以外にも求められる領域が徐々に拡大してきたことを再確認した。そして自身の経験も踏まえて、現在では縦割りを超えていかにプロフェッショナルを目指すかが求められていると述べた。続いて、「マーケティング」と「アイデア」のそれぞれの言葉の意味について、前者が「顧客の創造、顧客視点での事業活動の全てである」(ドラッカー)、後者が「暗黙知と形式知を行ったり来たりさせるプロセスではなく、実践知が求められるクリエイティブなプロセスである」(野中郁次郎)との定義を紹介。そして、本トークのテーマである「イノベーション」とは何を意味するのかを、田村氏に問いかけた。

田村氏は、技術革新そのものがイノベーションであった20世紀と異なり、「現代のイノベーションは、われわれの知覚や行動、価値観、習慣に変化をもたらすもの」と定義した。代表的なものとして挙げたのがApple社のiPod。2001年に登場したとき、使われている個々の技術に新しいものはなかったが、人々の音楽の聴き方、生活スタイルを変化させたことに大きな革新性があった。「自分たちの生活を豊かにする、今までに存在しないものをどのように思いつくのか?」 。田村氏はこのような現代的イノベーションを創り出すため、近年は人類学の技法であるエスノグラフィーをベースにした研究と人材育成を行っている。

田村氏が2009年よりディレクターを務めるi.schoolの教育プログラムには2つの特徴がある。まず1つは、全てのプログラムに「1.理解する ⒉創造する 3.実現する」の3つのステップが組み込まれていること。プログラムによってその比重は異なるが、VTRで紹介された「ゲームの未来」をテーマにした10日間のワークショップでは、「1.理解する」に重点を置いて、最後の3日を除く7日間はすべてリサーチに費やした。往々にして既存のデザインスクールは「⒉創造する」から始まり、リサーチなどはカリキュラムには含まれないことが多いが、i.schoolではリサーチも同じく重視している。そして、もうひとつの特徴は、プログラムをあえて大学の「外」に置いていること。提携している最先端の企業やデザインファーム、大学は国内外に広がり、なおかつ教育プログラムを100%外部資金で運営している。スポンサー企業の社員の方々も学生と一緒にワークショップに参加し、効果を上げているという。

こうした教育のなかで、田村氏がアイデアとイノベーションの関係について気付いたことがある。それは「アイデア自体が良ければイノベーションになるのか?」という問題だ。

後編に続く】