中国発★韓国化粧品ブランド、韓流ブームに乗り急成長
2015/06/10
根強い韓流ブームを追い風に、韓国ブランドの化粧品が中国市場でシェアを大きく伸ばしている。ドラマや映画を利用した巧みな広告戦略や、幅広い世代に対応したブランド展開が若者心理をつかんだ形だ。アジアの経済情報を配信するNNAが伝えた。
ポータルサイトの「中国網」によると、今年第1四半期に中国が輸入した海外ブランドの化粧品のうち韓国は19.1%を占め、フランス(33.6%)に次ぐ2位の輸入相手国となった。2014年の第4位から、日本と米国を抜いて一気に2位に躍り出た。
成長要因の一つは、消費の中心となる「80後(バーリンホウ)」や「90後(ジューリンホウ)」と呼ばれる1980~90年代生まれの若者の間で巻き起こっている韓流ブームを利用した巧みな広告戦略だ。
ドラマや映画などの動画配信サービスに対して規制の緩い中国では、タレント起用による化粧品の販売押し上げ効果は高い。例えば、韓国の人気女優チョン・ジヒョンがヒロインを務めるドラマ「星から来たあなた」に登場したアモーレパシフィック傘下「ハンユル」の保湿クリームは、ドラマ放送後に1カ月当たりの売上高が従来の5倍以上に跳ね上がった。韓国化粧品を頻繁に購入するという、日系企業で働く20代前半の中国人女性は、「動画配信サイト大手の優酷土豆などは韓国ドラマが豊富で、毎回チェックしている」という大の韓国ドラマ好き。彼女は「中国で顔が知られたタレントを宣伝に使っているためか、韓国化粧品は目に留まりやすい」と話す。
前出のアモーレパシフィックは韓国最大の化粧品メーカーで、14年の中国での売上高は前年比44%増の4673億ウォン(約520億円)に達した。直近10年の平均成長率は実に47%と、急速にシェアを拡大させている。漢方を使った高級ライン「ソルファス」と若年層向けの「ラネージュ」はデパート、低価格ラインの「イニスフリー」と「エチュードハウス」はショッピングセンターを中心とする商業施設、「呂」は香港系ドラッグストア「屈臣氏(ワトソンズ)」でそれぞれ販売。女性が利用するチャネルのそれぞれの特徴に合うブランドを投入することで、幅広い層の需要を取り込んでいる。
ニュースサイトの東方網によると、中国人女性の化粧品の平均消費額は1回の購入につきわずか20~30元(約400~600円)で、世界平均の35~70ドル(約4300~8500円)を大きく下回る水準にとどまっている。しかし今後は、化粧品を使用する年齢層の若年化や、アンチエイジング需要の拡大に伴った化粧品市場の多様化により、使用人口は拡大する見込み。化粧品メーカーにとっては、潜在需要をいかに掘り起こすかが拡販の鍵になる。