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プロモーションの未来形「Brand-new way」
~まったく新しい方法で、ブランド価値と売り上げに貢献する~

2015/06/23

デジタルテクノロジーの革新が急激に進み、SNSなどを起点にした新しいマーケティング、ビッグデータを活用した精度と実効性の高いマーケティングが可能になってきた。今、企業が選択できるマーケティングやプロモーションの可能性はどこまで広がっているのか?面白法人カヤックの柳澤大輔氏と、野村総合研究所の鈴木良介氏に、電通プロモーション・デザイン局長の山同真氏が、ブランド価値や売り上げに貢献するプロモーションの新手法について聞いた。

 

“成果にコミット”するために

山同:電通は今、より一層“成果にコミットしていく”ことを目指し、プロモーション改革に取り組んでいます。“成果にコミット”するためにお二人が心掛けていることや、試行しているアプローチを教えてください。

柳澤:私が代表を務める面白法人カヤックはウェブコンテンツやアプリ制作を行う会社で、面白いアウトプットを生み出すことに強みがあります。
例えとして「鎌倉今昔写真」というアプリの話をしましょう。アイデアとしては、よくある昔と今の写真を見比べるというものです。ただ面白いのは、高校生とお年寄りを世代交流させる仕掛けが入っています。おじいちゃんやおばあちゃんに声を掛けて、古いアルバムを地元の高校生と一緒に見るイベントを開くんですね。で、高校生とお年寄りでペアになってもらって、写真に写っている所まで一緒に行ってもらい、当時のエピソードを聞きながら、今の様子を撮って投稿してもらう。世代交流するところに価値があり、満足度が高いイベントです。
アプリの世界は配布コストが掛からないので多くの人にリーチできるように思われますが、アプリをたくさん作ってきたわれわれは、ユーザーにダウンロードをしてもらうのがいかに大変か骨身に染みている。
であれば、いっそアプリを通してリアルと連動することで、参加者の満足度の深さを追求した方がよい。参加した人はまた参加したいと言ってくれる。そうやって人が動くことは、最も大きな成果と思っています。


「気が利く」と「気持ち悪い」の境界

鈴木:ビッグデータのビジネス活用でも同様です。膨大なデータを集め、分析する目的が「見える化」止まりではなりません。お客さまが「振る舞いを変えること」に貢献しなければなりません。これは簡単なことではない。
例えば、マーケティングでは競合商品を使っているユーザーに、自社の商品を購買するよう振る舞いを変えさせたいですよね。でもやり過ぎると、気持ち悪くなってしまう。「気が利く」と「気持ち悪い」の境界は不明瞭だからです。それを説明するときのフィクションとして、こんな話をするんです。
25歳の働いている女性が、ある日の午前2時にトイレに起きたとき電球が切れているとします。明日買わなきゃと思ってメモをリビングに残しておこうとすると、テーブルの上のスマホがチカチカしている。あれっと思って見てみると、近くのスーパーからのメールで「そろそろ電球が切れていませんか?」という内容で、なにか嫌な気分になる。そんな女性がレコメンドをしてきた店で買い物することは絶対にない。
ビッグデータにはそういう「余計なお世話」と思われてしまう危険もある。だから人の振る舞いをよく知っている人たちと意見交換をしながら考えていかなければと常々感じています。

山同:マーケティングの世界で活躍するプランナーやクリエーターは今、各種行動・購買のデータが実効性を測る武器として活用できるようになったとワクワクしている。電通もこれによって、売り上げやブランド価値向上など具体的な成果にコミットしていきたいと思っています。

柳澤:私たちはクリエーティブの部分が注目されがちですが、データ的な裏付けをすごく重要視しています。その意味で、具体的に数字で示せないプランはあり得ないと思っています。


テクノロジー×クリエーティビティー

山同:IT化って、ITベンダーの世界で扱おうとすると徹底的な合理化で、それ自体はとても大事なことなんですが、人間を相手にしている以上、「振る舞いを変える」のは無限のアイデアの世界。私たちが最も得意技としている領域です。お二人とも手を取り合って、テクノロジー×クリエーティビティーで「その手があったか!」と言われるようなことを仕掛けていきたいですね。ありがとうございました。