原田謙介×小木真:前編 「若者は『バラ色の未来』なんて信じない」

ワカモンのすべて №42

  • 原田 謙介
  • 小木 真

2015/07/08

原田謙介×小木真:前編 「若者は『バラ色の未来』なんて信じない」

電通総研と電通若者研究部(ワカモン)が共同で実施した『若者まるわかり調査2015』では、「自分の将来よりも日本の将来が不安」「自分たちが社会をリードしたいけれど、社会を変えられるとまでは思っていない」といったウラハラなマインドが明らかになりました。このように若者が社会に抱いている気持ちに対して、大人たちにできることは何なのか。今回は「政治」に焦点をあてて、若者と政治をつなぐ活動を行うNPO法人「YouthCreate」代表の原田謙介さんと、ワカモンの小木真さんが対談しました。

 

若者の立場から、若者と政治をつなぐ活動

小木:原田さんは学生時代から「ivote」(20代の投票率向上を目指す学生団体)を立ち上げるなど、積極的に社会と関わる活動をされてきたと思うのですが、何がきっかけで政治に興味を抱いたのですか?

原田:僕の場合、社会の入り口がたまたま政治でした。大学に入学する時期って、やる気がみなぎっているじゃないですか(笑)。そのときに何かしら社会と関わることをしたいと思って、社会のどの分野にも絡んでくる政治について調べてみたんです。でも本を読んでも全然わからなかったので、国会議員の事務所で2年間のインターンを体験しました。そこで感じたのは、現場では政治家が必死に政策を考えているのに、若者の政治に対する悪いイメージは一向に変わらないということ。そのギャップを埋めたいと思って、「ivote」を立ち上げました。

小木:行動力がすごいですよね。社会のために役立ちたいというマインドは今の若者にも共通する一方、いわゆる「意識高い系」というタグ付けがあるように、周囲の目を気にして外のコミュニティーになかなか出ていけない傾向もあります。原田さんはまわりの視線は気になりませんでした?

原田:「変わっているやつ」とはよく言われましたが、そんなに気にしませんでした。友達に政治のおもしろさが伝わらないと、むしろ悔しくてさらにやる気になるというか(笑)。当時はSNSもそこまで浸透していなかったので、周囲の情報や評価を気にせずに行動できた部分もあるかもしれませんね。

小木:若者の働き方の価値観として、社会貢献を意識して職業選択をしたり、働きながら社会活動をする人も増えているように思います。原田さんはどうして行政や民間企業で働くことを選ばずに、NPO法人を立ち上げたのですか?

原田:若者と政治をつなぐ活動には、まだまだやるべきことがあると思ったんです。行政にもそのような部署はあるけど、異動になるかもしれない。僕はイチ若者として、若者と政治のあいだに立ちたいと思っていたので、若者である今のうちにそれを実現するには、YouthCreateを立ち上げるのが一番の近道でした。

 

若者は「バラ色の未来」なんて信じない

小木:今回の調査によると若者が社会をリードしていきたいという気持ちはあるにもかかわらず、若者の投票率が上がらないという現状があります。このギャップは何だろうと考えたとき、今の若者はすぐに見返りや実感が得られるものじゃないと手が出しにくいのかなと思っているんです。自分の一票がもたらす変化って可視化しにくいじゃないですか。

原田:それは一理あると思います。政治のPDCAサイクルはゆっくり回るので、そこに自分が関わっている実感を持ちにくいんです。さらに数十年前と違うのは、若者の人数が少ないということ。母数が少ないから、どうせ投票に行っても若者の意見は反映されないと思っている人もいます。

小木:たとえばごみ拾いや街づくりは見返りが得られやすいですよね。感謝の言葉をもらえたり、行動の結果が目に見えるので。

原田:僕もごみ拾い運動をしているのですが、良いことをしている実感がすごく得られます(笑)。それを否定するつもりはまったくなくて、大切なのは、あらゆる社会課題に必ず政治が関わっていると知ること。社会貢献活動をしているのに、その分野の政治の現状についてまったく知らない人や、行政と交渉せずに自分たちでなんとかしようとするケースもあります。

でも、たとえば海外の貧困を解決したいとき、募金を集めるアプローチもあれば、政府に開発途上国向けの予算を増やすようお願いするアプローチもある。どちらも大事だけど、成功したときの効果が大きいのは圧倒的に後者ですよね。そういう面も含めて、政治には可能性があることを伝えていく必要があると思っています。

小木:内閣府の調査では、今の若者は生活満足度が高い、という結果が出ていて、でも日本の将来に不安を感じている。自分たちが引っ張っていかなきゃという気持ちはあるけど、社会の制度を変えられるとまでは思っていないということ。
このウラハラな意識が若者の捉えにくさでもあると思うんですが、原田さんも多くの若者と接する中で、そういったマインドを実感することはありますか?

原田:日本が変わってほしいと思っている人は多いと思います。ただ、若者の人口が少ないからという理由で諦めている人も多い。イチ若者として思うのは、僕らは上の世代と違ってバラ色の未来はないじゃないですか。真っ黒ではないけど、灰色をどこまで白に近づけられるかみたいな感覚なんです。だから、「こうすれば人生がバラ色になる」「このマニフェストで日本がバラ色になる」といったアプローチにはギャップを感じます。

小木:その感覚はコミュニケーションにも通じるものがありそうですね。きれいごとはつい疑ってしまうし、「これは良いものだ」と一方的に押し付けられる表現は響きづらい。政治のコミュニケーションが若者の感覚とマッチしていないことも、距離を置いてしまう要因の一つですよね。
ちなみに、原田さんは社会の制度を変えようと思っているんですか?

原田:最終的な到達点はそうあるべきだと思っています。18歳選挙権の実現も、直接的なアプローチをそこまでしたわけではないですが、社会の一つの変革といえるでしょうし。その前段階として、例えば、財務省若手官僚の方と一般若者との対話イベントで気づきを増やしたり、まずは若者と政治をつなぐ入り口をもっと増やさなきゃいけないと思っています。

 
※後編は7/15(水)に公開予定です。

【ワカモンプロフィール】

電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中(https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。