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企業が取り組む人権問題No.1

LGBTは、すべての企業の“経営”課題だ。

2015/07/28

LGBT

このところ、よく耳にするLGBTという言葉 (レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどの総称)。最近は、LGBTに積極的に力を入れている企業が増えたり、カンヌライオンズでも性をテーマした部門が新設されたり…一体その理由とは!?

はじめまして、電通コピーライターの銭谷です。今年のバレンタインに「“好き”に変はない展」という、バレンタインを“好き”について考える日にするというプロジェクトを立ち上げてから、LGBTに関する案件が多くなりました。この記事では、「なぜ企業がLGBTに力を入れるのか?」をひもといていこうと思います。

 

■企業がLGBTに力を入れる、4つの理由

①採用コミュニケーションのために
より多様性のある人材を獲得するために、LGBTの採用に力を入れている企業が増えています。たとえば「“好き”に変はない展」に協賛してくれたEYS音楽教室を運営するEYS-STYLEも、展覧会を協賛したのをきっかけに、「全従業員の5%以上のセクシャルマイノリティーの雇用を目指します」と社として公言し、LGBTの積極採用を行っています。それはLGBTのためだけではなく、その企業姿勢がPRになり、より多様性のある人材を獲得する力になります。

②インナーコミュニケーションのために
多様性のある組織作りのために、LGBTに力を入れている企業も増えています。さきほどのEYS-STYLEは、社内横断組織を立ち上げ、去年のXmasにはLGBTをテーマにしたRainbowXmasパーティーを開きました。音楽教室の教師と生徒、そしてその家族が約100人ほど集まり、多様性を尊重する大切さを学び合いました。

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こちらもその企業活動を可視化していくことで、LGBTやインナーのためだけではなく、多様性のある企業としてのブランディングにもつながっています。

③マーケティングコミュニケーションのために
マーケティングやプロモーションのために、LGBTに力を入れている企業も増えています。その一つが、今年のカンヌライオンズでも数々の賞を受賞した、米国バーガーキングの「Proud Whopper」です。
簡単に説明すると、バーガーキングが、LGBTのイメージカラーでもあるレインボーカラーの包み紙にくるまれたハンバーガーを発売。ただし中身に関しては何も明かされていない。お客さまは「これは通常のバーガーより甘いなぁ」など予想しているなか、食べ終わって包み紙の裏を見てみると、そこには「We are all the same inside」(私たちみんな中身は同じ)の文字。なんと包装を変えているだけで、中身は通常のバーガーでした。このプロモーションは、ウェブ動画になり一気に世界に拡散。単なるプロモーションを超えて、バーガーキングの企業イメージにも貢献しました。

④サービス開発のために
サービスやプロダクト開発のために、LGBTに力を入れている企業も増えています。たとえば、「“好き”に変はない展」のトークイベントに登壇してもらった、LetibeeというLGBTライフサポート企業。ウエディング会社向けにコンサルなどもされている企業なのですが、たとえばレズビアンの結婚式のさいに「新郎」というコトバをどう表現すればよいのか?など、きめ細やかなウエディングサービスの開発までも行っています。
少し話しは変わりますが、温水洗浄便座は、元々は、医療用や福祉施設用に導入されていたものだったと聞きます。マイノリティーの持つ課題解決には、マイノリティーのためだけではなく、マジョリティーにも役立つような、未来のヒントが隠されているのではないか?と私は思います。

■最後に

LGBTは、未だ社会の対応が遅れている、大きな人権問題の一つとなっています。わたしは、最先端の社会課題だからこそ、そこは企業が本気で取り組む領域であると感じます。LGBTに向き合うことは、新しい企業活動を生み出し、経営全体にも良い影響を与えることができます。そのとき大切なのは、LGBTに向き合うことをきっかけに、LGBTのためだけではなく、いかにLGBT以外の人にも住みやすい環境・社会にしていくかがとても重要だと思います。

「“好き”に変はない展」は、2016年もより大きなムーブメントとして展開していこうと思っていますので、ご興味がある企業はぜひよろしくお願いします。最後に、今年の「“好き”に変はない展」の来場者からいただいた寄せ書きの抜粋を紹介させていただき、この記事を終わりにします。

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