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企業の未来のためにできることNo.2

経営トップの方々が抱えている問題意識とは?

2013/11/20

STEP1
企業価値を高めるために、ご一緒にわくわくしましょう

第2回 経営トップの方々が抱えている問題意識とは?

 

ブランド再構築を考える経営トップの三つの問題意識

 


コンサルタントという職務上、経営トップの方々とお話しさせていただく機会が多いのですが、みなさん、非常に高い問題意識を持っておられます。お立場を考えれば当然です。

 

経営トップの方々から実際にお聞きするのは、たとえばこんな思いです。

「自分たちが何屋であるか再定義し、グローバル競争を勝ち抜きたい」

「顧客視点で現状の事業前提を見直し、ブランド基軸の経営に転換したい」

「経営の課題を社員に自分ゴト化させ、日本でトップの競争力をもつ会社にしたい」

 そして、なかには、こんなご依頼もあります。

「事業戦略を刷新してブランドを磨き直したいので、パートナーとして寄り添ってください」

 

問題意識を持つ経営者の方々に共通しているのは、事業経営とマーケティングが乖離し始めている現実に非常に危機感をもっておられることです。それは、「失われた20年」の中で賢明な経営改革を重ねてきた結果でもあるのですが、今後の成長戦略を描くにあたって、ブランドの再定義・再構築を抜きにしては進めないと判断されているのです。

その動機をあらためて整理すると、次の3点が挙げられます。

一つは、顧客視点で事業全体をもう一度見直したいという問題意識。今までは、良いものを作れば、お客様は買ってくれるはずと、「企業主語」の製品・サービスの提供をしてきた。しかし、市場や経済が成熟してきて、それでは売れなくなってきたということです。

二つめは、生き残りをかけてM&Aや業態変換をはかってきたものの、もう一度、自社のアインデンティやブランドを再定義しないと、顧客に対して魅力的なブランド戦略構築ができないだけでなく、ステークホルダーに対する成長戦略の提示もできなくなってきた。

そして、三つめ。これが特に重要なのですが、対外的なブランド構築もさることながら、社員一人ひとりがブランド価値の体現者、ブランドの伝道師として振る舞うことの必要性を痛感しているという点です。「インターナル・ブランディング」といいますが、先に紹介した経営者の声にあった「自分ゴト化」というのは、まさにこのインターナル・ブランディングの問題です(STEP4で詳しく解説します)。個々の社員の行動が顧客のブランド体験の一部である、お客様とのコンタクトポイントそのものであるという考え方が前提になっています。

 

事業経営とマーケティングを“一気通貫”で考える

 

企業活動における付加価値(利益)とビジネスの時系列の流れの関係を示した概念図に、「スマイルカーブ」というものがあります。


横軸に、企画開発、部品(原料)調達、製造、納入/販売、サービスと、事業活動のプロセスを置き、それぞれの段階で発生する付加価値(利益)の程度を表したものですが、右図のように、スマイル形状のカーブになる。つまり、最初の企画開発と、最後のサービスでは高い付加価値がつきますが、部品調達、製造、販売の段階では相対的に付加価値が低くなる。日本の製造業が、中国や韓国との価格・スピード競争にさらされている分野が、製造のステージ。まさにこのボトムにあたるところです。

一方、アメリカのIT業界などのリーディング・カンパニーは、入り口の企画開発と、出口のサービス段階をがっちり押さえ、高付加価値企業として君臨しているわけです。

日本企業がこのスマイルカーブの両端をグリップするために、今、何が求められているのか。その解となるのが、ブランドの再定義・再構築です。危機感をもつ経営トップの方々は、その問題意識を強く抱いているのです。事業経営とマーケティングが乖離している現状を痛感し、全体を“一気通貫”で考えなくてはいけないと考えています。

その“一気通貫”を果たす役割を担っているのが、ブランドなのです。ブランド戦略を一から見直すことで、持続的な成長をめざすための構図が見えてくる。そのサポートをするのが、私たちの役割です。