長崎新聞配達ルートデータMAP化プロジェクト「The Way」
2015/09/25
長崎新聞社
長崎新聞配達ルートデータMAP化プロジェクト「The Way」
長崎新聞社は、長崎新聞配達ルートデータMAP化プロジェクト「The Way」をユーチューブ、特設サイト、紙面の連動で展開している。今年創刊125周年を迎えた同社が、18年ぶりに輪転機を新規導入する記念として企画された。新聞の原点ともいえる「人が人に直接届ける」という毎日の営みをビジュアルとして俯瞰し、再確認することを目指している。594の離島と総延長4189キロに及ぶ海岸線があり、日本でも最も複雑な交通網を持つという長崎県。GPS受信機を持った配達員の走行データを収集し、地図データ上に集約・配置することで、配達ルートMAPが見事に浮かび上がった。
プロジェクトの一環として制作された動画は、鳥の声とともに長崎の早朝風景から始まり、朝刊の印刷開始から配達終了までの模様を紹介している。印刷された朝刊はトラックに載せられ、離島へは船や飛行機で運ばれ、各地の販売店へ。そして読者一軒一軒へは、自転車をこぎ、坂道を駆け上がる配達員一人一人の手で届けられる。また、時間の経過とともに、GPSが捉えたその軌跡が配達ルートを表す光の細い線となって、暗い地図上に描かれていく。
https://www.youtube.com/watch?v=2MlvrM14vX4
動画には新聞印刷・配達風景に加え、坂の街長崎の住宅街や眼鏡橋、離島の教会や船着き場の様子、そして上空からドローンを使って撮影した長崎ならではの緑深い島々と朝日に輝く海などの自然が映し出され、長崎の魅力や美しさを存分に伝えている。この動画を見て「長崎へ行きたくなった」という書き込みがSNSなどへ多く寄せられ、長崎への観光客誘致という地元還元の社会貢献にもつながっている。
同動画は長崎県出身の映像作家・永川優樹さんが制作した。永川さんは元電通社員で在職中は新聞局地方部に勤務。長崎県の見どころや魅力、地方紙を熟知した永川さんならではの動画が完成した。丁寧に作り込まれた映像に、配達員への敬意が込められている。
長崎新聞社東京支社営業部の赤司満男氏は、「当初さまざまなアイデアが出たが、新しいことに挑戦したいとこの企画に決めた。販売店148店舗と配達員2285人の協力があればこそ実現できたプロジェクトだ。暑いさなかに150台のGPS受信機を40日間フル稼働させた。部署を横断して協力し合い全社で取り組んだ」と振り返る。「うれしいことに、長崎県内だけでなく、県外、海外からも『こんなふうに配達されているとは知らなかった』『感動した!』『新聞ってすごい』といったコメントが多数届いている。ユーチューブの再生回数は約8万回(9月25日現在)。地方紙の取り組みが県内だけでなく、県外、海外まで波及し、新しい価値を生み出すことができた。さらに地方紙ならではの観光PRや制作・企画力をアピールできたのではないか」と語った。
また、特設サイトでは、配達ルートを俯瞰でき、グーグルマップを移動したり、本社出発から配達完了までのルートを任意の時刻に動かしたりして見ることができる。
http://nagasaki-theway.com/
9月3日付長崎新聞の別刷り特集では画像を掲載し、同プロジェクトを紹介した。