US発★カラがミレニアル世代を分析
2015/10/13
消費を担う主役として注目の高まる15~34歳の「ミレニアル世代」だが、「インターネットを駆使し、トレンドに敏感」という典型的な世代像に当てはまるのは半分以下――。電通イージス・ネットワーク(DAN)傘下のカラがアメリカにおいて行った新たな調査で分かった。アドエージが報じている。
ミレニアル世代は「ソーシャルネットワークなどデジタル文化に過剰なほど適応し、楽天的で外交的」と形容されるが、カラが調査した1万5000人のうち、こうした典型像に当てはまるのは約42%にすぎなかった。多様性に富んだ実態について、カラのグローバルプレジデント、ダグ・レイ氏は「ミレニアル世代のマーケティングは、一つの国全体のマーケティングを行うようなもの」と表現している。
カラのミシェル・リン上級副社長によれば、調査の結果、ミレニアル世代は次の4種類に分けることができるという。
■「トレンドネッター」 42%
ネット上での発信を通してトレンドや経験を広めていくというミレニアル世代の典型的なイメージだが、実際に「トレンドネッター」と呼べるのは42%だった。この層は流行に敏感で大衆文化にも詳しく、高級品やステータスが好きで消費衝動が強い。SNSなどを使って常に批評や推薦、情報共有を行っているこの層の主張が届きやすいため、世代全体の像として誤解されがちだが、リン氏は「この層の動向は一つの傾向にすぎず、真のトレンドセッターではない」としている。
■「ネット・プライバシー敏感層」 23%
同じミレニアル世代の中でも比較的若い層は、ネット上のプライバシー意識が高かった。この層は、自分が選んだ一定の人々としか情報を共有したがらず、自分の情報についても自分が知らせたいと思う内容しか開示しない。自分の情報管理をコントロールすることで、彼らは安心感を得ているようだ。「こうした反応は、オンライン上での過度な情報共有が招いた結果ではないか」とリン氏は指摘する。この層のプロフィールは、自宅で両親と同居し、やや古いデジタル機器を使用し、透明性の高いブランドを好む傾向がある。
■「ライフバランス重視層」 19%
ミレニアル世代の19%は、野心的でライフスタイル意識が高い。仕事と家庭の境界をはっきり区切ってバランスの取れた暮らしを重視し、健康増進にも熱心だ。信頼できる実用性の高いブランドを好むこの層にとって、「デジタルライフは世界に多数存在する要素の一つでしかなく、そこから遠ざかることもいとわない」という。
■「冒険的トレンドセッター」 16%
ミレニアル世代のうち、冒険精神にあふれた真のトレンドセッターは16%だ。この層は「トレンドネッター」たちよりもさらに世情に通じ、さまざまな観点に立ち、知的でニッチな読み物を幅広くチェックする。好きなブランドは必ずしも最も人気の高いものとは限らず、自分らしさを探し求める傾向があり、全てにおいてやや高級志向だ。リン氏は「ストーリーのあるブランドを好むのはこの層。彼らは品質を表す基準としてストーリーを捉えている」と話す。
ミレニアル世代の実態の多様性について、リン氏は「すべてのデータの後ろには個人がいる。一つの世代として一括すべきではない。消費者は個人として認識され、自分のニーズが満たされることを望んでいる」と語った。