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新しいサービスやビジネスモデル、文化も含めた発明をNo.2

テレビの新しい価値を生み出す
HAROiD設立の想い(後編)

2015/11/19

前編に続き、未来のテレビの在り方やHAROiD(ハロイド)が目指すネットとテレビの融合について、HAROiD 社長兼CEOの安藤聖泰さんとバスキュール代表兼HAROiD CCOの朴正義さん、電通で事業開発に携わる春田英明さんに語ってもらいました。HAROiDが手掛ける新サービスについても伺います。
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テレビの中に自分の相棒が現れる。「TOVY(トビー)」プロジェクト

 

春田:後編ではこれからのHAROiDがどんな面白いことを考えているか、具体的に伺いたいと思います。今進んでいるプロジェクトの一端を教えていただけますか。

安藤:アバターのようなデジタルキャラクターを視聴者が作り、テレビの中に登場させることを考えています。スマートフォンで自分の分身となるキャラクターを作って、テレビの画面に登場してもらう。このキャラクターをベースに、色々な新しい展開が生まれるでしょう。
JoinTVを始めたときに、視聴者をどのように番組に参加させていくのかを考えました。さらに、その参加を何万票の中の一票というただの数字ではなく、自分がどういう形で参加しているのかを明確にする仕組みにしたいと思っていたんです。
例えば、Facebookと連動して、自分や参加した友人の顔写真がテレビに表示されるといったアイデアも試してみたりしました。確かに面白かったのですが、一方で顔写真まで出したいのは自己顕示欲が強い一握りかもしれない。もっと違った形の番組参加があるかもしれないと感じました。

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もう一つ解決したかった課題が、全国でたくさんの人が見ているはずのテレビ番組でも、テレビをつけた瞬間は、その番組を他の大勢が見ているかどうかが分からないということ。やはり、大勢の人が一緒に見て、何か感じて盛り上がっているのが大事だと思うんですよ。それには、ニコ生で流れるコメントやツイートではなく、自分を表現し、テレビともっと一体化させていくような仕組みが必要。
これら二つの課題を解決する仕組みとして、「TOVY(トビー)」を打ち出すことにしました。おもちゃのToyとTVで「TOVY」です。

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朴:TOVYは、テレビとネットがつながるシンボル、言い換えると、マスとパーソナルがパブリックでつながるシンボルです。
両方の世界を行き来できるようなものを作ろうと考えたとき、せっかくテレビというすてきなエンターテインメントの世界なんだから、何かシンボルとなるものが欲しかったんです。
そこで、HAROiDの名前に掛けているところもありますが、自分専用アンドロイドみたいなものが作れないかなと考えました。自分そっくりのアバターではなく、自分の相棒であるアンドロイドTOVYに「テレビの世界にちょっと行ってこい」と指令を出す感じですかね。
このTOVYには、ネットや現実世界での日々の活動がエネルギーとして蓄えられていて、それをうまく活用すると、テレビの世界でちょっと目立つ活躍ができるとか、そんな仕組みも考えています。楽しくて、みんなが盛り上がりそうでしょう。

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TOVY作成ページHAROiDプレスリリースより ©NTV)
 
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TOVY番組出演イメージHAROiDプレスリリースより ©NTV)

もちろん、全てのテレビ番組がそうなるべきとは思っていません。でも、そういったジャンルが生まれてもいいと思いませんか? テレビを舞台にみんなでつながって楽しむ。TOVYは、テレビがもともと持っていた、コミュニケーションのトピックを提供するという側面をより強化できるような役割を担えたらと思うんです。
TOVYではなくて、既存のSNSアカウントのアイコンでもいいじゃないかという意見もあるかもしれませんが、権利的にNGなものが多く、テレビに出すのが難しいんです。だから、独自に作ろうという決断をしたのですが、せっかく作るなら、少し先を見据えて3Dキャラクターにしようということで、開発を進めてきました。HAROiDはテレビやネットをもっと楽しくする会社。近い将来、視聴者の皆さんのTOVYが冒険の旅に出掛けるような番組を作るなど、新しい楽しみの象徴になるものを生み出したいですね。

春田:視聴者とテレビ番組の関係を変える画期的なサービスになりそうですね。何より楽しそうで、今からワクワクします。
HAROiDには、日本テレビ、バスキュール、電通の他、デジタル技術を使ってインフラ間の橋渡しを行う、ビーマップも協力してくれています。サービスの企画・開発・運用も得意とするビーマップには、どのようなことを期待していますか。

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安藤:ビーマップも相当変わった会社ですよね。本来はインフラを担当する会社で、堅い仕事をやっているはずなのですけど、その割にはテレビやコンテンツに関わる仕事も大好き。
そもそも、ビーマップは、Wi-Fi網の構築やコンビニ決済などの仕組み、乗り換え案内など交通系、テレビメタデータなど、リアルな場所でのインフラ構築や仕掛けに強い会社。テレビの限界は、放送して認知を広げて興味を持ってもらい、最後はリアルな場でアクションをしてもらう過程において、テレビからだんだんと遠くなっていくことなんです。リアルな場でのアクションに至っては、手が届かない感じさえする。そこを押さえてくれるのがビーマップなんです。O2O2O( オンエアー・ツー・オンライン・ツー・オフライン)という領域になりますが、HAROiDのコンテンツや仕組みを店頭や交通機関などの生活動線、イベントなどのリアルな場へとつなげてくれることで起こる化学反応を期待しています。

春田:テレビからデジタルへ、そしてさらに店頭や移動中のリアルな場へ、と生活者の行動を喚起する仕組みや仕掛けの提供を目指す、ということですね。

新しい文化を発明するために日本テレビを飛び出す

 

春田:HAROiDは日本テレビの「JoinTV」が前身になっています。その点で、HAROiDと日本テレビの関係はどうなっているのでしょうか。

安藤:JoinTVでは、僕は日本テレビの社員として、日本テレビのコンテンツとしてやっていました。しかし、日本テレビの番組表を見ているとできないことも出てくる。先ほど話した「新しい文化の発明」には遠く及ばないと感じたので、HAROiDという独立した会社にしたんです。
これでキー局や準キー局だけではなく、ローカル局やBS、CS局も含めてお付き合いができる。場合によっては、動画配信サイトやリアルなイベントとも組んで、新しいことをやってもいいと考えています。実際、そういうところでも、我々の持っているノウハウやツール、仕組みは生かせるはずです
ゆくゆくは国内だけではなく、海外も視野に入れて、世界が同時参加するようなイベントで、テレビ
スマートフォンの同じ画面で何かを共有するのも面白い。色々なところと組んで、新しい発明をしていきたいですね。

朴:HAROiDでは、日本テレビ色を下げましょう、というのが合言葉。日本テレビのコンテンツしか手掛けないという誤解があるかもしれませんが、他局の皆さんにもぜひ活用していただきたい。
「参加型番組はお金がかかるんでしょう」と思っているかもしれませんが、安い・早い・うまいでやりますので(笑)、トライアル的なことも含めて試していただきたいですね。そういう意味では、本当に電通さんに橋渡しのご協力をいただきたいと思っています。

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HAROiDがこれから提供すること、その先に見据える2030年のテレビ

 

春田:お二人とお話しして、ネットとテレビの関係が変化するに当たり、「変化に対応するだけではなく、逆に自分たちから変化を仕掛けていこう」という思いを感じました。最後に、2020年、そして、2030年へと、HAROiDはどのようなテレビの未来を作りたいのかを聞かせてください。

安藤:2020年や2030年には、想像を絶することが起きているのでしょうね。今、みんながスマートフォンを使っているけど、iPhoneがデビューしたのが8年前。それで、これだけメディアの様相が変わったわけなので、2030年に向けては、想像もできないようなことをあえて想定して、そこに向かっていく必要があると思います。
そういう意味では、今流行のモノのインターネット「IoT」(インターネット・オブ・シングス)がひとつのキーワード。時計や家の鍵など、色々なモノがネットと常時つながるというアレです。最大接触メディアであるテレビが常にネットとつながる時代は、すぐに来るでしょう。
面白い話がありまして、以前ある家電メーカーのスマートテレビ担当者と話をする機会があり、試作機を見せてもらった際に、「これはネットにつながってなかったらどうなるんですか」と聞いたんです。そのとき、「この人は何を言っているんだ」という顔で、「ネットにつながってなかったら、ただのテレビですよ」って返事をされました。
その時は、ただのテレビでいいじゃないか、と思ったのですが、よくよく考えると、もしスマートフォンがネットにつながっていなかったら、ただの電話ですよね。要は、テレビもそれくらいの感覚になるということなんですよ。

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これからは、テレビに限らず様々なモノがネットにつながることが大前提になると思います。今は、放送と通信、テレビとネットの融合などと言っていますが、つながることが大前提になると、デバイスの特性とユーザーを起点に、あらゆるアクションなどのデータなども活用して、ユーザーが気持ちいいと感じるサービスの開発に生かしていくことが重要になる気がします。
テレビの特性でいえば、常に自分の体のそばにあるものではなく、インプットはリモコン。基本的には電源を入れて、チャンネルを変えると番組が入れ替わる。つまり、インプットが少なく、アウトプットが多いデバイスなんです。こういった特性を考えると、テレビは家に帰って電源を入れると、自分や家族など、今テレビの前にいる人にとって必要な最適化された情報をアウトプットしてくれるデバイスに進化するかもしれない。そうなると、電源を入れたら最後、リモコンに触る必要はないでしょう。
ある意味、マスが情報を伝える昔ながらの姿なのですが、IoTによりマスとパーソナル、またはマスとホーム、ファミリーが融合することで、より細分化、パーソナライズされた情報を伝えることができるようになるんです。HAROiDは、そこに向けて必要なことを目指して進んでいくイメージを持っています。

春田:朴さんはどうですか。

朴:僕も基本的には、テレビはネットにつながることが前提になると考えています。安藤さんが言ったように、スマホを電話だけで使う人が少ないように、テレビも放送しか映さないという時代ではなくなるはず。僕の中では、それはワクワクすることで、新しい時代にみんなが楽しめる何かを作りたいと思うんですよね。
それはコンテンツというよりも、先ほども話した何かの行事かもしれない。例えば、甲子園はすごく盛り上がりますよね。甲子園という行事をもとにして、漫画や映画などさまざまなコンテンツが生まれています。スマート化されたテレビを舞台にして、そういった、みんなが前のめりになって参加できる新しい国民規模の行事を作りたい。それは全員参加のクイズ大会かもしれないし、みんなで一緒に食べるグルメ番組かもしれない。

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多分、こういった試みは、基本的に個にひも付いたサービスを提供しているネット企業発では、なかなか成功しないと思うんです。逆に、テレビのものづくりをする人たちは、見ている人に自分とは関係ないことにも感情移入させてしまう。例えば、24時間テレビの100kmマラソンは、あえて極論してしまえば、タレントさんがただ走っているだけですよね(笑)。それを国民的行事に仕上げてしまうテレビの方々のクリエーティブスキルはものすごいと思っています。
来るべきスマートテレビの時代を見据えて、HAROiDが、この自分ごと化と、誰もが感動してしまうストーリー作りの双方をうまく掛け合わせられるプレーヤーとして、これまでにない新しい行事づくりにトライし続けられるチームになったらうれしいですね。ともにチャレンジしてくれる方、大募集中です!

春田:テレビにログインして視聴者が番組の楽しみ方の幅を広げたり、テレビのリーチ力をデジタルで拡張した「同時体験価値」を創造したり、コンテンツ視聴をきっかけとした行動をリアルの場につなげるなど、様々なフィールドでテレビの新しい価値の創造に挑戦するHAROiD。このHAROiDの登場により、テレビ×インターネットのあり方が変化し、それに最適化した新たな広告・マーケティング手法が登場するはずです。これから様々な具体的情報が発信されると思いますので、楽しみにしていただきたいと思います。安藤さん、朴さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。


HAROiDの最新の取り組み・リリースはこちら。
http://www.haroid.co.jp/
http://www.haroid.co.jp/img/20151116.pdf